指導中クライアントの女性が、凄い筋肉の方を見て

「ああいう体は維持するのが大変でしょうね。」

「維持ですか?向上、前進、改善しか考えていないと思いますよ。」

「あぁ。」

「ジム内で、維持してますね、とかは禁句です。男性に、痩せましたね、とか、細くなりましたね、も禁句です。デカくなりましたね、絞れましたね、です。」

かのミスターボディビルも、テレビで「維持するのが大変でしょう?」と司会者に言われ、少し怒りぎみに「維持なんて一切考えてませんよ!」と仰ってました。その時視ていて強く頷いたのを思い出しました。



別の話し。

新人女性スタッフがトレーニングしにやって来ました。
トレーニング前のストレッチ時に、やおら極悪グッズを準備しました。

「トレーニング?」と声を掛け行こうとしましたが、見て見ぬふりは(大きなお世話かも知れませんが)最悪だと考え直し近付きました。

「これ使ってるんだ。何の為に使ってるの?」

「私、骨盤周りに左右差があって、これで治してからトレーニングしてるんです。」

「クライアントや知ってる人にしか言わないけど、本当の事知りたい?」

「知りたいです!!何ですか?」

「こっちを頭にして、まず仰向けに寝てみて。」


いつもの様にバンザイ検査をし、腕の長さの左右差を教えてあげ、

「判る?こんなに違うの判る?左腕側は伸筋の緊張が強く、右腕側は屈筋の緊張が強いからこんなに左右差があるんだよ。伸筋の一つ広背筋は骨盤や仙骨に付いてるからバンザイの長さの違いは骨盤の左右差も含むんだよ。」

「はい~???。」


確認してから技を一つ。5秒位で腕の左右差を無くす。

「判る?左右差無くなったの判る?」

「エェ~ッ!??何やったんですか??」

「技。脳に働き掛け脳がフィードバックしてくれたの。今度はあなたが用意したこのグッズにいつもの様に乗って寝てみて。」


暫く寝転がって最悪の事(失礼。でもホント(ToT))をしてもらう。



「そろそろ良いよ。降りてまた仰向けで寝てみて。」


バンザイ検査で最初より変形した事を証明する。


「エェ~ッ!!?」

「歪んだの判る?」

「判ります判ります!」

「そう言うこっちゃ。」

「ずっっと信じてたのに。じゃあ何でこれあるんですか?何で皆やってるんですか?」

「さぁ?とにかく、骨盤に限らず左右差を無くしたかったら即止める事だね。」

「じゃあ一人ではどうしたら良いですか!?」

「いろいろあるけど・・・・・。じゃあまずスクワット。しゃがんで5回位深呼吸して終わったら立ち上がりバンザイしてみて。」


やってもらいバンザイ検査。技程揃わなかったがほぼ揃っている。

「凄~い!!」

「もうこれ使わず、スクワットやったら良い。」

「ありがとうございます!!」



暫くしてバーベルスクワットでトレーニング中の彼女に近付いた。

セットを終え彼女から

「悔しいけど全く違います!!素直にしゃがめます!初めての感覚かも知れません!もう絶対二度とあのグッズは使いません!」


人助けが出来た気がした。

しかしこれが良い事として全国的にまかり通っている。

恐ろしい「常識」である。




パーソナルトレーニングとしんそう療方の大長道場。