アンディ・クルス・ゴメス vs ファン・カルロス・ブルゴス | R I N G C H E C K !

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ついに近代アマ頂点の一人とも言える AxCxG こと アンディ・クルス・ゴメスがプロデビュー 🥊











一度の亡命失敗 を経てマッチルームと契約 ( この事変が原因となり、 皮肉にもキューバでは 60年ぶりのプロ転向解禁 が成されました … )




↓ ( 知らない方の為に ) アンディ・クルスは数々の大会で金メダルを獲得しているスーパースターであり、 アンディ・クルスこそ全アマチュアボクサーが憧れる存在 … と言っても過言ではない … そんな選手なのです。











プロデビュー戦も いきなり A級デビュー、 いきなり10Rマッチ。 しかも相手は、 世界挑戦経験もある古豪ブルゴス。 長谷川穂積選手、 ローマン・マルチネス、 マイキー・ガルシアらと鎬を削って来た老練で しぶとい曲者です。 アンディ・クルスのアマ時代のライバル ( … といってもアンディ・クルスが全勝してますが … ) である キーショーン・デービス もプロ転向後ブルゴスとの8回戦を経験しており、比較という意味でも興味深いカードです。





▼ アンディ・クルス・ゴメス vs ファン・カルロス・ブルゴス







アンディ・クルスの展開作りとしては予想通りで、 多少アグレッシブネスを高めに設定している程度で、 後はアマの時と動作/所作的には変わらず。 ブルゴスは35勝7敗のキャリアの中で一度もKO負けが無い選手なので、 アンディ・クルスがブルゴスをド派手にKOするシーンは最初から予想していませんでした。 という事で、 当ブログ管理人の採点も ↓ という結果に。













マッチルームの期待通り、 世界挑戦経験者を完封するという素晴らしいプロデビュー戦となりました。 ただ、 ここからすぐに シャクール、 デービス、 ヘイニー、 ロマチェンコらの対抗馬になれるか ? と問われれば … おそらく かなり難しいだろう … と答えます。





元々アンディ・クルスはキューバトップチームの中ではロベイシ・ラミレスをグレードアップさせたような動作/所作タイプ … 四次元を浮遊するかの如き多軸フットワークとリングカットを用いて、 出るでも下がるでもなく独特の距離感を保ち、 相手の全ての攻撃を軟体動物のようなボディワークで外し、 これまた独特の当て勘/タイム感のカウンターで相手を殺さずポイントメイクしていくというボクシングスタイルであり … リングジェネラルシップを作る為の高いボクシングIQと表現力は世界トップクラスの物を持ち合わせていても、 それに比肩するような高いフィジカルアビリティやキラーパンチを持ち合わせているタイプでは無いのです。





この試合を観ていても、 例えば多軸のフットワークとサッと連動させた奥手ストレートを放った後など、 アマ時代のライバル キーショーン・デービス のクイックネスならば瞬時に打ち手を引き 次の攻撃か防御に備える姿勢をすぐに作ると思うのですが、 アンディ・クルスにはそこまでクイックネス周りのフィジカルアビリティは無く、 ほとんどの場合 打ち終わりの体勢をそのまま残して同じ手で多軸パンチをダブルトリプルと追撃するか、 もしくは無難に出している腕と同方向にウィービングしながらフットワークで外す、 という選択肢を取っています ( ここら辺の所作周りはロベイシ・ラミレスも全く同じ … ) こうした長年のアマ歴戦で染み付いた感覚や手癖とも言える所作群が 今後はアドバンテージとはならずに、 8ozのキラーなプロのリングではビハインドとなる事も … 大いにあり得る … と思っています。





今回のブルゴスのような老兵タイプには普通に通用しましたが、 より高いフィジカルアビリティとリングIQを誇る本物の若き北米系トップクラス達に ( 3Rならともかく、 プロの長尺Rに於いて ) 通用するのかどうかは現段階では疑問です。 現段階のアンディ・クルスがキーショーン・デービスとプロ10回戦以上の長尺R戦を行うとしたら … おそらくキーショーン・デービスがアマでのリベンジを果たしてしまうのではないか … というのが当ブログ管理人の見方です。





全く同じ観点で ロベイシ・ラミレス vs シャクール・スティーブンソン のリオ五輪決勝戦のリベンジマッチがプロで組まれたら、 現時点ではシャクール・スティーブンソンがリベンジする絵しか見えてきません。 … そのロベイシ・ラミレスも数年プロ戦線を経験して自身のスタイルを大きく見直し とりあえずプロの世界王者にはなりました。 それと同等の改革 … それがアンディ・クルスにも間違いなく必要になる … と、 そう再認識したアマの大スターのプロデビュー戦でした 🥊













〇 結果:アンディ・クルス 10R判定勝利 3-0( 100-90×2、98-92 )