今年ベストバウト候補 !
素晴らしい試合でした。
… 判定以外は …
▼ リッキー・バーンズ vs キリル・レリク
地元の大声援を背に開始早々勢いよく飛び出すバーンズですが、
レリクの圧力と技術にすぐに下がらされる展開を強いられます。
レリクの戦術はこれまで通り。
強いプレッシャーを掛けながらも上体屈曲幅を上手く用い
ボディワークとアングルチェンジで相手のパンチを避けると同時に
自分のパンチに繋げる攻防一体の戦術。
バーンズはリカバリーに失敗したのか、
ポッコリと出た腹にボディブローを打たれ顔を歪める。
初回から削られる展開のバーンズ、
持ち前の強打でレリクを押し返そうとするも、
レリクのパンチは打ち合いの中でも
ナチュラルなタイム感でカウンター気味に入ってくるので
バーンズは打ち合っても押し返される展開が続く。
1R~4Rまではレリクの独壇場。
レリクはバーンズに何もさせていませんでした。
レリクの方がチャンピオンなんじゃないか?と
勘違いしてしまうほどの堂々たる立ち回り。
しかし、さすがにバーンズも歴戦の雄、
5Rからは徐々にレリクの移動先に照準を合わせた
各種パンチの距離が合い始める。
リードで先手を打ちレリクに後手を強いる。
5Rは左強打を明確にヒット。
次第にリングジェネラルシップを奪い返し、
7R、8Rはアウトボックスしながらの距離を明確に掴み、
ナックルをしっかりと固めながらも引きの速い
得意の左右ストレートをバシバシとヒットさせていく。
( しかし、 スローで見ると
バーンズのストレートを貰いながらも、
レリクは常にカウンターを狙っている … )
終盤10R、ハットンに檄を飛ばされるレリク、
明らかにペースを上げて再び序盤のような攻勢を仕掛ける。
バーンズはこのペースチェンジに対応出来ない。
それでもバーンズは接近戦のビハインドを押し返す為に
体を入れ替えてロープにレリクを押さえ付けて体力を奪うなど、
古豪らしいインサイドワークも見せる。
最終回、レリクの攻勢が続く。
バーンズも抗うが、やはりレリクの勢いを止められない。
打ち合いの中 レリクの右がバーンズにヒットし
バーンズはマットに膝を着く。
フラッシュ気味ながらもダウンを奪ったかに見えましたが …
レフェリーはスリップと判断 …
巻き込み気味の微妙な攻防でしたが、
ダメージはなくとも、当てて倒してるので、
レフェリーによっては
ダウンを取ってくれたかもしれませんね。
( そして、この一瞬の打ち合いだけを見ても
レリクのパンチがバーンズのパンチに対して
悉くカウンターになる形でヒットしているのが
分かって頂けると思います )
最後までどう転ぶか分からないスリリングな決戦は、
判定に持ち越されました。
結果は …
118-110、 116-112、 116-112
なんと …
3-0でバーンズの防衛となりました …
個人的にはありえない点差でしたね …
バーンズ vs ベルトラン戦の あのイヤ~な感じ再び …
私も採点しながら見ていましたが、中盤5R~9Rは
バーンズの的確なアウトボクシングにポイントを付けました。
これだけ相手との機能差を露呈させながらも、
しっかりと勝つ為の戦術に切り替えてくる、
バーンズの経験値はやはり認めなければなりません。
しかし1R~4R、10R~12Rは明確にレリクのRです。
レリクは中盤の的確さには欠いたものの、全体を通しての
アグレッシブネス、エフェクティブヒットは上回っていたし、
中盤失ったリングジェネラルシップも
終盤は完全に奪い返したと思いました。
私的採点では115-113でレリクでしたね。
リッキー・ハットンも、
「 序盤の4ラウンドは間違いなく取っているし、
終盤10と11も問題なくこちらだろう。
悪くてもドロー。 とてもショックだ 」
と、語っています。
( 動画のコメ欄にも世界中からの非難轟々 )
ズラティカニンより明確に差を付けたと思いましたけどね。
しかしまぁ、挑戦者レリクの評価は落ちる事はないでしょう。
むしろ、この試合で、彼が本物である事を
世界中に証明する事が出来たのではないでしょうか。
そのスキルフルなボクシングスタイルも勿論なのですが、
正直、序盤から歴戦の王者を呑んで掛かり、
中盤ビハインドを見せながらも終盤再び盛り返してみせた
あのメンタルの強さに一番ヤラれました。
今後 経験を積んでどのような選手になっていくのか、
まだまだ 注目していきたい選手ですね。
※ 以下 ↓ 個人ブログならではの勝手な意見
今回 計量時・試合時のレリクの体付きを改めて見ていて、
スーパーライトにしては皮下脂肪層が厚く、
肩幅が本当になくて、縦長のAライン体型なんですよね。
エンジンは下半身~脊柱起立筋・腰方形筋に積んだボクシングで、
減量に関しても幅が少なくナチュラルな状態で試合に臨む
天才型タイプなのでしょう。
しかし単純にストレングスやフィジカル面に関して、
オフェンスにアジャストしながら強化していく余地は
まだまだまだまだあるんじゃないか、とも思いました。
高い身体能力を誇り、尚且つ己の身体機能の使い方も熟知、
ボクシングとしても独自のスタイルを完成させていますので、
飛躍的な進化は難しいのかもしれませんが、
今の彼のスタイルの上に 更にベテルビエフやゴロフキンのような
決定力のあるパンチが徐々にアップデートされていったら …