楽しみにしていた注目の一戦。
WBCムエタイSフェザー級のシルバー王座タイトルマッチ。
▼ セクサン vs スーパーレック
スーパーレックは相変わらずのシンダムスタイル。
ムエテツとムエカオの中間くらいのスタイルで、
オーソドックス相手にはロー、サウスポーにはミドル、
右の蹴りを中心に ( 左はほとんど蹴らない )
中間距離を支配し、近距離は首相撲一択、
ガッチリとポジションを保持して押し込んでいく
攻撃的な首相撲で試合を支配する。
ポジションはライケンかロックサパイレン。
しかし今回は セクサンが凄すぎた。
スーパーレックはポンサネー戦、
タノンチャイ戦を見てもムエマッドには強いのですが、
それはあくまで己の中間距離を保持出来る相手限定。
この日のセクサンは全体重を掛けるような
単発の “ 強ボタン攻撃 ” をガンガン仕掛け、
しかも打ち終わりに距離を保たず、
自ら能動的に首相撲の距離へ飛び込み、
先にラットエウのポジションを取ってしまう。
それもスーパーレックの体にアゴをゴリゴリ押し当てながらの
非常にエグいラットエウで、体重の掛け方もエゲつない。
スーパーレック以外の選手であったら
耐えられず何度もバタバタと倒されていたでしょう。
首相撲の強いスーパーレックも
先にジャンケンで負けるポジションを強いられ対応出来ず、
おまけに得意の右の蹴りも完璧に対処され、
逆にセクサンの攻撃のきっかけとして
利用されてしまっています。
結局、勝負Rの3、4Rを取られたスーパーレックは、
最終R 余裕で逃げるセクサンに
時たまミドルを当ててアピールするという、
苦し紛れの行為しか出来ず。
セクサンの完全勝利 … と思ったら … え …
スーパーレックの勝ち !?
もうここまで来るとギャンブラー次第ですね …
選手はもう割り切っているんですかね …
( 訳の分からない判定に動画コメ欄も荒れています )
試合に負けても勝負を圧倒していたのはセクサンでした。
セクサンはとんでもない怪物になってきているのでは。
今回のスーパーレックの潰し方といい、
かつて梅野選手との試合で見せたフィームーぶりといい、
持ち前の凶暴さ・怖さをしっかりと保ったまま、
精度が高く理知的な戦術をも組み込んでくるので、
どの選手にとっても攻め辛く守り辛い選手になりつつあります。
逆にスーパーレックの方は
自身のスタイルの底が見えてきたように思えます。
これまでもスーパーレックに勝っている選手は
中間距離で右の蹴りのディフェンスに常に気を付けて
( オーソドックスならロー、サウスポーならミドル )
丁寧に蹴りの対処をしながら、後手で自分の攻撃を当て、
距離がやや近くなったら先に首相撲で良いポジションを取る。
セーンなんかは スーパーレックに右を一切蹴らせず、
八方塞がりになりパンチで出てきたスーパーレックを
見事に先に捕らえて首相撲地獄に引きずり込んでいました。
スーパーレックはフィームーに対しては強いです。
オーソドックスに対しては右ローの当て方と効かせ方が凄い。
左ミドルを蹴らせておいて、スウェーで避けて右ロー、
あるいは流し受けして、右ロー、
サウスポーには右インロー、右ミドルを巧みに使い分ける。
( 前足をインローで崩してからのミドルなど )
この右を自由に蹴らせると確実にスーパーレックのペースになります。
逆に言うと右の蹴りさえ対処が出来れば、
スーパーレックが得意な形で試合を進める事は出来なくなる。
以前 スーパーレックをK-1に呼んで欲しい と書きましたが、
それは撤回させて頂きます。
今のスーパーレックは、右の蹴りの入口以降、
主体的首相撲のポジション取りありきなスタイルなので
K-1ルールには対応出来ないでしょう。
K-1で成功するナックムエは “ ムエテツ一択 ”
この前のゴンナパー選手を見ていて確信しました。
※ 同興行にて行なわれた
ヨードレックペット vs パンパヤック は、
なんとヨードレックペットが逆転一撃KO勝利。
最後の技が映像で見えにくくて分からなかったのですが、
あれは左ヒザですかね …
突発的なKOかもしれませんが、
パンパヤックの絶え間ない波状攻撃を耐えに耐えて、
最終的にはあの倒し辛いパンパヤックを倒したのは事実。
スーパーレック、ヨードレックペット、
両者ともに来日前 最後の試合を勝利で飾りましたが、
同時に新たな弱点も曝け出してしまった、
そういう試合にも見えました。
ヤスユキ選手、梅野選手に期待!です。