今週も小説を読み上げました。
読んだのは「吉村昭」の「幕府軍艦 回天 始末」です。
この本は新政府にあくまで抵抗して箱館に立てこもった榎本武揚の率いる旧幕府軍をベースにしてます。
当初、海軍力において政府軍を圧倒していた。

 


しかしながら、幕軍が旗鑑「開陽」を海難で失ったのに対して、
政府が最新鋭鑑「甲鉄」を手に入れたので、彼我の力は大きく逆転してしまった。
そこで、北上してくる政府軍鑑隊を途中で奇襲し、「甲鉄」に斬り込んで奪っていまおうという大胆な作戦に出た。
フランス士官の指導を受けきびしい訓練をつんだ兵を乗せて、
幕軍鑑隊「回天」「高雄」「蟠龍」は、深夜ひそかに箱館湾をすべり出た…。
旧幕海軍艦隊の奮戦をドキュメンタリータッチで描く叙事もの。
この旧幕軍の戦いぶりを、数々の史料をもとに綿密な筆致で書き綴っている。
宮古湾奇襲作戦の準備を周到に積み重ねていく様子、出撃から戦闘の経緯、
箱館の総力戦など、手に汗握る迫力で一気に読ませる。
当然ながら新選組では、土方歳三がもちろん活躍する。
また、中島登を隊長とする密偵隊の存在もなかなか印象に残りました。
箱館戦争の場面は、陸上の戦闘も過不足なく描かれていると同時に、
旧幕軍の命運を象徴する「回天」の動きを中心として、海上戦が活写されている。
なかなか面白くて一気に読んでしまいました。