今日もメンバーみんなとスタッフで毎年恒例カウントダウンライブの打ち合わせで全員集合した。
打ち合わせの前に栗ちゃんからの指示でいつもとは違う、重役会議などに使われる会議室にメンバーのみが集められた
わざわざそんな部屋を使うのはきっと絶対にバレてはいけない話だからだ
おそらくあの日女子メンバーで話してたであろう、俺が思っている内容だろう…
俺以外の男メンバーは検討もつかないような顔で栗ちゃんを待つが、泉・宇野・千晃はお互い目を合わせるもどこかギクシャクしている
まだ解決してないんだな…
特に宇野と千晃に距離が出来、それを見る泉の悲しそうな表情がなんとも言えない気持ちになる
この3人に何があったのか…
そして千晃のマネージャーの真田さんと共に神妙な顔つきで入ってきた栗ちゃんが話し始めた
栗「今からすごく大事な話をするんだけど、社内でも私とマネージャーたちとあと社長しか知らない事だから、あまり大きな声で言わないから真剣に聞いてね」
浦「え、何?」
栗「話があるのは私じゃなくて千晃ちゃん」
とうとう来たか…
今まで見た事ないくらい鬼気迫る千晃の顔にメンバーも息をのむ
千「ちょっと前に…宇野ちゃんと泉にだけ相談したんだけど……私、妊娠しました」
西末與「「え……」」
浦「千晃…ほんと?結婚は?」
千「妊娠を彼に話したら、結婚しようって言ってくれたから…こないだ入籍しました…
赤ちゃんは今、2ヶ月入った所です」
與「えー!おめでとう!ちあちゃん!」
末「何だ、嬉しい知らせで良かったよ」
西「ほんとに。何か深刻な病気にでもなったんかと思ったやん」
浦「でもさ、ならレコ大とか紅白とかNYPとかどうする?踊れないよね?」
末「あと来年のツアーとかも無理やろ」
西「あー、そうだ…」
千「みんな、それでね…もうひとつ言わないといけない事があって……私、AAAを辞めようと思ってるの…」
末「…は?なんで?」
西「育児休業でいいじゃん」
與「そうそう、辞める必要ないやん」
浦「あと7人もいるしフォローならバッチリできるし、泉も宇野ちゃんもいるんだし…」
西「…ねぇ…今日女子メンバーなんかギクシャクしてるのってもしかして関係ある?」
西島……
こいつ普段バカな部類に入るのに、周りを見る能力は誰よりも優れてやがるから怖い
千「こないだ話してて…
確かに休業という形が始めに浮かぶんだけど、この先ね…このAAAというグループにかける思いとか情熱とかがどうしてもみんなと違ってくる…」
浦「それは仕方ないよ、母親になるってそういう事だと思うし」
千「うん。その時にね…育児中だからとか、AAAが忙しいからとか…何かと理由を付けてどちらかを疎かにしてしまいそうで…」
末「それを俺達がカバーするんじゃないの?」
千「泉と宇野ちゃんにも同じ事言われたよ……でもね、それに甘えて結局どちらも中途半端になって迷惑かけてしまうのが怖いの…」
千晃の報告と決意にみんな戸惑いを隠せない
もちろん、俺も…まだ納得していない
けど、千晃の表情はどことなく凛として見えて…
彼女には彼女なりの揺るがない決意と覚悟があるように見えた…