カーテンから洩れる光で目が覚める




腕に感じる愛しい重みを確かめると空いた手で抱き締める





「ん……」




日「おはよ、泉」




「ん……おはよ」





まだ眠そうな彼女の唇にキスをするとそっと腕をまわしてくる……




朝から至福のひとときを味わっていたら泉のケータイがなる




日「仁美?聞いたことない名前だね、地元の友達?」




「そうそう!高校の同級生でお互いの実家も近いんだ♪どうしたんだろ?こんな早くに…………もしもし、久しぶりやなぁ(^^)」




「え……」




…………





懐かしそうに電話に出た彼女の顔から一瞬で笑顔が消えて声のトーンが落ちる




どうしたんだ?




「ごめん」と何回も謝ってるのが聞こえて何か良くない事が起こったのかと思い、泉の声に耳を傾ける……




電話を切った泉が俯き、手が力なくだらりと下がる




ケータイが転がり落ちて拾うためにしゃがむと今にも泣き出しそうな悲痛な表情が見える




震えている身体を思わず強く抱き締める





日「泉……どうした?大丈夫か?」




「…………」




日「大丈夫……ゆっくりでいいから、聞かせて?」




「……吉澤くん……」




日「吉澤さん……何かあった?」




「亡くなったって……」




日「え……」




「……自殺なんだって」




日「…………」





思わぬ訃報に言葉が出ない……




もしかして何か悩んで泉に電話してきたのか……




泉は俺を気にしてあまり深入りしようとしなかった。




けど本当はすごく気にしていたはずだ。




泉を見ていればそんな事くらいわかる。




高校の同級生から聞いた話をゆっくりと、泣き出したい気持ちを飲み込むように話してくれた。





「私のせいや……」




日「泉?」




「私がっ……そっけなく…………もっと…気に…かけてたらっ」




日「違うよ」




「ごめん…なさっ……ごめんなさっ日「違うっ!!!」




日「違う…泉のせいなんかじゃない!」




「ごめっ…さか…くん…ごめん…」





今俺の腕の中にいるのはさっきまでの可愛い笑顔の天使ではなく、何かに取り付かれたように謝り続ける別人のようで……




俺の服の袖がびしょ濡れになる程自分を責めて泣きじゃくる泉を宥めるように背中をさする




嗚咽をあげて泣き崩れる彼女の声と俺の張り上げた声はホテルの薄い壁をいとも簡単に抜けて外へ洩れる




異変を感じたメンバーやマネージャーが俺達の部屋に駆けつけてきた。




浦「泉!日高!どうした!?」




西「尋常じゃないくらい泣いてるやん!何があったん!?」




佐「泉大丈夫!?」




日「……今は泉話せる状態じゃないから俺から話すよ……いい?」




こくんとうなずく泉を栗ちゃんに任せてメンバーと佐藤ちゃんを部屋から少し離れた小ロビーへ




日「実はさっき………」







泉の悲痛な顔が頭から離れなくて苦しい…