映像としては非常に美しい映画だった。
ただし、ストーリーにはいまいち素直に入り込むことができなかった。
というのも清顕の前半の態度があまりにも自分勝手で子供過ぎるからだ。
そういう役なのだろうが、妻夫木くんの演技が鼻について嫌な感じだった。
自分のせいで人のものになってしまうのに、そうなってしまってから彼女の大切さが分かってしまう。
命を顧みないで京都までも追いかけて行くほど好きなのに、どうして手遅れになる前に気づかないのか。
聡子があまりにもかわいそうであり、男性としては清顕みたいな奴が許せない。
なんで聡子もああいう奴のことを愛するのか。
清顕と何度も逢瀬を重ねるシーン、きっと、手紙を持っているという彼の嘘も見抜いてるだろに愛するがゆえに彼の言うがままになる。
聡子がけなげなだけに余計そう感じる。
海辺で「どんなものに生まれ変わっても私はあなたを見つけ出します」と言う場面はかなりよかった。
最終的には出家してしまい、清顕にも一生会わないことを誓うのだが、やはり女性のほうが強いな、と思わされた。
さて、冒頭に美しい映画と言ったが、大正時代の貴族の華やかさがとてもきれいに描かれていた。
ただひとつだけ、聡子を演じる竹内裕子(自分が好きな女優さんの一人なのだが)が全然きれいに見えなかった。。。
他の映像がきれいだっただけに、それが際立って仕方がなかった。
なぜだろう。(確か撮影中は妊娠していたから、そのせいか?)
ということで、★★★☆☆(三つ星)。
ところで、この「春の雪」は4つの物語からなる「豊饒の海」
の第1部ということで、映画にも出てくる夢日記などが後のス
トーリーに関係してくるらしい。
三島文学は未知の世界であり、以前から興味はあったので、こ
れを機会に読んでみたい。
きっと原作は映画と違い深みのあるものであろう。