祝!濡蓮制作委員会(ヌレン)

・・・と、いうわけで。

某夜会に出席した折に頂戴した宿題。

こんな私が書いていいのか?と思いつつ、

きゅ。様の麗しいイラストにノックアウトされ、

力量省みず参加申し出をさせていただきました。


や~もうほんと、制作の早い(しかも力量はかりしれない)方達ばかりの中で書くということは、とても恐れ多いことではありますが、何分、亀進行しかできないので、もし、もしも!他の方々とシチュエーションが似てるぞ、ということがあっても大目にみていただけるとありがたいです~~~あせる

けっしてパクっているのではないです。

きっと、妄想が同じ方向だっただけ、ということだと・・・。ガクリ


ま、そんな言い訳さておいて。

では、以下から妄想スタートです。












探しているものは・・・


ザァーーーーー


――― ん…水音…?…敦賀さんまだシャワーに入って…


ふぅっと意識が浮上する。まどろみの狭間をふわふわと漂っていたキョーコの意識は、目を開けた次の瞬間一気に覚醒した。


「え・・・?敦賀さん・・・いない?」


目をあけて、最初に見るはずの蓮の姿はそこにはなく。あるのは少しだけ使って乱れた跡のある空のベッド。

キョーコはゆっくりと身を起こす。まだ半分身体は眠っているらしく、きびきびとしたいつもの動きはできない。


「そういえば・・・水音・・・。雨、なのね」


起き上がって、カーテンを引き忘れた窓を見つめると、硝子を激しく叩きつける雨と、雲間を走る電流が時々部屋を照らしていた。

色々ありすぎた一日に疲れが溜まっていたのか、今日はウィッグを外す事も忘れて床に入ってしまったらしい。

微動だにせず爆眠していたのか、それほど乱れてはいない状況にほっと息をつく。

そうして、ふと隣のベッドを見て、その主がなかなか帰ってこない事実にようやく気が付いた。


「・・・・え?・・・どういう・・・こと?」


自分が目覚めてからだいぶ時間は経過している。ちょっとした用なら戻ってきてもいい時間だ。なのに戻って来ない、ということは・・・。


キョーコは急いでセツカの外出着に着替え、羽織るものと携帯だけを握ると靴を履くのももどかしい思いで外に飛び出した。



雨の中を傘もささずに飛び出していくキョーコに、ホテルマンが驚いたように声をかけるが、その制止の声はセツカとなっているキョーコには届いていない。

冷たい、2月の凍るような雨が着ている服をあっという間に濡らし、体温を奪っていく。

しかし、そんなことに構っていられないキョーコは、思い当たる場所を片っ端から探してひた走る。


部屋の中を探そうという思いはまったくなかった。なぜか、キョーコには蓮が部屋にはいない、という確信めいたものがあったからだ。

『何故か?』と問われれば『わからない』としか答え様がない。

ただ、自分が起こしたトラブルで、何かが蓮の中で起きたことだけは悟っていた。

敦賀蓮としてのことなのか、BJとしてのことなのか、それともカイン・ヒールとしての何かなのか。

それは蓮にしか分からない事だ。

でも、あきらかに今までの蓮にはなかった辻褄の合わない行動や、態度がその『何か』があることをキョーコに気付かせている。


  今、あの人をひとりにさせてはいけない!


なぜか、そんな思いがキョーコの胸の中で渦巻く。

底の知れない恐怖。感じたことのない闇。言い知れない孤独感・・・。

蓮の見せた殺気は、そんな恐ろしいものまでキョーコに見せていた。


あの瞬間、きっと蓮は狂気に捕われていたに違いない。それが演技でのものだとしても。

だが・・・。

走り続けていたキョーコの足がぴたりと止まる。


――― 演技だとしたら、何故あの瞬間の戸惑いが生じたの?

     まるで・・・自分の何かに驚くような…怯えるような…


自分の白い吐息と、降りしきる雨が視界を遮る。

奪われる体温と慣れない靴での全力疾走で、キョーコの体力と思考は限界に達しようとしていた。

そんな自分を奮い立たせるように、キョーコは勢い良く頭を振る。


「しっかりするのよ、キョーコ!」


――― 今、敦賀さんはきっと、『カイン』になることで、何か心の内のトラブル

     を抱えてる。

     だとしたら、私はキョーコとしてじゃなく、カインの妹の『セツカ』なら

     どう考えて行動するか、を考えなきゃ!

     こんな時…セツカならどうするの?


混乱の中で、必死になるキョーコ。いつもなら、セツカなら、と思うだけでその行動が取れるのに、今は必死に考えても切り替わらない。

切り替えようとしているのに、『最上キョーコ』としての自分の意識が邪魔をする。


――― どうして!?今必要なのは、キョーコじゃない。セツカなのよ!!


思った瞬間、胸の奥でツキンと走る痛みを感じた。

が、今のキョーコにそれを考える余裕などない。


自分の迷いを振り払うように、キョーコは目を閉じ、祈るように両手を口元で組み合わせる。


「カイン・・・兄さん」


名を呼び、組んだ手にぐっと力を一瞬込めてゆっくりと目をあけた。


「まってて・・・必ず見つけるから。兄さん」



完全に意識をセツカに切り替えたキョーコは、再び雨の中を走り出した・・・・。





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すみませ~ん。生意気にも続いちゃったりしま~す( ̄Д ̄;;

続き、早々に上げたいと思いますが、委員会の皆様、こんな感じでもいいでしょーか?(((( ;°Д°))))