やって来ては去っていく人また人

 
家族的雰囲気の職場、などと打つ求人募集の求人倍率はいかほどのものか ?
人によるれば忌まわしさばかりをフラッシュバックさしかねない惹句だ。

笑う門に来る福と
笑いの共同体的懲罰としての側面との軋みを忘れてはいけない。

時代と共に世代間の隔たりは徐々に消え始めても、
物事に秩序を求める時には、多様性だって新たな混乱としか見えなず、
可能性と云われたって、広漠とした心細さのバリエーションとしか見えない時もあるだろうよ。

aさん、bさん、cさん、と名前を覚える前に職場を辞やめて行き、わたしは淡々とした人との距離を掴む事ばかりが上手くなってゆく。

きっと彼女や彼氏らは、心地良い無関心さが欲しいかったのだろうと思えたのは、わたしのまた望むところであったからか。





ルー・リードは都市生活者たちの生活を見つめていた。




作詞.作曲    ルー・リード
対訳  沼崎敦子


父親のゆがんだ性癖は息子にも引き継がれ彼を悩ませ当惑させる続ける
血管を流れるドラッグのせいで彼は
鏡の中で見つめている顔にツバを吐きかける
どうして彼に善悪の区別ができるというんだ
自分の名前さえ思い出せないというのに
どうして彼にすべきことができるというんだ
彼は指導者ではなく従者にすぎないのに
母親の病気は娘に引き継がれ
彼女は小さくて救いのないまま 
酒は銃のような勢いで彼女の脳を撃ち抜き
彼女は堂々回りの末
わけがわからなくなってしまう
どうして彼女に善悪の区別がつくというんだ
彼女が自分の部屋で仰向けになっているときに
どうして彼女にすべきことができるというんだ
彼女は臆病な厄介者だというのに
男は結婚すると子供をボコボコ殴り続け
際限のない言い訳をするのだ
女も悲しいかな似たようなもので
それは正しくて妥当なことだと思っている
自分たちのママやパパがやったのよりはマシ
自分たちの苦しい子供時代よりはマシだと
真実はこうだ
彼らは苦しんでいるときの方が幸せなのだ
事実、だからこそ彼らは結婚したんだ