馬はもう限界だった

たが走りを止めることは無かった

無目的に機械的に走り続けていた


ただ心の片隅に、ほんのわずかだけど

「このまま走っていれば、あのゲートを潜り抜けさえすれば、いつか幸せになれるはずだ」

その思いがあった

それだけしかなかったと言ってもいい


その一方で、

「一体いつまで?」

「本当にこのままでいいの?」

「いつ幸せになれる?」

という疑問も常に付きまとった


いつもグルグルグルグル廻っていた

そこから抜けよう、とか、別の道を行こう、などは、空想することはあっても実行には移さなかった

空想することで、「こんなはずではない」と自分をキープしていたのだろう



そして、いつの頃からか、

二言目に出て来る言葉は

「私は不幸だ」

という言葉になった


「どーせ」や「やっても無駄」や「いつかやるよ」

否定語が目立つようになってきた


それに比例して、

前には時折聞こえていた「応援の声」が全然聞こえなくなっていった


ただ「今」を凌ぐためだけに走っているだけ

いつの間にかそうなっていた

そうなっていることに当然馬は気付いていなかった



つづく