講演会で説明するために、分厚い楽譜を持参しました。

R.シュトラウスの《影のない女》のフルスコアです。

以前、新国立劇場で公演があった際、演出家ドニ・クリエフ氏にインタヴューするために買って読んでおいたものでした。

この分厚さ。

講演会で「同じぐらい分厚いものとしては、ワーグナーの《ニュルンベルクのマイスタージンガー》になります」とお話ししたので、念のために家で確認してみました。


すると、厚さとしては《影のない女》の方が多少分厚かったものの、ページ数でいえば、《マイスタージンガー》の方が100頁以上も上回りました。紙質の違いもあって、それでも《影のない女》よりは薄く見えたのです。

最近、2回、《影のない女》について講演会をする中で、私のこの作品に対する共感度が、100位ほど上がったように思います。やはり、「なんでも慣れ」なのです。

キリル・ペトレンコ指揮のバーデン・バーデンでの映像が一番と思います。今のところ。

キャラクターの誰がどういう立場か、それが衣裳でひと目でわかるのと、ペトレンコの指揮のおかげで、楽想の塊が聴き取り易いのです。



それにしても、乳母の役の音域の低いこと。実に難しい役だと思います。でも、この人が悪魔的な存在感を発揮してこそ、このオペラは分かりよくなる。世界的な名手が好んで演じる役柄でもあります。主役を喰う準主役と言う感じ。

オーケストラが全部で120名以上も必要な作品ですが、120名全員がいちどきに鳴らすわけではないから、繊細な響きの箇所も多いですね。

物語としては、アラビアンナイトと《魔笛》の世界を混ぜている寓話オペラとして、面白いなと思うのです。


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