「誕生日だけど、白酒さんの独演会行く?」
いつも独自に山だ落語だ文楽だと出かけていく、妻からの珍しい声掛けです。
桃月庵白酒師匠。
今、私が最も好きな噺家さんです。
当然、行きたいってことになります。
その日は雨。
歩くのがかったるいってことなので、クルマで行くことに。
会場は、中野ゼロホールの小ホール。
ここは、2017年から4年連続で参加した、1万人の第九・中野クラスの練習が行われた会場です。
私に与えられた席は、ちょうどバスパートが歌っていたあたり。
懐かしいなあ・・・
開口一番は、前座の桃月庵ぼんぼりさん。
演目は『道灌』
まだ羽織を着ることも許されていない前座さんながら、この人は声もいいし噺もうまい。
きっとよい噺家さんになる人材でしょう。
そして白酒師。
福々しい体型で、柔和な顔をしていながら、毒舌を吐くところが面白い。
この日は、失言で職を辞することになった静岡県知事のことをターゲットにします。
いやあ、笑った笑った。
そこから入ったのは『喧嘩長屋』
毒舌が鋭いのですから、喧嘩させたってそれは上手いに決まっています。
舞台袖に引っ込んで、すぐにまた出てきてやってくれたのは『四段目』
独演会なんだから当たり前ですが、大好きな白酒師を続けて聴けるのですから有り難い。
中入りを挟んで出てきたのは、三味線を抱えた桂小すみさん。
芸術協会に所属する音曲師が出てくれるのは、主催者が偉いんでしょうかね。
白酒師匠には、マクラで貶されていましたけどね。
我が家の芸能評論家によれば、この人は音楽の先生だったそうな。
それだけに、和に囚われない多彩な曲で我々を楽しませてくれました。
そして、トリはもちろん、また白酒師匠。
演目は『お見立て』
白酒師匠は、鹿児島出身ということですが、あれは北関東なのか東北なのか分かりませんが、あの杢兵衛大尽の訛った感じは最高です。
終演は9時過ぎ。
「何が食べたい?
帰りは私が運転するから飲んでいいよ」
と、言われてもなあ…
中野かあ、高円寺ねえ、阿佐ヶ谷もねえ…
などと言いながら、クルマはどんどん西へ進んでしまいます。
「あっ、そうだ!
ヒナタでいいや。あそこに普段は注文することが出来ない高価なステーキがあるんだよ。
あれでいい」
と、地元まで戻ることに。
クルマを停めて『大衆鉄板ヒナタ』へ。
滅多に飲みには出かけない妻は、どれもこれも美味しいと言って喜んでいます。
そして、お目当てのアレが来ました。
2700円くらいだったかなあ。
それにしても焼き加減もお上手!
子供たちが巣立ってしまった今となれば、ご馳走といってもこの辺りがいいのかもしれませんね。