イーシュカ Jíška
油脂と粉を一緒に火にかけてつくる、チェコの「ルー」のことです。明るい色のイーシュカを作れば、ホワイトソースの素になりますし、濃いきつね色になるまで炒めたイーシュカを作れば、ブラウンソースの素になります。
本来は、油脂と粉、それぞれ同じ分量で作りますが、チェコ料理のブログでは、油脂を半分の量にしています。
私自身、チェコの人が食べているのと同じ量の油分の入った料理をとると、いつまでもお腹に料理がたまっている感じになるので(腹もちがいいということですが)、なるべく油脂の量は控えめにしています。同じようにクリーム類の量も控えめにしています。
イーシュカについて考えてみました。イーシュカの目的は、スープに色を付けることと、スープにとろみをつけることです。日本でも葛や片栗でとろみをつけた料理がありますが、とろみをつけることで、のど越しをよくするほかに、料理を保温することができます。冬が厳しいチェコでは、料理が冷めないようにイーシュカでとろみをつけたスープを作るのではないでしょうか。コンソメスープなどと比べるとイーシュカを使ったスープは冷めにくいです。
スープのほかに、鍋にバターを熱して、すぐにお粉を加えて作ったイーシュカに牛乳とナツメグ・パウダー(*スパイスの欄参照)を加えて、気長に火にかけてかき混ぜているとベシャメルソースができます。ベシャメルソースを、耐熱容器に並べたゆでたブロッコリーやカリフラワーにかけて、チーズを散らしてオーブンで焼けば、手軽でおいしい一品になります。
チェコ語の学校で一緒に勉強したベルギー人の女性によく食事に呼んでもらいました。あるとき、彼女のベルギーの自宅訪ねた際に、クレープパーティーに呼ばれてゆくと、みんなでちょうどクレープ作り中。早速手伝いをはじめると、クレープに包み込むベシャメルソースを、調理師として働いているというベルギー人が作りはじめました。興味シンシンでのぞいていると、ベシャメルソース作りのコツを教えてくれました。彼曰く、みんなは、早くとろみを出したくて、粉をいっぱい使うけど、最低限の量の粉でルーを作って、牛乳を加えて気長に混ぜていると自然にとろみは出てくるし、その方が太らなくていいよ、とのこと。
以来、ベシャメルソースを作るときは彼の言葉に従っています。
ベシャメルソースを使ったベルギー料理も教わったので、機会があったらブログにも書きますね。