はい! 奈央です。
前のブログでウィリアム・ギルバートさんが、地球は大きな磁石であるということを発見したことをお話ししましたよね。
今回は、 なぜ、地球は磁石なの? というお話です。
現在、地球が大きな磁石であることの原因としてコンセンサスを得ているのがダイナモ理論です。
一般に、電気伝導度の高い物質が磁場中を動くと、電磁誘導の原理によって電場が生じ、電流が流れます。
これが発電機 (ダイナモ) の原理です。
ダイナモ 中古トラック買いたいHPよりお借りしました。
地磁気の起源に関するダイナモ理論の「父」は、ドイツ人のウォルター・エルサッサーです。
1946~1947年にかけて、エルサッサーは、は地球の電磁場は液体核の渦電流に由来するという理論の論文を公表し、地球の流体外核の中で誘導されている電流によって地磁気が作られているのだ!と提案したのです。
Walter Elsasser Physics Today HPよりお借りしました。
敗戦直後のドイツなのに凄い人ですよね。
現在、地球の内部の核(コア)において、鉄やニッケルを主成分とする液体金属が自転の効果を受けながら熱対流することで電流を生じ、この電流が磁場を作っていると理解されています。
地球内部の構造と磁場 Nature ダイジェストよりお借りしました。
下の図の外側の球面がコア表面、内側の球体が内核です。
自転軸は図で上下方向です。
内核表面が加熱されると外核の流体は熱対流運動を起こします。 赤道面上の矢印は、生じる流れの方向を示しています。
また、赤道面上の赤い部分は磁場強度が強い領域を現わしています。
地球型ダイナモの数値計算例 東京大学理学部地球惑星物理学科HPよりお借りしました。
北から見て時計回りの渦に磁場が閉じ込められ、生成する磁場は、赤道面を貫く自転軸に平行な双極子磁場(ポロイダル型の磁場、赤い磁力線)で近似されるのです。
もう一つの磁場は、コアの中をらせん状に周回するトロイダル型の磁場(青い磁力線)といいます。
これら二種類の磁場が存在します。
地球の磁場 GIZMODO HPよりお借りしました。
地磁気の逆転現象について
しかし、地球の磁場には、もう一つの謎があります。
そう! ”地磁気の逆転” 現象です。
2011年11月、東京工業大学の廣瀬敬教授らのグループが、地球内部の外核が二層に分かれて対流している可能性を示して注目を集めました。
外核とは、地下2900〜5100kmにある液体金属の層で、その対流によって生じる電流が電磁誘導によって地磁気を発生させているのです。
そして、もし外核に二層対流があれば、地磁気の逆転現象を説明できるかも知れないというのです。
地球内部の層構造と廣瀬教授の研究成果 SPring 8 大型放射光施設HPよりお借りしました。
二層対流では、上下が独立して対流しているため、上層の対流はマントルによって冷やされ、温度が下がっていきます。
一方、下層の温度はほとんど変わりません。
こうして温度差が大きくなると、二層対流は不安定になり大きく乱れます。
しばらくして温度が一様になると、再び二層対流になります。
その時に、対流の向きが偶然逆転すれば、地磁気も逆転するというわけなのです。
外核の対流様式 SPring 8 大型放射光施設HPよりお借りしました。
以上の話しをもう少し、解りやすいモデルで示しましょう。
1958年、地震学者として有名な力武常次博士が、2つの円板をつないだ結合円板モデル(力武ダイナモ)を提案しました。
このモデルでは、磁界の向きが正負に反転しながら振動するのです。
このことは、コンピュータ・シミュレーションによっても確かめられているそうです。
地磁気逆転を説明する力武ダイナモの結合円盤モデル TECH-MAG HPよりお借りしました。
ふーん。 地球の中心付近に在る外核が液体状態で、それが流れているのね。
その流れ方の変化によって、地磁気の逆転が起こるというわけなのね。
解ったような、解らなかったような、そんな気分ですけど、地球の真ん中のことが、よくこんなに解るものなのですね。
そのことに驚いてしまいます。
それじゃあ、またね。