集中講義録・エネルギー資源を理解する(2) 値崩れ防止の「代替エネルギー」 | いわき市民のブログ I am An Iwaki Citizen.

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ベルトルト・ビレヒト: ガリレイの生涯、第13幕

集中講義録・エネルギー資源を理解する(2) 値崩れ防止の「代替エネルギー」
http://takedanet.com/2013/03/post_d715.html

「energy02otoritdyno.97-(7:21).mp3」をダウンロード

エネルギーを扱う専門の超大企業、メジャーが日本でいう「代替エネルギー」、「新エネ」、「自然エネルギー」「再生可能エネルギー」などに熱心では無いにはそれなりの理由があります。

まず第一に、石油などの化石燃料が1000年以上もあるのだから、常に値崩れの心配があります。「資源」というものを扱う企業がもっとも恐れていることは「相場の下落」です。もともと資源というものは価格があって無いような物なので、石油ショックの時のように1バレル2ドルから30ドルへ一気に上がるということも起こり、反対に急落する事もあります。

資源は「資本、探査、土地、政治資金」などに大量にお金が必要なビジネスで、単に「地下の物を掘り出して輸送する」だけならきわめて安価なものです。でも、政治資金や土地利権などは表面に出しにくいので、ひとたび「高値」の攻撃を受けると防ぎにくいという特徴があります。

ですから、化石燃料より値段の高い(供給コストの高い)エネルギーは常に資源会社にとっては「値崩れ防止」のために大歓迎なのです。

第二に、化石燃料が膨大にあるのですから、その掘削技術が最も大切で、新エネルギーなどやる必要も無いという理由です。日本で注目されている新エネルギーについてメジャーがいずれもあまり熱心では無いのはこのような理由があるからです。

つまり、「税金を求めているか、どうか」がポイントです。

日本人が税金でやっている新エネルギー関係の動きは石油などを扱っている巨大メジャーにとっては「バカだけど、ありがたい」という感じなのです。なにしろ危機を煽ってくれるので値段を高くできるし、おまけに効率の悪いエネルギーを高く生産してくれて、それを税金で買い取っているので、笑いが止まらないということです。

私がマスコミなどを批判するのは、日本を代表するような番組や紙面が、日本の不利になることを承知で報道するからです。かなり頭の良い人が番組を作るし、NHKなどは昔の記憶で信頼している人が多いので、それを利用していますから、なかなか大変ですが、事実は簡単なのです。

日本国民の考えなければならないことは、世界ではこれほどエネルギーが豊富で、生産国の数が多いのですから、自分の税金を出さなくてもエネルギーは心配ないのです。

エネルギーは「国産」されます。でもその意味は「資源は技術だ」ということだけがポイントになります。その意味で、自然エネルギーでも「電気を生産する」というより「資源の技術を作る」という方向に進むのが日本に適していると考えています。

(平成25年3月11日)


武田邦彦