甲状腺検査情報は正確か? 桐生担当参事官の黒い影
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「異常なし」コメントの担当官
今月8日に発表された甲状腺有所見率調査事業の結果では、「福島県の子どもにおいて発見された異常の率は他県と変わらない」とする所見が語られた。このコメントを出した桐生康生放射線健康管理担当参事官に、水俣病関連の黒い疑惑がささやかれている。
福島の甲状腺異常は他県と同じ
福島県が3歳~18歳の子どもを対象に行った甲状腺検査では、4割を超える子どもに、しこりやのう胞などの異常が発見された。これまでの研究では、こういった異常が見つかる確率は1%以下とされていることから、厚生労働省では比較検討のため急遽、他の都市でも検査を実施。
今月8日に速報値を発表した。検査が行われたのは、青森県弘前市、山梨県甲府市、長崎県長崎市。福島第一原発から距離があり、検査態勢が整っている都市が選ばれた。
対象となったのは3歳~18歳の子ども4365人。検査の結果、57.6%の子どもにしこりやのう胞が認められた。福島県の調査より多いことから、厚生労働省では担当の参事官が「他県とほぼ同様だったと考えている」とコメント。
福島の子どもに、被ばくの影響は出ていないことをアピールした。
水俣病患者認定で医師に圧力
この参事官の存在が、今、問題として認識され始めている。桐生康生参事官は、過去に水俣病やアスベストなど、大きな公害問題に対処してきた経歴を持つ。
特に水俣病では、患者の認定を巡る裁判に際し、診断した医師に「水俣病ではなかった」と証言するよう、桐生氏が室長を務めていた環境相特殊疾病対策室が圧力をかけた、とする告発もある。
今回と同じく、大企業が引き起こした大規模公害の担当官となった桐生氏は、水俣病においてもさまざまな情報統制に奔走していた形跡がある。
企業を守る情報統制の専門家
ライターの奥田みのり氏が綴っているブログによると、環境省特殊疾病対策室の桐生室長は、2012年2月に東京で開かれたセミナー「水俣病の教訓を次世代に伝えるセミナー
~水俣病の経験を超えて・若い世代の挑戦~」に参加。
「水俣病を取り巻く現状について」と題した講演を行ったという。その中では、資料に記載されているにもかかわらず、「チッソ」という社名を出すことを避け、「正しい知識のみでなく、適切な知識を広めることが重要」とする意味深な発言もあった。
今回、厚生労働省がこういった人物を福島第一原発事故の担当官に据えたことからは、地域住民か東京電力か、どちらを向いて仕事をするつもりか、ハッキリとうかがえる。
今回の比較調査に際して、医師に圧力はなかったのか。漠然とした疑いが生じるだけでも、適切な人事とはいえない。