こんばんは。ヨーロッパ旅行最終日の最後の夜です。昨日まで十分に遊んだのと、明日はフライトをキャッチするために朝がちょっと早いため、今晩は友人宅でゆっくりすることにしました。


さて、出版業界の世界での可能性についてですが、結論から言うとどの業界よりも可能性があります。今日はいくつかの視点からそのポテンシャルについて説明します。


まずはマーケットの現状について考えます。既にご存知の方は多いと思いますが、ドラゴンボールやポケモンを始めとしたアニメ漫画たちは世界中のほとんどの地域で有名で世界中の子供が知っています。アメリカはもちろん、イタリア、スペイン、ギリシャ、さらにはエジプトなんかでも日本のアニメキャラのグッズを見かけます。


ちなみにこれ以外のCユーザー向け商品で日本発の有名な物は車と電化製品のみです。そして、車も電化製品も海外の競合他社の勢いはすさまじいです。しかしながら、漫画業界において競合する相手など現状ほとんどいないに等しいです。当然ながら、全ての商品はコピーライトで守られており、無料で見れる漫画サイトは多いとはいえ、そうそう簡単に漫画を書く技術までコピーできてしまう物でもありません。現状ボトルネックになっている事としては、その価格です。アメリカでは例えばドラゴンボール1冊が$7.50もします。中古で買えば安いですが、新刊は輸入品になり、かつ翻訳が入るのでどうしても高くなってしまうようです。


次に商品のカテゴリーについて考えてみます。日本では、大人から子供まで漫画や小説を読みます。海外の漫画市場と日本の決定的な違いは、日本の漫画、アニメと言えばすべて子供向けと思われている点です。例えば、私は小学校時代から漫画日本・世界の歴史を読んで歴史を学んだし、営業マン時代にはミナミの帝王やサラリーマン金太郎、島耕作シリーズなどをよく読んだものです。実際漫画から多くのことを今でも学びます。


それを海外の人に話すとびっくりされます。すなわち、子供向け以外の漫画市場は完全に未開拓であり、日本の教育のように、数学や理科、歴史等の教科書を分かりやすい漫画にして出版してあげれば大きな需要が見込めますし、ビジネスカテゴリーにおいてもまったく同じことが言えます(エロももちろんでしょう笑)。


また、海外において、漫画家を育成するような環境は皆無に等しいですので、出版社はそこのニーズを捉えることも長い目で見れば可能でしょう。DeNAなんかはそういった意味でも今度のドコモとの合弁会社に加えて他の海外市場へのポテンシャルを考えて戦略を立ててくるでしょう(立てれないなら私が立てます笑)。


では次に販売チャネルについて考えてみます。日本でもipad(私は出来損ないだといまだに思っているので買ってないが)が発売になり、たくさんのブログでそれに関する可能性について触れています。書籍デジタル化は2010年からの10年において革命的な役割を持っていると私も考えていますので、デジタル書籍市場は特に熱いでしょう。それに加えて、ホリエモンがブログで紹介しているような、家庭用のスキャナーを利用した書籍のデジタル化は、ipodが起こした革命を彷彿させます。


しかしながら、どの企業もMBAを雇いすぎているせいだかなんだか知りませんが、デジタルブックリーダーの販売手法は非常に保守的です(MBAマーケティングの考え方で言えば、現在の顧客はアーリーアダプターに当たり、企業は高い利益率確保を前提に製造コストを元にした商品価格を設定しがち)。もしソフトバンクの孫さんなんかがこの業界にいたら、無料スキャナー付きのipadなりキンドルなりをバンバン駅前で非常識に安い値段で赤字覚悟で売りまくっていることでしょう。そういった意味でも、人々の習慣を変えるのは難しい、という固定観念から、顧客ニーズ主導のマーケティングがされているとは言い難いのが現状です。そしてこれはここ1~2年はそのまま続くでしょう。


まとめますと、

①既に世界で成功している分野である。
②競合他社はほぼ皆無の独占的市場。
③セカンダリー市場いまだに未成熟もしくは無し。
④多様な販売チャネル。

という漫画家、小説家にとっては夢のような市場です。


最後に付け加えるとするなれば、漫画や小説と言うのはメディアなんです。


アメリカが世界で成功している最大の理由はなんだかご存知でしょうか?


それは映画産業での大成功です。そのため、アメリカは国が映画産業を最優先の産業として位置づけており、マクドナルドやリーバイスを始めとする世界企業は例外なくその恩恵で成功を手にしています。


早い話が洗脳です。


日本においては知らない人のいない徳川家康や織田信長も、世界の99%の人は下手したらその名を聞いたことすらありません。サムライという言葉は知っていても人名は0です。我々は世界史を勉強しているので、ゼウスやポセイドンなどのギリシャ神話上の人物の名前を知っていますが彼らは我々の歴史的有名人のことをぜんぜん知りません。


しかしながら、織田信長は知らなくても’’孫悟空’’や’’麦わらのルフィ’’は知っているわけです。これは日本人の私から見れば滑稽な事です。当然日本にずっと住んでいては、それがどういう意味を持っているのか知る由も無いでしょう。


なので、一時期麻生前首相が漫画博物館を作ると言ったり、観光業をもっと拡大すると言っても日本国民には、


’’あの漫画好きの首相は頭がどうかしてしまっている’’


などという方向に話が行ってしまうわけです。世界を知らない日本人は損していることがわかりますね。今後、日本が世界にどんどん商品や技術を持っていく際に一番物を言うのはブランドイメージです。それを作るための切り口になるのは当然アドです。しかし、一企業ががんばって冷蔵庫のアドをしたところで、国を挙げて海外市場を切り開いているサムスンなんかに勝てる訳がありません。私はエジプト、カイロの高速道路で何キロにもわたるサムスンのアドを見て非常に危機感を覚えました。


ところがどっこい漫画や小説の影響力を持ってすれば非常に手軽に強いイメージを植えつける事も可能です。むしろ現状の日本が持っている武器で、その役割を果たせるのはゲームか書籍だけです。英語が話せる俳優、英語で脚本を書ける脚本家が世界の競合と戦えるほど日本にたくさんいるとは残念ながら思いません。そして今後も無理でしょう。つまり日本の漫画や小説は経済戦争における細菌兵器と同等の攻撃力を持っていると言えるでしょう。


前回の投稿でも言いましたが、価格優位性の無い日本の商品を世界で買ってもらうためには、第一に日本のことをより知ってもらい、好きになってもらう必要があります。その為にはたくさんの人に日本に実際来てもらうのがベストです。


いつも通り長くなりましたが(おつかれ)、日本の出版業における社会的役割・貢献度は今後の日本の将来を考える上で非常に大きい物と冗談抜きで考えています。


なので、出版各社はさっさと私にコンタクトをとり、海外マーケティングマネージャーとして年収は2000万くらいで私を採用するべきなんです。


さて、明日は待合の時間を入れて28時間の旅を経て、日本に帰ります。

それでは乙でした。