死亡原因って結構大事なんですよね。
そんなことを強く感じる日がありました。
そんなことを強く感じる日がありました。
先月、外科当直をしていた日の話。
救急外来から自分の院内PHSに電話。
救急外来から自分の院内PHSに電話。
「今から90代の女性がCPA(心肺停止状態)で来ます!」
どんな状況ですか?ってたずねると、よく分かりませんとの返答。
心肺停止の患者さんの対応になれていないとき。
人手が足りなくてバタバタしているとき。
人手が足りなくてバタバタしているとき。
そんなときは状況把握ができないままの搬送が生じる。
現場ではとにかくCPR(心肺蘇生)をして急いで搬送しなくちゃ!
そんな焦燥感に支配されてしまうのだろう。
現場ではとにかくCPR(心肺蘇生)をして急いで搬送しなくちゃ!
そんな焦燥感に支配されてしまうのだろう。
大事なのは、
心肺停止してからどれくらいの時間が経過したのか
瞳孔が散大していないか
の2点。
心肺停止してからどれくらいの時間が経過したのか
瞳孔が散大していないか
の2点。
TVでもやってると思うけど、心肺停止してから30分以上経過していたらまず助からない(教科書的には15分を超えると絶望的といわれている)。
その判断の手助けとなるのが瞳孔散大の有無。
瞳孔が開いているってことは脳に強い傷害がでている証拠。
運良く心拍が再開したとしても、植物人間になってしまう可能性が高くなる。
その判断の手助けとなるのが瞳孔散大の有無。
瞳孔が開いているってことは脳に強い傷害がでている証拠。
運良く心拍が再開したとしても、植物人間になってしまう可能性が高くなる。
いたずらに救命措置を行うことは、措置を受ける患者さんもきついことだと思う。
心臓マッサージに気管内管。
救命できればいいのだろうけど、そうじゃないときはむごたらしい結末になることもしばしば。
心臓マッサージに気管内管。
救命できればいいのだろうけど、そうじゃないときはむごたらしい結末になることもしばしば。
この患者さんの場合は、心肺停止から少なくとも20分以上経過してからCPRが開始された。
到着時、すでに両目とも瞳孔は散大していた。
一通り救命措置をとってはみたものの回復する兆しはなかった。
到着時、すでに両目とも瞳孔は散大していた。
一通り救命措置をとってはみたものの回復する兆しはなかった。
救急隊員に状況を聞くと、お風呂の中で浮いているのをお嫁さんが発見したとのこと。
入浴後、10-15分過ぎても上がってこなかったので様子を見にいったそうだ。
入浴後、10-15分過ぎても上がってこなかったので様子を見にいったそうだ。
家族を呼んで救命することができないことを告げるとお嫁さんは泣き崩れた。
「自分がもっと早く見つけていれば・・・。」
そのことをすごく悔いていた。
お風呂にはいるまでは元気だった義母。
自分の発見が遅かったのが悪かったんじゃないかと自分を責めていた。
「自分がもっと早く見つけていれば・・・。」
そのことをすごく悔いていた。
お風呂にはいるまでは元気だった義母。
自分の発見が遅かったのが悪かったんじゃないかと自分を責めていた。
90代の高齢者。
入浴中に心肺停止状態になっている。
入浴中に心肺停止状態になっている。
考えられる病気は・・・
不整脈による突然死。
動脈瘤などの破裂による出血死。
もしくは脳梗塞や脳出血。
不整脈による突然死。
動脈瘤などの破裂による出血死。
もしくは脳梗塞や脳出血。
死因を検索するために、まずはレントゲンをとってみる。
心臓の上に位置する縦隔といわれる場所の影が大きくなっている。
おそらく、胸部大動脈瘤の破裂、もしくは大動脈瘤解離による出血死が原因と思われた。
ご家族と相談し、死因を特定するために胸部CTを撮影。
やはり大動脈解離があり、それが破裂していた。
心臓の上に位置する縦隔といわれる場所の影が大きくなっている。
おそらく、胸部大動脈瘤の破裂、もしくは大動脈瘤解離による出血死が原因と思われた。
ご家族と相談し、死因を特定するために胸部CTを撮影。
やはり大動脈解離があり、それが破裂していた。
今回の病気は、突然起きたもので誰のせいでもないこと。
もし、倒れたのが目の前で、すぐに救急車で搬送したとしても助けることができる可能性がとても低いこと。
あまり苦痛を伴わずにすむため、年齢を考えると大往生ともいえること。
などを家族に伝えた。
もし、倒れたのが目の前で、すぐに救急車で搬送したとしても助けることができる可能性がとても低いこと。
あまり苦痛を伴わずにすむため、年齢を考えると大往生ともいえること。
などを家族に伝えた。
元気にしていた人間の突然の死は、その人がどれだけ高齢でも受け入れにくいもの。
特に倒れている所に遭遇した人のショックはとても大きいと思う。
原因が分からなかったら、きっとこのお嫁さんは後悔し続けたままだったと思う。
特に倒れている所に遭遇した人のショックはとても大きいと思う。
原因が分からなかったら、きっとこのお嫁さんは後悔し続けたままだったと思う。
亡くなった方をCT室に連れて行き検査をすることはなんともいえない気分になってしまう。
でも、そうすることで誰かの気持ちを楽にできることがあるんだと感じた。
でも、そうすることで誰かの気持ちを楽にできることがあるんだと感じた。