課題本から受けたインスピレーションを基に800文字のエッセイを執筆して、月一でセミナーと課題作品の合評会をします。

 

 

10月の課題図書

『心に刺さったままの言葉のトゲをじょうずに抜く本』

kokko (著), 秋田緑 (イラスト)

 

 

「ちゃんとしなさい」(→ちゃんとできない私はダメだと思い込む)、「人に迷惑をかけないで」(→人に迷惑をかけたらどうしようといつも不安)、「ダメね」(→自分はダメな人間だと自信を持てない)……など。大人になった今、あなたが苦しんでいるのは、子どもの頃に言われた“言葉のトゲ”が心に刺さったままだからかもしれません。具体的な25の言葉を取り上げ、人生を困難にしてきたその言葉のトゲを抜く言葉を紹介。さらに、その後の人生のお守りとなる言葉を贈る。言葉で傷ついた心を言葉で癒やす心理エッセイ。絵本作家・秋田緑さんの挿絵も多数収録。

(Amazonより)

 

 

 

 

エッセイはこちら↓↓↓

 

 

縄文杉に呼ばれて

 

直感で行動すると、

「私はここで何をしているのだろう」と思うことがたびたびある。

先日もやってしまった。

 

屋久島の縄文杉を目指す一泊二日の登山(白谷雲水峡~縄文杉コース)に参加した。

「一生に一度は、ジブリ作品『もののけ姫』の舞台となった白谷雲水峡と縄文杉を見たいね」と夫と話し、軽い気持ちで申し込んだ。

旅行の手続きはすべて夫に任せ、「初心者コースだよ」という言葉を信じて、ワクワクしながら登山グッズをそろえ、練習登山も二回こなした。 
 

当日朝五時、ガイドが迎えに来て登山開始。

すぐに「えっ、なにこれ!」と声が出た。

レンタルしたスティックが全く役に立たないほどの険しい山道である。

ガイドによると「昨年の台風で吊り橋が破壊されたため、迂回ルートを通っている」とのこと。

仕方なく前へ進むしかなかった。

 

やっとの思いで到着した「苔むす森」では、宮崎駿監督がモデルにしたといわれる植物や昆虫に出会い、心が高鳴った。

現地でしか感じられない空気の流れが確かにあった。

 

続いて太鼓岩へ。

急斜面を登り切ると、恐怖と感動が入り混じる絶景が待っていた。

写真を見ると、多くの人がこの場所を訪れたくなる理由がよくわかる。

 

 

さらにトロッコ道を歩き、いよいよ縄文杉を目指す本格的な登山へ。

足はすでに限界であったが、前へ進むしかない。

山あり谷あり、登山はまるで人生そのものである。

 

ようやく山小屋に着き、ガイドの手作りの温かい夕食をいただき、夜七時に就寝。

翌朝五時起床して、朝日に照らされてオレンジ色に輝く縄文杉を目にした。

その神々しい姿に、「生きる」という本当の意味を感じた。

 

 

下山では、一歩踏み外せば命にかかわる道が続く。

筋肉痛の足に「ありがとう」と声をかけながら、一歩ずつ前へ進んだ。

そこで私は、「命より大切なものはない」ということを、体で理解したのである。

 

縄文杉に出会い、DNAの奥深くに刻まれた縄文の“感性”が目を覚ましたようだ。

直感で動く意味は、いつもあとからわかるものだ。

 

 

 

作品の意図

初心者コースと思い込んでチャレンジした縄文杉への登山。

極限状態まで追い込まれて、「ありがとう」と自分に励まして下山したら、DNAの奥深くに刻まれた縄文の“感性”が目を覚ましたように感じになった。