旧東海道を歩いたときに利用した宿 | 旅はブロンプトンをつれて

旅はブロンプトンをつれて

ブロンプトンを活用した旅の提案

(品川)

2007年から2008年にかけて、旧東海道を尺取虫方式で歩いた際に利用したホテルをまとめておきたいと思います。
ブロンプトンでの走破レポートにも書きましたが、掛川以東は基本新幹線も使わず、利用可能期間内は青春18きっぷでの日帰りに徹しました。
全体の行程を考えれば、西へ行けばゆくほど交通費も宿泊費も嵩むと分かっていたので、江戸から中間の袋井あたりまでのトータル旅費はできるだけ低く抑えておきたかったのです。
記録をみると、金谷から袋井まで歩いて家に帰ったあと、翌週は1日目に袋井から舞阪までを歩き、掛川に宿泊して翌日に舞阪から国府まで歩いています。
ただ、ひかりやのぞみが停車する名古屋駅周辺だけは別で、こちらは朝の7時台から歩けるので、巨大ターミナルにもかかわらず、駅前で宿泊することはありませんでした。

なお添付の写真ですが、旧東海道沿いで見かけた宿泊施設の写真です。

現存しない宿もたくさんありますし、見境なく並べております。

実際に泊った宿は、朝の暗いうちに出て夜に帰ってきていて、この当時は明るいレンズのカメラも持っていなかったため、撮影で来ておりません。

(川崎)
・どこに泊まるか
徒歩による尺取虫方式の旅の場合、大きなターミナル駅に近い宿に泊まるのがベストです。
いや、駅から遠く離れた場所には泊まるのは無理でしょう。
旧街道徒歩の旅は、決められた時間内で1㎞でも先へ進むことが命題なのです。
一日30㎞以上を歩いて足が棒のようになって電車に乗って宿泊地へ帰ってきたら、改札口からホテルまで100mも余分に歩きたくないからです。
駅からバスに揺られてホテルまでなんて、たとえ無料の送迎があったとしても無理です。
翌朝も、4時5時に起きて一番列車に乗るのに駅まで15分も20分も歩くのではその分早く起きねばなりませんし、その時間に朝食を食べようと思ったら大手ファストフードチェーンしか選択肢がありません。
始発列車がターミナル駅発であることも含め、そこを拠点にして往き来するしか方法が無いのです。

(戸塚)

(大磯)
・どんな種類の宿に泊まるか
シティホテル、ビジネスホテル、旅館、民宿、ゲストハウス、カプセルホテル、ユースホステル、ネットカフェ、野宿、車中泊など、バラエティに富んだ宿泊施設があるなかで、どこへ泊ったら良いでしょう。
宿は寝に帰って来るだけで、翌朝早く出立してしまうわけですから、豪華な部屋でサービスが良くて食事も美味しいという宿は最初に除外されます。
また、お値段の張る宿も同じ理由から除外されます。
つまり素泊まりという条件の中で宿泊料金が安い宿ということになります。
昔のように、夜行列車が東海道本線上をひと晩に何本も走っていて、ターミナル駅の待合室は終日解放されていたなんて時代なら、そしてあなたが若者なら、駅の待合室に泊まることも選択肢に入ったかもしれません。
今の若者はネットカフェやカプセルホテルを選ぶかもしれません。

(小田原)
しかし、宿泊料金をケチるあまりネットカフェや24時間営業のサウナ、カプセルホテルなどに泊まるのは私はやめた方が良いと思います。
夜行バスなどで移動して早朝から歩き始めるのも同じです。
理由は「十分な睡眠がとれないから」
たかが歩き旅、されど歩き旅です。
夏には炎天下の中を、冬には寒風吹きすさぶなかを1日30㎞以上歩く人が、深くて質の良い、時間にしても十分な睡眠をとっていない場合、怪我や事故の危険が絶えずつきまといます。
ボーッとしながらが危ないのは、車やオートバイの運転だけでなく、歩行者も同じですから。
寝不足のまま若さにまかせて無理をして、下手をすると一生歩けなくなるよりは、せめて大人が寝るのに十分なサイズのベッドに横になれて、音や光を遮断でき、深い眠りができる個室がある宿を選んだ方が安全です。
早朝のチェックアウトなども勘案すると、ビジネスホテルが良いでしょう。
部屋も広さよりはベッドの大きさと種類にこだわりましょう。
最近はビジネスホテルでもS社のベッドを全室に入れてますとか、全床にT社のマットレスを敷いていますなどとアピールする宿が増えています。
睡眠をよくするという理由から、同行者が居る場合は個室に分かれて宿泊した方が互いに良く眠れます。

(箱根湯本)
・その他の条件
大きなターミナル駅近くのビジネスホテルということに絞られてきましたが、他に「歩き旅に向いた宿」という条件があります。
ひとつはフロントの対応が良いこと。
残念なことに、ネット社会になってからどうもフロントの対応が機械的になっているように思います。
ビジネスホテルだからビジネスライクにというのは分からないでもありませんが、出張で来ているのか観光できているのかくらいは見分けられるし、いずれにせよお客さんのニーズを探る上でもフロントの対応は重要です。
私のように元旅行会社で目の肥えた人間からすると、折りたたみ自転車を曳いてチェックインする客など鴨葱のはずなのに、何の反応も示さないフロントが殆どです。
むしろ客室係から「それで来たのですか?」と声をかけられる始末です。
早朝出立や朝の散歩など、一般客とは違う行動パターンを示す「折りたたみ自転車をつれた旅人」ですから、フロントの対応が良い宿を見つけましょう。

(箱根西坂)

(沼津)
これは以前にも書きましたが、30㎞もの徒歩旅行をして、大概はひと月に一度か二度の旅行になります。
すると、私のような年寄りでも当日の夕方に筋肉痛に襲われることがよくあります。
そうすると、大浴場がある宿で寝る前に身体を温める(良質な睡眠の為にも大切です)以外にも、身体を伸ばして血液中の乳酸をできるだけ散らしておきたいわけです。
ということで、必須ではありませんが、できれば疲労回復に役立つ大浴場のあるホテルに泊まりましょう。
最近ではビジネスホテルに大浴場がある施設も増えました。
ホテルの横で立ち寄り湯を経営している施設(宿泊施設付き健康ランド)もあります。
その他にも、駅前にもかかわらず(防音設備がしっかりしていて)静かな部屋とか、翌日の情報収集のためにWi-Fiが使えるホテルなど条件をあげたらきりがありません。
しかし、こうした条件はよほどの安宿でない限りビジネスホテルが大概に供えている資質ですから、宿泊する前にチェックする必要はないでしょう。
何度も旧街道をなぞりたいと考えている人は、早いうちに自己の常宿を決めてしまうことです。

(興津)
<歩き旅の際に実際に泊まったホテル>
・掛川ターミナルホテル

最初はよくわからないので、とにかく駅近、宿泊料が安いという条件でこのホテルに泊まりました。

掛川に泊ったのは、子どもの頃にヤマハのリゾート施設、つま恋を利用したとき以来です。

駅前ですが旧街道迄も300mとアクセスが良く、食事場所に困らないので重宝しました。

のちにエコパでブロンプトン・チャンピオンシップが行われた時も、このホテルを利用させていただきました。

当時は「ジジ」という名の黒猫がフロントで招き猫をやっておりまして、例によってツンデレなお猫様でしたが、一日歩いて疲れて帰ってくると、「疲れているな、おぬし」という目でじっと見られるので、なんだか心の内を見透かされているようで可笑しくなってしまい、思わず癒されておりました。

(江尻=清水)

・豊鉄ターミナルホテル(2020年9月閉業)
豊橋駅から近くて(南口から90m)価格も安かったため利用しました。
駅ビルと屋根付きのデッキでつながっているので、雨が降っていても傘をささずに改札へ行けるのも便利でした。
豊橋駅は東京から朝一番の新幹線利用でも8時前後より前には到着できず、かつJRの列車乗り換え駅であり、これより西の旧東海道が沿う名鉄本線の始発駅のため、尺取虫方式の旅にはぴったりでした。
夜に消灯してベッドにもぐりこむと、横に隣接する豊橋駅ホームの案内放送や、南口駅前を走る路面電車(豊鉄市内線)のゴトゴトという音が旅情をもりあげてくれました。

(掛川)

(磐田)
・マルト旅館(愛知県津島市)
冒頭に書いた通り、名古屋駅はあさイチの新幹線で7時半より前に到達できるので、駅周辺に宿泊することはありませんでした。
その代わり、佐屋街道を歩いているときに埋田(うめだ)追分付近で見かけたこの旅館に宿泊しました。
外見からして「昭和の宿」だったので興味をそそられていましたが、宿泊したら期待どおりでした。
オーナーが手造りしたようなタイル張りのジャングル岩風呂や、真冬にゆかたではなく、ジャージの上下を用意してくださったのが、一日歩き続けた体にちょうど良かったと思います。
仕事のため長期滞在する人や、高校大学の合宿施設のような感じが、若かったころを思い出しました。
考えて見れば、歩き旅はれっきとしたスポーツですから、合宿の宿が合っているのかもしれません。
https://www.maru-10ryokan.com/

(浜松)
・ホテルエコノ亀山
本来であれば鈴鹿峠直下の関(坂下宿に宿はありません)にある、旧東海道歩き旅で御用達の宿に泊まりたかったのですが、関は交通の便が悪いことと、食事場所が少ないのでひと駅手前の亀山を拠点に鈴鹿峠を越えて土山宿を経由し、水口宿までの区間を尺取虫方式で歩きました。
亀山駅はJR東海とJR西日本の境に位置する駅で、土山や水口から貴生川へ出て草津線・関西本線経由でホテルに戻る際にも便利です。
もっと駅に近い宿泊施設もあったのですが、宿泊料とこのホテルが駅と旧街道の中間に位置し、なおかつ駅と同じレベル(旧街道は段丘上で駅との往復には坂を登り下りしなければならない)にあることからこの宿を選びました。
2007年当時はまだ家電メーカーの亀山工場が稼働していたため、亀山駅やその西にある東名阪自動車道亀山IC付近にはたくさんのビジネスホテルがあり、競争が激しい分宿泊料金も安めで泊まれました。
https://www.greens.co.jp/kameyama/

(弁天島)
・(滋賀県大津市)瀬田の国道沿いにある小さなビジネスホテル
記録が残っていないので正確には分からないのですが、ゴールの京都市内には泊まりたくないので、大津以東の宿をネットで探しました。
しかし桜の季節の週末ということで京都も含めどこも空いておらず、琵琶湖の東岸、瀬田駅からほど近い国道1号線沿いにある小さなビジネスホテルのシングルルームにようやく予約できた状態でした。
(観光シーズンにおけるビジネスホテルのシングルルームは、出張族がいないので1週間くらい前まで空いていることが多いのです。)
宿泊当日の夜に部屋で寝ていても、階下のフロントで「今晩泊まれませんか?ベッドの数が人数に足りてなくても結構です」などと宿泊交渉している声が遅くまで聞こえていました。
もちろん断られていましたが。
当時は高速道路休日1000円施策の前で、車中泊もまだ流行っていませんでしたから、当日になって宿泊難民になる観光客は連休を中心に多かったと思います。
旧東海道とは直線で300mくらいしか離れておらず、瀬田の駅にもわりと近かったので、歩き旅には便利でした。
また、ゴールの京都には到達するまでは意地でも泊まらないと考えていたことが、却って草津近辺にもリーズナブルな宿が沢山あって、京都まで電車で往復するのにそんなに時間がかからないという発見をもたらしてくれました。
おそらくその宿は現存しないと思われます。

(豊明)

(佐屋街道埋田追分)
このように、歩き旅というのは宿泊も含め、普通の観光旅行やマイカーやオートバイによる旅行とはだいぶ趣を異にしますが、それだけにそれぞれに個性的な宿に宿泊することができて、旅人としては新鮮でした。
今の世の中、仕事でもないのに山歩きのような格好をしてビジネスホテルに泊まる客は珍奇な部類に入るのでしょうが、一日中歩き通すことは健康にはすごく良いし、他の旅にはない出会いもあります。
宿のオーナーやスタッフも、旧街道に近ければ「ああ、この人は通しで歩いているのだな」と見当がつくらしく、連泊の際には帰ってくると、「今日はどこまであるいたのですか?」と聞かれました。
また、旧東海道をブロンプトンで走破した際に利用した宿は、歩き旅の時とは(駅からの距離などの面で)少し変わりました。
その点はまた改めてご紹介したいと思います。

(関宿)