白馬八方尾根スキー場にブロンプトンをつれて2022(その9) | 旅はブロンプトンをつれて

旅はブロンプトンをつれて

ブロンプトンを活用した旅の提案

(その8よりつづき)

洗濯物と身の回りのものだけ持って、いったん帰宅の途につきます。
旅行というのは、往路より復路の方が実は大事なのです。
復路で失敗をやらかすと、帰宅迄挽回できず、それまでの旅の印象までもが一気に悪くなります。
通常、白馬から横浜の自宅に公共交通機関で帰る場合は、長野駅までバスで出て、そこから北陸新幹線に乗り換え、大宮か上野、東京で下車して、湘南新宿ライン、もしくは横須賀線に乗り換え、武蔵小杉に戻ってきます。
白馬をもっとも早く発つバスは6時30分発ですが、これだと朝食が食べられないので8時20分に八方バスターミナルから出るバスに乗ります。
すると、1時間強かかって9時35分に長野駅の東口に到着します。
白馬側から行くと、長野駅は西口の方が近いのですが、バス停の関係からなのか、JRの線路を越えて反対側にまわりこむため、平日の通勤時間帯など、バスが駅近くまで来て渋滞に巻き込まれることもあるため、新幹線の乗り継ぎには時間に余裕を持たねばなりません。
このあたりが、鉄道とバスの差です。


長野からの北陸新幹線は9時56分のかがやきか、10時ちょうどのはくたかですが、前者に比べて後者は停車駅が多いため、長野発は4分しか違わないのに、東京着は16分の差が出ます。
ここでは早着の前者に乗ったとして、東京着は11時20分、横須賀線地下ホームまでの乗り換え時間を考慮し、東京発11時36分の下り横須賀線に乗り換えて、武蔵小杉到着11時56分。
トータルで所要時間は3時間36分、運賃合計は10,540円(バス2,200円+JR運賃4,070円+JR指定席特急料金4,270円)です。
北陸新幹線経由の場合、所要時間がもっとも短いので、白馬八方を17時45分に出る長野駅行き最終バスに乗っても、武蔵小杉には21時20分に到着し(所要3時間35分)、22時前には家へ帰れます。
この場合、スキー場で夕方まで滑っていられますが、復路の車窓は大半が真っ暗です。

(八方尾根にかかる虹)
これに対し、白馬駅から中央線特急のあずさを使う方法があります。
あずさを使うにしても、白馬から乗る場合と松本から乗る場合がありますが、前者なら午前中だけ滑って白馬駅発15時16分、立川到着18時39分で18時45分の南武線川崎行きに乗り継いだとして武蔵小杉到着は19時30分なので、トータル4時間14分の所要で、7,720円(JR運賃5,170円+指定席特急料金2,550円)です。
これが朝の7時45分発の普通列車で信濃大町乗り換え、さらに松本から特急だと、武蔵小杉到着は上記北陸新幹線まわりより1時間遅い12時56分となり、所要時間5時間11分運賃計は7,410円です。
松本から特急に乗っても、実質310円しか安くならないので、白馬から乗った方が良いのですが、大糸線乗り入れのあずさは一日一往復だけですから、どうしても上記時間に限定され、立川に到着するのが18時台ですから、平日なら帰宅ラッシュの真っただ中で、南武線で座るには1本やり過ごさねばならないと思われます。

(中網湖と鹿島槍スキー場)


マイカーの場合でも、白馬から大糸線に沿って国道148号線で仁科三湖、信濃大町を抜け、長野道明科インターから高速にのって中央道経由で高井戸ランプへ帰るよりも、長野市までオリンピック道路を通って長野インターから上信越道、関越道を通って練馬インターでおりて環八を南下した方が、走行距離も短くなり、高速料金も安くなり、アップダウンも少ない分燃費も多少は良いのです。
このように、かつては大糸線沿線のスキー場へゆくのに甲州街道(国道20号線)+千国街道(国道148号)で往復していたのに、高速道路と新幹線の開通によって長野へ出て北国街道+中山道(国道18号線+17号線)回りの方が近くなりました。
これも長野オリンピックのおかげです。
但し、高速バスやツアーバスに関しては、昔と同じく中央道回りで走っています。
これは、バス会社の都合(運行規程やテリトリー分け)等が関係していると思われます。


但し、今回は青春18きっぷなので、大糸線+中央線鈍行で戻ることは最初から決まっています。
往路に7時間以上かけているわけですから、復路にもそれくらいかかると考えねばなりません。
そしてこの場合、特急は利用できないわけですから、往路と同じく、なるべく所要時間を短く、そして早く家へ帰る方が良いでしょう。
帰路に丸一日、スキーもできないであてることになりますが、それもスキー旅行の一部と考え、時間をお金で買うという発想はこの際伏せておきます。
ということで、通常は7時からの朝食を15分早めて6時45分にしてもらい、お昼を食べない腹積もりで、すばやくたべます。
挨拶もそこそこに、白馬駅まで自転車で下るわけですが、行きと違って10分ちょっとで到着です。

(信濃大町駅)

(松本駅)
白馬駅7時45分発信濃大町行きに乗車します。
2両編成ですが、ガラガラに空いていました。
信濃大町駅の乗り換えは、先頭さきの階段を使うので、なるべく前の方に乗るようにします。
電車が駅を出て間もなく、進行方向左側のスキー場が並ぶ山々に虹がかかりました。
雪山に虹がかかるというのは椿事にて、吉兆かもしれません。
往路同様、青木湖、中網湖、木崎湖と一面の雪だったのが、信濃大町手前まで来ると、田に雪解け水が溜まり、蓮華岳や北葛岳を映しています。
8時23分に信濃大町到着。
松本行きの乗り継ぎは8時37分発で出発まで14分時間があるので、座席を確保したあと、改札を出て駅の売店でお土産を買います。
もちろん、南武線の駅から家まで自転車で帰るので、鞄に入る分しか買えませんが、これで良いのです。
乗り換えた信濃大町発松本行きは、当初こそ空席だらけでしたが、穂高あたりから席が埋まり、松本駅到着寸前にはかなり混雑していました。
この電車も、前の電車同様先頭車両の先に階段があるので、なるべく前の進行方向右側に席をとっておきます。
松本駅9時33分着。
6分の乗り継ぎで、9時39分発高尾行きに接続です。

(松本発高尾行き普通列車)
この列車は高尾まで直通で、6両編成のうち先頭と最後尾車両にトイレがついていました。
この電車もまた、先頭に近い場所に席を確保します。
これは、高尾駅で長い10両編成の中央特快に乗り継ぐのに、立川駅での乗り換え時に前方の階段を利用しやすいようにするためです。
このように、東海道本線の鈍行を乗り継いで西へ向かう時同様、列車を乗り換える際には、さらに先の乗り換えを見越して席を確保します。
大糸線からの乗り継ぎ客は自分のほかは僅かな青春18きっぷ利用者だけでしたので、先頭車両迄くるとやはり空いていました。
この列車の高尾到着は13時18分。
つまり、3時間45分も同じ列車に乗ってゆくことになるのです。

(下諏訪駅)

(「寒天の里」の看板手前の細い道が、旧甲州街道)
なお、この中央線の車両は自分のような個人旅行客にはおあつらえ向きに、先頭と最後尾の運転席裏に、2人掛けの横向きシートがあるのですが、今回利用してみて足元の暖房が効きすぎて熱い反面、ドアのすぐそばでコロナ対策のために途中駅にて開くとえらく寒く、足と上半身がちぐはぐで辛いという経験をしました。
松本発高尾行きのような長距離鈍行の場合、進行方向に対し横向きのロングシートに座るより、ボックスシートで進行方向に向いて座った方が疲れも少ないのは分かっているのですが、いかんせんブロンプトンをつれているため、ボックスシートに座るのは席を荷物分潰してしまうことになるので、混雑してきたら気が引けます。
こういう場合、行きと同様に途中駅で特急列車の通過待ちをするなど、長時間停車する場合は、ホームに出て運動するとか、わざと改札口を出て外のトイレを使うなどして身体を動かしましょう。
本当は、畳んで袋に入れたブロンプトンを横にして、椅子の下に入れられたら良いのですが、中央本線の鈍行列車は椅子の下に暖房機器がついているケースが多く、うまく収まりません。

(富士見駅に長時間停車)

(八ヶ岳)
列車は定刻通り出発すると、塩尻にかけて混雑して行きましたが、それでも立っている人が少し出るだけで、上諏訪から茅野にかけての区間を過ぎると、またガラガラになりました。
白馬を出るときは山の上には雲がかかっていたものの、信濃大町付近で晴れてきて、松本から先は快晴になりました。
往路では見えづらかった甲斐駒ヶ岳をはじめとする南アルプスや八ヶ岳もばっちり見えました。
韮崎付近から梅の花が目立つようになり、甲府から勝沼にかけては桜のつぼみもかなり膨らんでいる様子でした。
列車が笹子トンネルをぬけて大月を過ぎる頃には、ハイキング帰りと思しき客がチラホラ見えるようになり、高尾到着時には彼らの姿はかなり目立っておりました。

(小淵沢駅からみる南アルプス)

(甲府盆地から見る富士山)
定刻通り高尾駅に到着すると、お向かいのホームにとまっている快速電車にのりかえ、13時20分高尾発で、立川到着が13時39分。
南武線ホームには13時44分発の各駅停車川崎行きが出発間際ですが、これは後続の13時53分発快速川崎行きに登戸で抜かれるので、あえて逃して次の列車に乗ります。
南武線は日中のみ快速が走っていて、これに乗れると立川から武蔵新城まで僅か7駅です(鈍行だったら17駅)。
武蔵新城駅には14時21分で、白馬を出てから6時間36分後でした。
これで2,410円ということは、同区間の運賃5,170円の半分以下で済んだわけで、上述した北陸新幹線利用でも武蔵小杉到着はお昼近くになることを考えれば、とてもお得です。
しかも復路は松本から高尾まで同じ列車の中だったので、居眠りも読書もたくさんできました。
疲れも、今日は滑っていないせいか、それほどでもありません。
駅で下車したらすぐ定食屋さんに入り、遅い昼食兼早い夕食を食べます。
この時間なら多めに食べれば夕食は抜いても大丈夫です。
食後にも読書にて休息したあと、家まではもちろんブロンプトンで走って帰りました。

(勝沼付近から見るぶどうの丘と南アルプス)


今回2泊3日のスキー旅行に往復ブロンプトン+青春18きっぷを使い、3日のうち初日と帰宅日は全日を移動に費やしてしまったため、実際に滑れたのは丸一日、それも送迎バスに合わせた時間のみでした。
マイカーや新幹線利用に比べ、著しく旅情があって、まるで急行アルプスに乗って往復していた学生時代を思い出しましたが、滑り足りなかったことも事実です。
このような場合、最低でも中2日は欲しく、そうすると最低でも3泊4日になりますが、それくらいがちょうど良いのかもしれないと思いました。
また、せっかくブロンプトンで道に雪の積もっていない春スキーに来ておきながら、スキーの後に自転車に乗って街へ行くということが、今回は時間が無くてできなかったのが、心残りになりました。
とりあえず10日後に、まだ3枚余っている青春18きっぷを使って、もう一度白馬を往復しようと思いました。
早く帰れたので、その日は早めに寝て、翌朝は4時前に起きて仕事に行くことができました。
自分で車を運転して往復するのとは違い、また新幹線利用のように気が急くということもなく、のんびりとした時間が流れているのに、日常のリズムを崩さないという点において、ブロンプトンをつれたスキー旅行はとても良いと感じました。