旅はブロンプトンをつれて

旅はブロンプトンをつれて

ブロンプトンを活用した旅の提案

計画編に続き、かつて挑戦した、ブロンプトンと渡船を使ったこのクロスカントリー、実は撮った写真が極端に少ないのです。

理由は時間が無かったからです。

ということで、今回はのちに走った時の写真も混ぜてご紹介します。

走行距離は合計105㎞と、小径車でも走れる距離ではあるものの、広島の宿から出て広島に帰ってこなければならないわけで。広島に住んだことのない私が、初めてのルートで日帰りチャレンジをするわけですから、失敗した、すなわち途中で帰れなくなったときのことを考えるとものすごく不安なわけです。

但し、オートバイと違ってたたんでバスや電車に乗れるブロンプトン、どんなアクシデントに見舞われようと、最終的には何とかなるはずです。

前日の夜は冬の瀬戸内の情景を想像し、まるで子どもの頃に自転車で遠出して帰りが夕飯に間に合わないような気分に戻りました。

ということで宿泊はヴィアイン広島です。

JR西日本系列のビジネスホテルで、広島駅に隣接、というか駅構内にあるといっても良いくらいの立地だから選びました。

前の日、広島空港へ到着してから旧道を辿って広島市内までブロンプトンで走った私は、真冬なのを良いことに、途中藪漕ぎや廃墟の探検まで行って、肉体的にくたくたになっておりました。

当日は5時起きして、5時40分の呉線に乗ったわけですが、ホテルの部屋を出たのが10分前、改札をくぐったのが5分前でけっこうぎりぎりに、空はまだ真っ暗の広島駅から仁方へむけて出発しました。

今晩同じ部屋に戻ってくるつもりですから、財布に簡単なパンク修理道具と地図、それにカメラのほかは何も持たず、身軽で行きます。

呉線は一番電車にもかかわらず、途中呉までは座席の殆どが埋まっている状態でしたが、その頃は早起きに慣れておらず、加えて窓の外は真っ暗だったため、暖かい車内でウトウトしておりました。

乗るまで知りませんでしたが、全線単線なので、所々の駅で対向の列車を待つわけです。

その静かな待機時間がまた眠気に拍車をかけるのでした。

およそ1時間の乗車で仁方駅に到着します。

まだ外は真っ暗で、かろうじて東の空が白んできている黎明です。

かつてはこれから向かう蒲刈群島への船便がすぐ近くの港から出ていたため、島へ渡る人たちで賑わったこの駅も、無人駅になって4年の月日が流れていました。

今日はこれから下蒲刈島、上蒲刈島、豊島、大崎下島、平羅島、中ノ島、岡村島と、とびしま海道にある7つの島を8つの橋で渡り、岡村港からフェリーに乗って愛媛県の今治港へ渡るのが第一段階です。

仁方駅にいる到着した時間は6時40分。

ここから岡村港までは36.7㎞で、ナビルートの自転車所要時間によれば1時間2分ですから真面目に走れば7時45分には到着します。

岡村港から今治へ渡る船は9時50分発(当時)なので、写真を撮りながらいっても余裕で間に合うはずでした。

これに対して保険となる瀬戸内産交バスは仁方駅を今から47分後の7時27分に出発し、岡村島への入口となる初崎バス停には1時間5分後の8時32分着です。

50分近く後から追いかけてくるバスに追いつかれる心配はほぼないと判断しました。

だって自転車の平均速度を15㎞、バスのそれを35㎞に設定して、50分後には既に12㎞くらい先に進んでいて、そこから1時間あたり20㎞差を縮められるにしても、自転車は1時間以内に初崎バス停に到達してしまいます。

小学生の時に算数でやった旅人算(1次関数の一種)を思い出しました。

ブロンプトンを展開して旧道から国道185号線に出て、ゆるいのぼりとくだりを1.75㎞ほど進むと、小仁方交差点です。

その先に安芸灘大橋入口の立体交差が見えています。

安芸灘大橋はとびしま海道の付け根にあって、バイクや自動車は有料(普通車で片道730円とけっこう高い)です。

そのため、島から本土へ車で出ようとしたら、どの島の島民も毎回行き帰りに通行料金が発生するわけで、島民の人たちは無料化を求めているようですが、2000年に開通したこの橋は、総事業費487億円で償還は2030年1月とまだまだ先のため、なかなか認められないようです。

自転車の場合は、道路右端の歩道を走ってゆきましょう。

取付道路をのぼった先に料金所がありますが、スルー出来ます。

いよいよ安芸灘大橋にかかります。

全長1,175m、幅員12.7m、最大支間長742m、桁下高40m、塔の高さ119.45mの3径間2ヒンジ補鋼箱桁吊橋で、橋は薄い水色をしています。

この長さはとびしま海道中最長、しまなみ海道とあわせても3連の来島海峡大橋を除けば多々羅大橋(1,480m)因島大橋(1,270m)に次いで長く、吊橋としては日本第9位、県道としての吊橋なら国内第1位を誇っています。

それだけにアプローチから橋中央までの登りはけっこう長く、また海上40mとあって景色は良いものの、風が強い日は大変そうです。

幸い、この時は風速の穏やかな日の出前で、向かい風や横風には悩まされませんでしたが、のっけから高い橋の歩道から下の海を眺めると、高所恐怖症でなくても自転車に乗りながらムズムズする感じでした。

下の海は女猫(めのこ)の瀬戸といい、2つある橋脚の本土側は、女猫島に据えられています。

女猫島は、もとは猫が伏せているような形をしていて、それが安芸灘大橋建設のために削られて、大幅に形を変えてしまったのだそうです。

北側の本土との間の瀬戸は特に流れが速く、潮流がよく渦をまくほどで、タイの好漁場としても知られています。

歩道のある進行方向右手前の山は白岳山(標高357.9m)で、その南奥に半島のように連なっているのが、平清盛が開いたとの伝説がある音戸の瀬戸(安芸灘大橋からは死角になって見えません)で本州と切り離されている倉橋島です。

歩道とは反対側、橋からみて後方(北東方向)に見えるのは、柏島(呉市川尻町)です。

といっても、安芸灘大橋の本州側の付け根にある犬戻ガ鼻と呼ばれる岬の死角になって、ほとんど見えません。

これより東の呉市安浦町の沖合にも同名の柏島があり、そちらは神社もあるのですが、川尻町の柏島は過去に一時海水浴場があったほか、いまはほぼ全島が原生林に覆われています。

正面に見えているのが下蒲刈島です。

そして右手に見えているのがとびしま海道で2番目にわたる上蒲刈島です。

下蒲刈島は面積7.97㎢、海岸線長16.8㎞、最も高い山は標高275mの大平山で、橋を渡っている最中正面の奥に見えています。

島の人口は1463人(2015年度)で7島中(うち2島は無人島)3位ながら、人口密度は183.56人/㎢で、豊島に次いで高くなっています。

安芸灘大橋から見る限り、正面ミカン畑のつづら折りの農道はかなり傾斜がきつそうで、平地が少ない、山勝ちの島に見えます。

安芸灘大橋の島側の橋脚は、白崎という岬にあり、橋は中央から下りになります。

のぼりが長かった分、下りは気持ち良いのですが、時刻は7時10分をまわり、一つ目の橋を渡ったところで電車を降りてから5㎞走ったところで30分経過してしまったことに気付きました。

橋からの朝の眺めが素晴らしかったので、眺めながら写真をとっていたことが原因のようです。

フェリーの岡村港出発まで2時間40分もあるわけですが、そこまであと27㎞以上あるわけで、大丈夫だろうかとまた不安が頭をもたげました。

次回は安芸灘大橋を渡った先の、下蒲刈島見戸代から続けたいと思います。