男女の会話73
「そない興奮せんでも」
男:こんばんは。男です。
女:こんばんは。大阪で生まれた女やさかい。
男:なんか前にもそんなことゆーてなかったっけ?
女:記憶にございません。👈🏼三谷幸喜の映画ですけど、あれは面白いです。
男:いきなり映画の話かよ?でも確かにそんなタイトルの映画あったっけ…。
女:記憶をなくした総理大臣のやつです。いやそんなんで総理大臣になれるかーい。
男:興奮すんなや。
女:興奮……。今ふと思ったんですが…。
男:なんや?
女:マンさんはどーゆー時に興奮します?
男:いきなり直球投げてきたな。
女:変化球は苦手ですねん。
男:そんなことないと思うけど。いつも怒涛の変化球の嵐やん。
女:人をピッチングマシーンみたいに…。
男:おお、まさにそんな感じやな👀
女:青色か緑色か、どっちがええでっか?
男:そやなぁ…オレがよく行くバッティングセンターでは…って、おい。
女:ピンクがあってもええのにと思う今日この頃。
男:なんの話やねん?
女:ピッチングマシーンの話です。あたしはどう頑張っても消える魔球しか投げられまへんな。
男:大した腕やないか( ̄▽ ̄;)
女:マンさんのその魔球も消してみましょうか?
男:オレの魔球ってどこよ?……いやそれはええわ…。
女:あたしの消える魔球は、最初から消えてるので見えまへん。
男:キミの魔球…いやそこはやめとこう。
女:ってゆーかマンさんの魔球はよう見たらそれ、変幻自在に変化する変化球でしたわ(◎_◎;)
男:変幻自在ってなんやねん?……いやそれもええから。あんまりそっちに持っていくな。
女:だって変化球は苦手ですねん。
男:もうええて。
女:で、はよ質問に答えてくださいよ。
男:質問?…なんやったっけ?
女:マンさんはどーゆー時に興奮するのかと問うてみたんです。
男:どういう時…興奮…。そうやなぁ、ここで言えるのはまず、腹立った時かな。
女:なるほど。腹立った時に興奮するんですね?
男:そうそう。特に会社で仕事してると、興奮すること多いで。
女:って事はマンさんの会社や仕事は、腹の立つ原因が多いんでっか?
男:多いな。でもまぁそれって、どこでもそうやろ?キミだって仕事してると腹立つことあるやろ?
女:ありますねぇ。あたしの場合は腹立てながら中指もおっ立ててますけど。
男:会社で?やめとけよ。
女:デスクの下でですよ?
男:ああ、それならまだええか。見つからんように気を付けろよ?
女:たまにスカートの中でもやってます。
男:やめろよ。一体どんなビジュアルになってんのか想像してまうがな。
女:きっとその想像、当たってると思います。
男:うあ…当ててもーたか…💦
女:おめでとうございます🎊
男:いやちっともめでたくないんやけど…。
女:で、気になる事がありますねんけど。
男:なにが?
女:さっきマンさんは「ここで言えるのはまず、」ってゆーてはりましたやん?
男:えっと……ああ、確かにゆーてたな。
女:それって、“ここで言える”興奮するとどうなるかの話でしたよね。
男:そうそう。それが会社で仕事してると腹立って興奮するって話な。
女:じゃあ、“ここで言えない”やつってなんですのん?
男:それは…ここで言われへんねんから当然言うわけないやん。
女:マンさん、なかなかのズルい男ですね♂
男:なんかまるで“つんく♂”みたいなニュアンス含めてへんか?
女:“ここで言えない”って事は、どこで言えますのん?ちょっとそこらへんの物陰でなら言えますのんか?「ねーちゃんねーちゃん、ちょっとこっちにこえへんか?そしたら教えたるで…」みたいな。
男:そういう物理的及び空間的な話ちゃうねんて。あくまでも精神的な、なんてゆーか…。
女:あたしがよく興奮する事、今ここでカミングアウトしてもよろしい?
男:人の話ちゃんと聞けよ。
女:いや、なんとなくマンさんを悩ませてもーたような気がして…。
男:なんとなくじゃなくて結構悩んだけどな。で、カミングアウト?
女:そう、カミングアウト。
男:なんかカミングアウトとか言われると、すごい大層な発言が出てきそうで怖いんやけど。
女:そんな事ないと思いますよ?
男:そうか。じゃあ聞かせてもらおうかな。
女:腹くくって聞いてくださいね。
男:やっぱりすごいことなんちゃうの!?
女:マンさん、なにをそんなに興奮してますのん?まだなんにもゆーてませんやん。
男:だって「腹くくって」とか言うから…。
女:腹だけやなくて、体中縛り倒しましょか?
男:オレそんな趣味ないぞ。
女:あたしはちょっとしかないです。
男:ちょっとはあるんかーい。ってかそれどっち?縛る方?縛られる方?
女:観る方です。
男:視聴者側かーい。
女:マンさん、そない興奮せんでも…。
男:キミが興奮させとんねんて。
女:あたしはあたしが興奮する事をこれからカミングアウトしようとしてるだけやないですか。それやのにさっきからマンさんが1人で興奮してはるから。
男:分かった。ちょっと落ち着くわ。落ち着いたら聞くわ。
女:落ち着きました?
男:まだやて。早いって。今から落ち着こうとしてるとこやないか。
女:思った以上に時間がかかりますな?
男:普通はみんなそうやろ。
女:マンさん、自分の事普通の人と思ってますのん?
男:なんや?まるでオレが普通の人じゃないみたいな言い方やん?
女:マンさん、まだ興奮してますね。
男:キミがいちいち興奮させとんねんて。
女:じゃあこれからあたしが興奮する事を発表します。
男:ほっぱらかしかよ…。
女:ドドドドドドドドドドドドド♪
男:なんの音?
女:ドラムの音。
男:要らんて。
女:ビシャーン!!
男:今のなんの音?
女:シンバルの音。
男:それも要らんて。
女:パフッ♪
男:それは?
女:通称パフパフラッパの音。
男:はよ本題に入れや。
女:マンさんが落ち着くかと思いまして。
男:なんでオレがパフパフラッパの音で落ち着くねん。
女:笑点世代ですよね?
男:笑点……ああ、あの笑点のオープニング曲の最後の?
女:そうそう、あの最後のパフッ♪を聴くと落ち着きません?
男:キミも笑点世代なんか?
女:あたしはよしもと新喜劇世代ですがな。
男:その世代も相当幅広いけどな。ほんで笑点出してくんなて。はよ本題に入ってくれ。
女:あたしが興奮する事…それは、ロボットウェイターです。
男:ロボットウェイター?…ああ、あのファミレスとかの?
女:そうそう、ファミレスで働いてるあれです。
男:キミはあのロボットウェイターに興奮すんのか?
女:めっちゃ興奮します。興奮しすぎて鼻血が出た事もありますもん。
男:それ病気ちゃうんか…。大丈夫かよ。
女:だってロボットでっせ?ロボットが厨房から料理を運んでくるんでっせ?
男:でっせでっせて…おっさんみたいになっとるぞ。
女:注文主の女王様の元に料理を運んでくるんでっせ?
男:誰が女王様やねん。
女:あたしはいつも料理を取るのも忘れてロボットウェイターに見とれてしまうんです。
男:迷惑な客やな。さっさと料理取れや。
女:ロボットウェイターとあたしと料理とのスリーショットで写メ撮ってます。
男:写メ撮らんと料理取れって。
女:ほんまは注文もロボットウェイターに受けてもらいたいところですねんけどね。「ご注文をお受けいたします、女王様…いや、お嬢様」なーんてね。
男:そんなセリフ吐くロボットウェイターって、どんだけ怪しいねん。
女:そんなロボットウェイターを眺めてて、いつも思うんです。
男:眺めんなや…。なにを思うねん?
女:さっきもゆーたように、注文も受けて…他にもあれもこれもできて…ってな感じで。
男:そのあれもこれもってのが気になるな。例えばどんなんなん?
女:なんでウェイターなんて仕事してるんやろ?とかね。
男:だってウェイターロボットやろ?ウェイター専門のロボットやねんから。理由なんてないやろ。
女:色んな事情があったんやろねぇ…家庭かな?恋愛かな?それとも以前勤めてた会社でのパワハラとかかな?
男:人の話聞いとんか?あれはウェイター用に作られたロボットやから。なんでそんな風に人格化するんや?
女:忙しく走り回るロボットウェイター。かと思ったら、トイレの前で立ち止まり、トイレの扉の方を向くロボットウェイター。
男:トイレ?
女:辺りをゆっくり見回したかと思うと、サッとトイレの中へ。
男:え?ロボットがトイレに?なんで?
女:しばらくしてトイレから出てきたロボットウェイター。その背中の下の方には、トイレットペーパーの切れ端がヒラヒラと舞っておりました。
男:なんでそんな物が!?まさかトイレで用を足したとかちゃうやろな?ロボットやぞ?
女:他のお客さんの目撃談によると…トイレの個室から出てきたロボットウェイターが洗面台の前に立って鏡をじっと見つめている。その様子を見ていると、ロボットから「ハァ…」って音が聞えたとか。
男:ため息か?なんで洗面台の前で意味ありげにため息ついとんねん?まるで人間やんけ。
女:またある時、トイレに入ったロボットウェイター。
男:またトイレかよ。どんだけトイレ好きやねん?
女:しばらくして出てきたら、色とりどりの鮮やかな色に変わってて、そのままバックヤードに消えたと同時に他のスタッフが「お疲れ~」ってゆーてたとか。
男:仕事終わってトイレで着替えて帰って行ったってか?どんなロボットウェイターやねん!!
女:彼らか彼女らかは分かりまへんけど、色んな悩みや楽しみがあるんでしょうなぁ…。
男:キミな…ロボットウェイターに興奮するのは自由やけどさ、そこまで妄想膨らますのはちょっと危険やぞ?
女:なにが危険ですのん?まるで無機質なロボットウェイターより、人間のように悩んだり楽しんだり、そしてトイレットペーパーをくっ付けたりする方が可愛いやないですか。
男:トイレットペーパーはやめとこ。他はまぁ愛嬌ってとこかな?
女:マンさん、夢がないですなぁ。
男:それって夢か?単なる妄想やないか?
女:もぉ~そぉ~んな事ばっかりゆぅ~てぇ~💦
男:シャレか!!ほんできっしょいねん!!

女:マンさんが羨ましいです…。
男:なんや急に?なにがや?
女:だって、どんな事でも興奮できますやん?
男:キミが興奮する状態にまで持ってくるんやないか。キミは興奮させるプロか?
女:興奮させるプロ……なんかその言葉からまた…色々と…妄想が……
男:やめろやめろ。もう妄想は十分やろ。
女:もぉ~そぉ~んな事ばっかりゆぅ~てぇ~💦
男:やっかましーわ!!おっとまた興奮してもーた…。
女:マジでマンさん、ちょっと情緒が不安定になってまへん?なにかあったんでっか?
男:え?…いやなんもない。すまんすまん。
女:まさかマンさん……
男:な、なんや?
女:仕事終わってから夜な夜な…
男:え?…なに?
女:ファミレスでロボットウェイターとして副業してはるんちゃいまっか?
男:するかーい。
女:トイレの洗面台の前で鏡を見つめながら「ハァァァァァ~~~~~~…」って軽くため息吐いてるんちゃいまっか?
男:どこが軽いため息やねん。めっちゃ重いやんけ。
女:トイレットペーパーもしっかり…
男:やめろ。それ以上ゆーな。
女:まぁ冗談は抜きにして、マンさんはかなりストレスが溜まってるようですね。ちょっとどないかした方がええんちゃいます?
男:そうなんかな…。どないかって?
女:この会話をしばらく休むとか。
男:それ、オレのストレスがどーのこーのやなくて単なるキミの願望ちゃうんか?
女:バレたか( ̄ー ̄)
男:異常に素直やな。
女:ではこれからあたしが、マンさんの心の中の重りのようなストレスを取り除いてあげます。
男:いやーそれなんか怖いわ。めっちゃ怖い。
女:なにが怖いんでっか?マンさんの事を心配してゆーてますねんけど。
男:ああ、それはすまん。ありがとう。それはまた今度な。
女:そうでっか。って事は……
男:ん?
女:今夜は撤収?
男:そうやな。今夜は撤収や。
女:それは寂しいですけど、仕方ないですねぇ٩(๑`^´๑)۶
男:なんかガッツポーズしてへんか?
女:気のせいです。きっとマンさんのストレスがそう見せてるんでしょう。
男:なんでもかんでもストレスとせいにすな。
女:じゃあ次回はあたしがマンさんのストレスを軽くしてあげますね。
男:むしろ重くなるそうな気がするんやけど…。
女:案ずるより産むがなんとやらです。
男:最後の方知らんのか?
女:すんまへん。知らんフリしてもーて🙏
男:……まぁええ。じゃ撤収!!またな~(。・ω・)ノ゙
女:ほなね~♪˶˙ᵕ˙ )ノ゙
終わり