男女の会話47
「なんのボタンなん?」
男:こんばんは。男です。
女:やっぱり夜の会話でっかの女です。
男:いきなり文句ゆーとんかい。
女:文句なんてゆーてまへん。朝晩はちょっと寒いけど、ゆーても爽やかな季節じゃなかろうかと言いたかったんです。
男:全然そんな内容ちゃうやないか。
女:これから言おうとしてましたんやん。
男:そうか?そうは思えんけどな。
女:天気のええ日中は爽やかサラサラシートですよ。あ、日本と中国って意味ちゃいますので。
男:わかっとるけど、シートってなんやねん?どこのシートやねん?
女:そんな事聞くもんじゃないですよ、マンさん。
男:え?そうなん?
女:爽やかな日は、マッパで過ごしたいですわ。
男:なんで裸やねん。キミは裸になるん好きなんか?
女:マッパは好きですよ。ものすごく開放感がありますしね。だからあたしは“マッパー”という異名があるんです。
男:誰がそんな呼び方しとんねん。ほんで“マッパー”ってなんやねん。“ラッパー”みたいに聞こえるぞ。
女:マッパでラップ……うーん痺れる(ㅎ.ㅎ )
男:マッパでやるなよ。
女:ヘイ♪チェケラッチョ♪ボデーはマッチョ♪貯金はゆうちょ♪した事ない浣腸♪まだ持ってる盲腸♪久々の会話でチョー緊張♪会話相手にチョーチョーコンチクショー♪
男:最後はオレに対してディスっとるんか?
女:めっそーもございませんYO!
男:やかましいわ。
女:そんな感じの爽やかな日中って話ですねん。あ、日本と中国って意味ちゃいまっせ?
男:わかっとるって。爽やかでも大人しくしとけよ。
女:じゃああたしはマッパで大の字になって寝てたらよろしい?これはかなりのシャッターチャンスでユーガッタチャンスですよ。
男:慌ててガラガラ~ってシャッター閉めたるわ。
女:…うまい事返しましたね。でも慌ててシャッター閉めたらなにしてるんかと疑われまっせ?
男:考え過ぎやて。ほんでマッパにはなったらあかんぞ。ええ歳した大人やねんから。
女:確かにあたしは自他ともに認めるええ感じの大人です。でも大人やない部分も多々ありますけどね。
男:どこやねんそれ…って、あかんあかん。聞いたらあかん。
女:阿寒湖って行った事あるんでっか?
男:オレはないけど。いや、なんでキミはシャレばっかり言うよな。好きなんか?
女:シャレが?好きとかゆーより、そもそもあたしは『オシャレさん』って呼ばれてますから。
男:そっちのシャレとちゃうから。
女:でもオシャレっ気あるでしょ?なんでかと言いますと、オシャレっ毛が生えてるからですねん。
男:どんな毛やねん?そんな得体の知れん毛を生やすなよ。
女:びっしり生えてます。それを日曜日の夜遅くに綺麗に整えるわけです。そんな苦労知りまへんでしょ、マンさんは。
男:知らんし知りたくもないわ。
女:いくらオシャレっ毛を綺麗に整えても、履いてた靴下に穴が開いてたらもうオジャンですわ。
男:オジャンって…おっさんか。ほんでなんで靴下の話やねん?
女:なかなかアナーキーな靴下でしょ?
男:アナーキーってそういう意味なん?
女:ちゃうと思います。
男:ちゃうんかーい。さっきからわけのわからん話が炸裂しとるやないか。
女:マンさんには負けますって。
男:オレが勝つわけないやないか!
女:まぁまぁ。落ち着いてくださいよ。はい、これでも飲んでゆっくりしてください。
男:おお、ありがとう。これなに?
女:あたし特製のいちご練乳オクラ大根スムージーです。上に乗っかってるシマシマの粒はひまわりの種です。サービスして多めにトッピングしときましたで。
男:ごめん、飲める自信ないわ。
女:大丈夫。気持ちはようわかります。
男:キミもそんな気持ちなんかよ!?それやのにオレに飲ますんかい?
女:「飲んだらアリかな?」って思えますって。だから別名は『ノンアリスムージー』とも呼ばれてます。あたしだけが呼んでますけど。
男:キミしか知らんからやん。いや、オレは遠慮しとくわ。
女:えー?せっかく作ったのに…。じゃ冷凍しときますんで、来年の秋ぐらいに解凍して飲んでください。
男:ああ…うん…ありがとう。
女:せっかく作ったで思い出しました。
男:まだあんのか?オレはもう元気やから。気を使うなよ、頼むから。
女:今度は特製スムージーやないんです。おもろい物を作りましたよ。ちょっと見てください。
男:おもろい物?
女:はい。いつも寂しい思いをしてるマンさんのためにこんな装置を作ったんです。
男:勝手にオレが寂しい思いをしてる扱いすんなよ。で、装置って?どんな装置?
女:ちょっとこのボタンを押してみてくださいよ。
男:え?なにこれ?これってなんのボタンなん?
女:それは押せばわかります。はい、押してください。
男:ほぉ…わかった。こうか?(ポチ)
音:「今押しましたね?」
男:……なにこれ?なんか喋ったけど?
女:おもろいでしょ?
男:いやちょっと待って。押したら「今押しましたね?」って言うだけのボタンなん?
女:そうですけど。不満でっか?
男:不満ってゆーか…それでなにがおもろいんだか……。
女:わかりました。じゃさっきのボタンを、今度は連打してみてください。
男:連打?このボタンを?
女:そうです。指先でチョンチョンチョンと。
男:こうか?(タンタンタンタンタン!!)
音:「めーっさ押してるやーん♪」
男:だからどした!?今度はめっさ押してるとかゆーてきてるぞ?しかもちょっと嬉しそうなんやけどオレの気のせいか?
女:おもろいでしょ!?
男:いやちょっと、これってなんの意味があんねんって。もうちょっと説明してーや。
女:わかりました。マンさんも相当寂しがり屋の欲しがり屋さんでんな。思った以上に。
男:キミに思われたないわ。しかもそれ以上って。情なくなるわ。
女:あのですね、マンさん。もっとおもろい事がありますねん。
男:えー?この装置で?もうええって~。
女:最後ですから。我慢してください。
男:キミの口から「我慢して」とかゆーてもーてるがな。オレに我慢さしてどーすんねん?
女:いいからこのボタン…今度は思いっきり押すふりして寸前で止めてください。
男:なんやねんそれ。結局押さへんのやろ?それじゃこの装置も反応せんやろ。
女:いいですからやってみてください。勇気をもって。ほれ。ほーれ。
男:ったく…なんでこんなことに勇気を持って臨まなあかんねん。しかも日曜の夜に。
女:月曜ならええんでっか?
男:曜日は関係ないわ!!
女:じゃあほら、やってください。いや、やってみてください。
男:ほぼ意味一緒やんけ。えっと……こうか?(ビューン!!ピタッ…)
音:「押すんか思ったら押さへんのかーい」
男:こんな装置いらんわ!!(ポイッ!!)
女:あ!
音:(ガッシャーン!!)「痛い…」
男:あ…すまん…ついやってもーた…ホンマごめん…。
女:粉々になってまいましたね…ご愁傷様です🙏
男:でも最後にまたなんかゆーとったな。痛いとか…。でもすまんかった。
女:ホンマになんて事をしたんでっか、マンさん…。でも、おめでとうございまーす♪
男:え?おめでとう?
女:マンさんでこの装置を壊した人がちょうど100人目です。コングラチュレーション♪
男:作っては壊されてんのかーい。しかも100回もかーい。キミはなにやっとんねーん。
女:寂しがりのマンさんを楽しませようと。
男:要らんから。こんな日曜の夜になってもーたし、今夜はこれで撤収やな。
女:まぁあたしとしてはマンさんの怒りの姿も見れましたし、満足してまっせ。
男:なんでオレの怒りの姿を見てキミが満足すんねん?オレが不服やわ。
女:不服?じゃあたし特製のスムージーでも……
男:要らんから。はい、じゃあお開きやで。また来週かな?
女:えーっと…スケジュールは今のところ入っておりまへん。
男:そんなもん最初っからあらへんがな。いつでもええやろ。
女:いつでも…まぁあたしはいつでもマンさんにお任せしとりますので。
男:やかましいわ。嘘っぽいぞ。
女:バレてますやん(笑)
男:シバきたいけど撤収するわ。じゃ風邪引くなよ~。またな。
女:はーい。後ろ髪引かれながら、ほなね~♪