男はわかっていなかった…
いや…わかっていたが認めたくなかったのかもしれない
認めたくないけど 現実は容赦なくたたき付けるのだ…残酷なる真実を
おまえはもう二度と…その輪に入ることはない…と
男は過ちを犯した訳ではない
男は妄想のぬるま湯に浸っていた訳でもない
快楽に身を任せ 遊びほうけていた訳でも…酒に逃げるようなこともなかった
ただ歯車が狂ったのだ…心身の大事な歯車が
男は懸命に歯車を直そうと努力した
直るものだと疑うことなく信じていたのだ
時は行く
老若男女 貧富 関係なく 森羅万象すべてのものに平等に時は行く
男にしても例外ではなかった
掌に大事に掬った砂が指の隙間から流れ落ちていくように…
掬った砂はもう掌には残っていない…新しく砂を掬うのだ
その砂で新たな輪を作ることが男の未来への布石となる
男は新しい砂を掬った時、何かを悟る…すべてを理解し受け入れた時、男の頬を風が撫でる…
凪だった…風は止み波が穏やかになりすべての音が消え…時が止まったかのような一瞬の状態を言う…凪…
男は砂を払い 陽のさす方向を見る
それは落ちてゆく陽ではなく これから昇ろうとする陽であったことに気づく
男の力強く握られた拳には陽に照らされキラキラと輝く砂がこぼれ落ちていた
…なぁ~んてね
意味がありそうで なさげな随筆でした
それじゃ…また