甥…のコト

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甥っ子は

1988年6月9日に生を受けた
姉の初子で外孫とはいえ自分の父と母を爺さんと婆さんにした…

今は亡き母が意識のある時分に唯一 婆さんとして可愛がることの出来た子だった…

自分にとっては1989年に母が脳出血で倒れ 東京を引き上げ福岡に戻った時に 母の看病の半年の間
一緒に生活をともにした子だった…


高校生になった甥っ子を中洲のバーに連れて行き女の子との付き合い方を説き…

自分の結婚式に知り合いであるバーテンダーに来てもらい来客にカクテルを振る舞ってもらったりしたことがあり、それをきっかけに甥っ子はバーテンダーに憧れを抱き…志すまでになった!

高校を卒業する年…

俺を頼らず自分の力でバーベスパの門を叩き

己の道を歩みはじめた

感心したし 立派になったとも思った…

バーテンダーという職業に理解を示さない親族もいたが
そこは俺が出来る範囲でカバーした…だが周囲の反発があるのは事実でその分、 甥っ子自身がしっかりと道を歩む姿勢を示さなければ誰も納得してくれないと言う考えから

俺は甥っ子に厳しく接した

いつ泣き出しても仕方ないくらいけちょんけちょんに罵った


夢を追うことの厳しさときつさは俺が漫画家を目指していた時に骨身に染みて味わっていたからだった

そこに強さを求めたし それが出来る子でもあると信じていた


通い詰めたバーベスパはその修業が厳しく辞めて行く者が多い店でもあった…早ければ1日…1週間持たない人が後を絶たなかった

そこで1年 持ちこたえた時
よく辛抱した…と感心した

しかしまだまだこれからと…
夢を叶える長い道のりの僅か1年…と甘やかすことはしなかった


春だった

1年と1ヶ月が過ぎた頃
発作で倒れ 顔に傷をつけた

それまでにも何度となく倒れていた甥っ子だったが

ついに親は

これ以上 迷惑はかけられないと甥っ子を実家へ連れ戻すと言いはじめた


俺は反対した

甥っ子の自立を遮ることになるから…と

しかし…

覆ることはなく

甥っ子はバーベスパを去ることになってしまった
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1月25日…

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電話の向こうの姉の声は

狼狽している様子はなく淡々と息子の死の状況を説明していた
夕べ…家族の最後にお風呂に入って…そこで発作を起こして水を飲んで…


一瞬の間があり


哀しいよりも怒りの方が大きくてね


そうなのだ…それは自分も同じだった


甥っ子は持病の発作を持っていたが 治らない病気ではなく ちゃんと用心して薬を決められた時間に飲みさえすれば発作は抑えられるものだったからだ


何度も口を酸っぱくして薬を飲むように言われていたが 忘れてしまうこともよくあり

何度となく発作で倒れ病院に運ばれていた


今までは運がよかっただけ…倒れた所がデパートの中や歩道だったりしたから…

車道側に倒れて車にはねられる可能性もあるんだから…と


防ごうと思えば防げるものだったと思われる今回の事故に


だから言ったのに…

あれほど言ったのに…

なぜ ちゃんと出来なかったんだ

周囲の人たちに大きな悔いを残しそして…運は今回ばかりは味方をしてくれなかったのだ


いつかこうなる日が来るかも…懸念はしてても現実的には可能性は低い…死が訪れるなどとは誰も予想だにしていなかった



1月25日 早朝…

24日から降り続けた雪は町を山を道を

真っ白に覆いつくしていた

高速道路 都市高速は封鎖され

人々の足を遮断していた

長い一日の始まりだった…
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1月24日…

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この日…


44回目の誕生日だった


九州では珍しく雪が降りつもり
交通機関をマヒさせた


お昼を過ぎた頃から

誕生日を祝うメッセージや電話が引っ切りなしに携帯を鳴らしていた…


夕方の4時頃…
前日の23日に仲間たちが誕生日を祝ってくれてシャンパンなどをラッパ飲みさせられたりしたので少し昼寝をしてしまった


1時間ほどの睡眠だったが 左足を誰かに握られるような感覚で目を覚ましたのだ…


疲れていたんだろう…

昔から足をつり 目を覚ますことはしょっちゅうあったことだった

夜… 夕食をとりくつろいでいた8時過ぎ…


行きつけの中洲のスナックのマスターから電話が入った

外はすごい雪だが…誕生日だし飲みに出ているのか…と!?もし出ないのならば店を休もうと思ってな…ビックリマーク

雪で交通機関がマヒしているこの日、中洲でも臨時休業をする店が多かった… 自分の誕生日のために店を開けようか…と言ってくれるマスターの心遣いが嬉しかった…


その日は飲みに出ないことを伝え遅れ気味になっていた 仕事に取り掛かった


しかし 疲れもあり満腹感から睡魔に襲われ11時頃から 横になっていた…

相変わらず携帯はメールの着信を告げるメロディーが 流れ続けていた!

とりあえず サイレントモードに切り替えて眠りについた

早朝…

起きてすぐに携帯を見ると音を消したあともメールや電話の着信が履歴で残っていた

その中に…

姉からの着信履歴が頻繁に入っていた


普段…姉からそんなに何度もかかってくることはないので緊急の用件を伝えたい電話であることはすぐに察知できた…


姉に電話をした…誕生日を祝う電話やメールが多かったために繋がるとすぐにバッテリーが切れてしまった

慌てて充電器に差し込み再び電話をかけると

テンションの低い声で姉が話し始めた…

よい知らせではないことは明らかで次の言葉を待った


夕べの遅い時間なんだけど…
愼之介が亡くなったんよ


姉の長男の死を告げる電話だったのだ…
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