CANON T90 | CROWのブログ

CANON T90


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1986年発売のキャノンT90。

製造終了はNew F-1が後になりますが、FDマウントの最後に出たカメラがこのT90。

一年後にはEOS620、650が発売されます。

これまででたキャノンのデザインと全く違ったデザイン、これはドイツのデザイナー、ルイジ・コラーニ氏とキャノンの折衷案によるものです。


このカメラ、プライベート用にFDマウントのカメラをオークションで物色中(本当はNew F-1を探してた)、ジャンク品として出ていたのを見つけて購入したものです。

T90とNew F-1どちらがこれから末永く付き合えるかと言うと、多分New F-1なんでしょうが、このT90もなかなかのものなんです。

シャッタースピード最高1/4000、、単三電池4本の電源で秒間5駒の連写、操作性はNew F-1よりも良い。

はい、自分に言い聞かせてます。


で、なぜジャンクかと言うと。


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シャッターを切ると、上の写真のように液晶表示がEEEで、その後電池を一度抜かないと、作動しなくなります。

このT90はメーカーの部品保有期限も切れていて補修部品の供給はありませんが、うん、これは部品交換なしで直る......多分。


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シャッターユニット単体まで分解したところ。

おそらく故障の原因はこのシャッターユニットの電磁石(単にマグネットと呼んでいます)。

上の写真の左側の上下に2つ赤いのが見えますが、これがマグネット。

このマグネットはそれぞれシャッター先幕、後幕に(一般的なフォーカルプレーンシャッターの場合、縦走り、横走り、どちらも2枚のシャッター幕で構成されています)連動してこのマグネットに電流を流した瞬間、それぞれのシャッター幕を走らせています。


もう少しこのシャッターのマグネットの働きを説明すると、赤いコイルが巻いている芯に2本,角みたいにでたものと、その上におにぎりをぎゅっと縦につぶしたような形のものがピタッとくっついていますがこの二つは永久磁石で

、赤いコイルに電流を流していないときは永久磁石の働きでピタッとくっついていますが、コイル(赤いのが銅線をぐるぐると巻いているコイルです)に電流を流してコイルに入っている磁石の極を反対に変えます。

磁石はSとNの極があって、SとNは引き合いますが、同極のSとS、NとNでは反発します。理科の授業で習いましたね。

それで、瞬間、コイルに電流を流し、いままでS,NかN,Sでピタッとついていた磁石がS,SかN.Nと同極となり、反発して変形おにぎり状の磁石が上に上がり、これに連動してシャッター幕を止めていたレバーが解除されてシャッター幕が走り出します。


このシャッターユニットについている2つのマグネットでシャッタースピードを制御しているわけですが、コイルに電流を流した瞬間に即座に磁石が反応して、はじめてシャッタースピードの精度が出るのですが、この磁石の吸着面が汚れているとコイルに電流を流しても即座に反応せずにシャッタースピードの精度が出なくなってしまいます。



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上の2枚の写真がそれぞれ磁石の吸着面です。若干キズ状の汚れが見えますね、これでアウトです。

この吸着面をキズをつけないように注意しながらゴシゴシと溶剤で清掃。


この後、シャッター部についているダンパーを交換し、いろいろなところにあるタイミングを検地するためのスイッチ接点を清掃。各レバー部清掃グリスアップして組み立て。


無事気持ちよく動いてくれるカメラに仕上がりました。