【リク鴆】寒い日ときみの話【いい夫婦の日記念/小話】 | Ruder!!

【リク鴆】寒い日ときみの話【いい夫婦の日記念/小話】









「鳥っていうより、猫みたいだよな」





炬燵で暖をとる鴆を見てふと思ったことを口にしてみれば、鴆は顔を歪めた。何言ってんだ、と言いたげな顔。
鴆は寒がりだ。夏も暑い暑いと眉を寄せていたが、冬になったら寒い寒いと文句を垂れる。
手を肘まで炬燵の中に突っ込んだ鴆を見やった。
その内炬燵の中に自分自身ごと入ってしまうのではないだろうか。
それこそ猫になってしまうではないか。
不審そうにオレを見る鴆に苦笑すれば、鴆もつられて苦く笑った。





「猫は炬燵で丸くなる、ってか」

「手を突っ込んだ次は身体だろ?」

「はは…そうかもな」





揶揄するように笑って見せる。
笑っている、というより、笑われているのかもしれない。
いつものうっそりとした笑い方も好きだが、こういう笑い方のほうが好ましいと思った。
なにかを惜しむように綺麗にわらってみせるのだ。
細くなった目が。垣間見える白い歯が。部屋と炬燵の暖かさからほんのり上気した頬が。
その表情を引き立てているような錯覚さえさせた。





「寒くねぇのか。手、出してて」

「暖めてくれるんだろ?」





鴆の視線が注がれた手で鴆の頬に触れてみれば、鴆の双肩がしなるように跳ねた。
熱の隠った瞳と視線がかち合う。
口を尖らせてむくれたような表情をもってオレを睨む。
反射とは言え良好な感度に苦笑が零れるのも無理はない。
これで睨み付けるものだから、きっと鴆の脳内に性的な力でもって征服される危惧は一切過らないのだろう。
どこまでも甘いとしか言いようがない。
ふわりと香る密閉された室内に漂う甘ったるい香りを軽く吸い込めば、そこに紛れる微かな欲情の匂いに口角を吊り上げた。





「なあ、暖めてくれよ」

「仕方ねぇなあ…」





鴆は困ったように笑って、オレを手招いた。
白魚のような手が招く、鴆が暖をとる隣へと座れば、それを確認してまた笑う。
まるで鉱物がごとき澄み切った色の目が見開かれると、心臓がどくりと跳ねた。
距離を縮めて鴆が擦り寄ってくる。
どうしようもなく愛おしい。
炬燵からするりと出た白魚がそっとオレの髪をすく。
確かに炬燵の中に入っていたのに、その白魚というには語弊があった青白い手は冷たかった。ひやりとする。





「お前だって冷てぇじゃねーか」

「こういう体質なんだよ。寒いったらありゃしねぇ」

「あっためてやろうか?」

「な、」




開きかけた鴆の口を乱暴に塞いだ。
身体は冷えて寒いのに胸はまるでなにかが高ぶるように熱い。
舌をねじ込んでやれば、ふ、ふ、と荒い息で鴆は嗚咽を漏らし始めた。
息をするタイミングがずれる。
目尻に涙が溜まっているのが見えた。耳まで真っ赤して、それでもオレに答えようと舌を絡めてくる。
まるで自慰のようだと甘ったるい熱に浮かされた脳で考えた。
ただひたすらに目の前の快楽を求め擦り寄る身体がたまらなく愛しい。
ずくりと胸の奥で欲が疼く音を聞いた。





「鴆、鴆」





首に回された腕が、肌に触れる指が、あの白魚が、熱を帯びている。
寒さすら快楽と解釈する融けた脳は、指先が制止するまで口付けに付随するそれを止めようとはしなかった。
顎を掴んでいた片手をそこから解放し、人差し指と中指を開き相手のそれぞれ口角を押さえ、鴆の動きをやんわりと中断させる。
ぬるりと引き抜かれた舌がてらてらと淫靡に光った。
赤みをさした頬より更に真っ赤な舌が薄く開かれた唇から覗く。
鴆の熱っぽい視線がねっとり絡み付いた。









「……続き、しねぇのかよ」













ああ、ああ、なんて甘ったるい。
















寒い日ときみの話

















(その冷たい指先が熱を帯びる瞬間は)(オレだけのものなのだ)




Fin.


間に合った!!(^O^≡^O^)
いい夫婦の日!!リク鴆の日!!!!
炬燵でぬくぬくしてた筈がいつの間にか(^O^≡^O^)
シリアス専門だから久し振りに甘いの書いた(^O^≡^O^)
ほのぼのを目指したつもりだったんだ…(^O^≡^O^)

フリーです(^O^≡^O^)お持ち帰りご自由に!!(^O^≡^O^)