その36のタイトルは「トイレのにおい」でした。
我が家のマンションの造りは、
どうにも換気口が繋がっているようなのです。

毎日のように香るというわけではなく、
ごくたまに料理の匂いがします。
家の中でトイレだけがその香りに包まれるため、
一歩その空間に足を踏み入らば、
お!
と思うわけです。
なんだか嬉しくなってしまうのはなぜなんでしょう。
特に「カレー」といういかにもな匂いではなく、
ミートソース
なんかの時は、
自宅で不思議発見したような気持ちを味わえます。
ですからこの、
お!
という気持ちはぜひ共有したい!
と思うのが人の心情というものでありましょう。

* * * * * * * * * *
同じようなことが家の外でもあります。
夕暮れ時、どこかの家から香り漂う夕飯の匂い。
「何の匂いかなあ」
なんていう話をゆうかちんに振るんですが、
彼女は決まって必ず
「ゆうかちんも食べたい」
と、この台詞を発します。
そしてこれが仮にカレーだったとしましょう。
「じゃあ、今日はカレーにしようか?」
なんてことを言ってみるわけです。
そうすると、
「ちゃうねん。ゆうかちんは
このカレー
が食べたいねん。」
という新手の究極のワガママか!
という答えが返ってきます。
夫を困惑させることが趣味の奥様にございます。
「じゃあ、なんだ、突撃晩ご飯か?」
いっそ、そんなのも面白いかも知れない…
そう半ばヤケになって答えてみれば、
「ちゃうちゃう。
人の作った料理がおいしそうやねん。」
と、ゆうかちん。
一瞬「同じじゃないか」とも思えますが、
どうやら、
隣の芝生は青く見えるのだ
ということを言いたかったようです。
…わからないよ!

