その32のタイトルは「ぬきあしさしあし」でした。
忍法、忍び足失敗の巻、ニンニン阿部です。
気を使ってニンニンしているわけですが、
逆の立場で考えるとかなり怪しいですよね。
「ぎゃー!」とか驚かれなくて、本当に良かったです。
なぜ忍者にならなくてはいけないのかというと、
罪悪感という感情があるからなんですね。
「起こしてしまっては、申し訳ござらん」
そう、思っているわけなんです。
以前、ゆうかちんと2人でTVを観ているとき、
ダウンダウンの松本さんがこんな話をしていました。
「俺な、夜中トイレ行くやろ。
そん時に水流せへんねん。
うるさくしちゃ悪い思うてな。ダメやねん。」
流さなダメやろ!(笑)
みたいなノリだったと思うんですが
それを観ていた僕は
「や~、これ分かるなあ。分かるよ、松ちゃん!
優しさだよねぇ!!」
と、1人その話に共感していたところ、
ゆうかちんに突っ込まれました。
「え、なんで?それは気を使いすぎなんじゃないの?
トイレは流そうよ、汚いよ。」
と、至極真っ当なご意見を頂きました。
夜中のトイレ、みなさんは流せますでしょうか。
その時初めて「え、おかしいのかな?」と思った僕は、
少し過去を振り返ってみることにしたんです。
…あれ、いつからこんなことやってるんだろう?
そうして思い出して行くと、
どうやら母との関係にルーツがあるようでした。
* * * * * * *
僕の母はむかし、ホステスの仕事をしていました。
どうやらそのことに後ろめたさがあったようで、
幼い僕には完全に隠し通していました。
おかげで僕は中学生になるまで
「母は夜に仕事をしている」という事実しか知らず、
知った後でも「あ、そうなんだ?」ぐらいでした。
ですから夜に仕事をしていた母は、
当時、朝方~昼間は寝ていることが多かったのです。
プライドが高く勝ち気な母なのですが、
当時、家の中ではよくキレていたのを覚えています。
物は投げるは、ドアは思いっきり締めるは…
暴力までいかないのですが、ヒステリックな母でした。
幼い頃の僕はそれが怖くて仕方がなかったのですが、
今思うと母にはしんどいこと、
たくさんあったんだろうなぁと思います。
世間になめられるまい、
と必死で頑張っていたんだと思います。
そうして父に教えられるのです。
「お母さんは夜にお仕事してるから、
お昼は疲れて眠るんだ。
だからなるべく静かに休ませてあげてね。」
僕が人が寝てる時に気を使いすぎてしまうのは、
どうやらこんなところにルーツがありそうです。
* * * * * * *
この話をゆうかちんとするまで僕は、
ベッドに戻れないことが何度かありました。
(その18-1匹の夜の回 より)
起こしちゃ悪い
そう思うと、
後からベッドに入ることができなかったのです。
まるで帰る場所をなくしてしまった犬のように、
そんな時は居間で転がってたりしました。
「なんでベッドで寝ないの?
ゆうかちんのこと嫌いやの?」
「や、起こしちゃ悪いと思うからさぁ」
などというやり取りをしていたこともあります。
典型的な誤解のパターンです。
いまではゆうかちんの
「ベッド、後から入って来ていいよ。
ゆうかちんは怒らんよ。
居間で寝られる方が身体悪くしそうでイヤや。」
という言葉とともに、
夜中に忍者になっているわけです。
無意識的に強い罪悪感というのは、
なかなか自分で許していくことができません。
自分以外の人に許可を出してもらうことで、
次第に自分でも許していけるようになったりします。
なかなかなくならない罪悪感、
誰かの手を借りてみるのもオススメでござるよ。
ニンニン。

