そえだ信「アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~」 17 点検と実験 | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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そえだ信「アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~」、3月4日「17 点検と実験」が公開されています。(カクヨムでは「30 点検と実験」)

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~ - 17 点検と実験

 

 

『翌朝早くライナルトが外に出ると、ロミルダの話の通り、小ぶりの桶が家の前に積まれていた。』

それから、近所の少年コンラートがライナルトの手伝いに、と欠伸しながら現れます。

「ふぁーー、ああおっちゃん、お早う」

「おお、お早う。大丈夫、目は覚めてるか?」

「今、覚めた。まだ朝は風が冷たいなあ」

「だな」

「水汲みだろう? 手伝うから」

「おお、助かる」

 

食事の後、イエッタはハイハイや魔法の練習に一生懸命。一人であれこれと動いています。

『水球を作ることができたら次にはもっぱらそれを飛ばしたくなりそうなものだが、この娘はそのまま球をひねくり回して形を変えたりしようとしているようだ。

 何をしようとしているのか、どうにも分からない。

 とは言え、そんな分からない行動をするのが小さな子どもの常なのだろうと思い、ライナルトはそのまま放置して見守りだけを続けた。』

 

そんな娘を見守りながらライナルトは剣の手入れを始めます。

『剣先に目を近づけていると、不意に周囲がやや暗くなった。外で、一時的に陽が陰ったらしい。

 ほとんど条件反射で、指先に光を生んで剣への凝視を続ける。

 観察を終えて一度顔を上げると。少し離れて娘がこちら向きに目を丸くしていた。』

「……ひかり?」

「あ、おお――今のか? 光魔法だ」

「へええ」

「あまり広くを明るくできないが、こんな手元だけを照らすくらいなら便利に使える」

「ふうん」

『頷いて、自分の指先を眺め出した。

 両手の指を見比べ、それから「ひかり」と呟く。

 しかし、何も生まれない。

「ふうん、イェッタは光の適性はないかな」

「むう――」』

 

「あと、かじぇ?」

「ああ、残る適性は風だな」

「かじぇ――」

『また自分の両手先を見比べ、呟く。

 それから、さらに妙な表情になった。

 立てた右手に目を凝らして「かじぇ」と呟き、左手をその周囲に回してみている。』

 

何だか少しだけ空気が動いたような…

繰り返して見ても、それが魔法の成果かどうかは分かりません。

 

「うーん、よく分からんな。たぶん風だと思うが、断定できない」

「そ」

「水もまだうまく飛ばせないんだから、それと同じなのかもしれん。しばらく見てみないと、分からんな。練習次第ってことかもしれんが、あいにく風適性の奴の練習方法を見たことないから、何と言っていいのか分からん」

「ふうん」

「それでも、イェッタも二つの適性がありそうだってことだな」

 

それからイエッタはライナルトに、光の魔法でどんなことができるかを尋ねます。

遠くを照らすことはできるのか、とか光をもっと細くできるのか、とか。

 

『しかしなあ、とライナルトは改めて首を捻った。

 まだ立つこともできない赤ん坊と、何でこんな、まるで意味が通っているかのような会話が成立しているんだ。

 数日前から何度目かの疑問だが、やはり首を振って深く考えないことにする。

 わけ分からない。

 しかしそれで、何か不都合が生じるわけでもない。

 何よりも、まるで娘と意思が通じているようで、心楽しくなってくるようだ。』

 

それからイエッタはまた「水魔法の自主練習」を夢中で続けました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ルートルフがようやく1歳に!! 兄弟コンビの領地復興ストーリー第2弾!

貧乏男爵家次男のルートルフは、別世界の『記憶』を持った頭脳派0歳児。やがて困窮する領民の状況を知った彼は、兄のウォルフにだけ自身の正体を明かして、領地救済に乗り出していく。ふたりは黒パンやコロッケなどを次々と発明し、おかげで領地は危機を脱しつつあった。
そんなある満月の夜、ルートルフとウォルフはオオカミのザムの背に乗せられて、隣のディミタル男爵領へ連れていかれる。森の中に着いたふたりが見たのは、柵に捕われたザムの仲間たちだった! 領地困窮の大きな原因となった害獣大繁殖のカラクリを知ったふたりは、オオカミ解放作戦を開始するが……。
さらに、1歳を迎えたルートルフの前に見知らぬ赤ちゃんが現れて!? 赤ちゃん度MAXでお届けする、領地立て直しストーリー第2弾。

 

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不作による飢餓、害獣の大繁殖。大ピンチの領地を救うのは、赤ちゃん!?

ルートルフ・ベルシュマンは生後6か月で突然大人並みの意識に目覚め、別世界の『記憶』に何かを告げられるのを感じる。焦らず周りの状況認識と言語習得から始めると、間もなく自分が男爵家の次男であり、領地が困窮していることを知る。領民たちが冬を越せないほどの深刻さに、自分が大人になるまでじっとしていられないと感じたルートルフは、兄のウォルフに自身の正体を明かし、ふたりで領地救済に乗り出そうと決意する。
「ぼく、のこと、ひみちゅ」
ふたりは別世界の『記憶』と『加護』という不思議な力を頼りに、領地に襲い来る問題への対処法を考えていくが……。
秘密を共有した兄弟コンビは無事に男爵領を救うことができるのか?
頭脳派0歳児の活躍とかわいらしさに目が離せない、本格異世界ファンタジー。

 

 

 

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