ブルックナー「詩篇150番」  ヨッフムの骨太の音楽とマリア・シュターダの声。素敵です。 | クラシック音楽と読書の日記 クリスタルウインド

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先日以前に書いたグレゴリオ聖歌の記事(グレゴリオ聖歌 アレルヤ(Alleluja) 詩編150番 )を読み返したりそこに載せた音楽を聴いたりしているうちに、たぶん聖書の同じ詩にずっと後の時代に付けられた音楽、ブルックナーの「詩篇150番」を聴いてみたいな、と言う気分になりました。

 

詩篇というのは旧約聖書に収められた150篇の神への賛美の詩です。「詩篇150番」はその最後の詩をテキストとして作曲された音楽、ですね。

 

1 主をほめたたえよ。その聖所で神をほめたたえよ。その力のあらわれる大空で主をほめたたえよ。
2 その大能のはたらきのゆえに主をほめたたえよ。そのすぐれて大いなることのゆえに主をほめたたえよ。
3 ラッパの声をもって主をほめたたえよ。立琴と琴とをもって主をほめたたえよ。
4 鼓と踊りとをもって主をほめたたえよ。緒琴と笛とをもって主をほめたたえよ。
5 音の高いシンバルをもって主をほめたたえよ。鳴りひびくシンバルをもって主をほめたたえよ。
6 息のあるすべてのものに主をほめたたえさせよ。主をほめたたえよ。

 

 

 

1892年、ウィーン国際音楽演劇博覧会が催されることになり、ブラームスのもとにそのための祝祭カンタータを作曲して欲しいという依頼がありました。しかしブラームスはその依頼を仲介した人に丁重に断った上でブルックナーに作曲を依頼したらどうかと伝えたそうです。

(ブラームスはブルックナーの交響曲は批判していましたがミサ曲やテ・デウムなどの宗教曲は高く評価していたようですからそう言う事が頭にあったのだと思います。)

 

ブルックナーはその依頼を受け作曲に取りかかりましたが時間が少なかったことやブルックナー自身の体調もあり博覧会の開幕には間に合いませんでした。(博覧会の閉幕式に演奏されると言うことで完成しましたが、博覧会自体が赤字となり閉会式における演奏は実現しませんでした。1892年11月13日ウィーン楽友協会の第1回演奏会において初演されました。)

 

今ではこの曲の演奏も数多くのディスクが発売されていますが、暫く前までは長い間このヨッフムの録音しか選択枝がない時代が続いていました。今聴いても多少合唱の精度は荒いかも知れませんがヨッフムらしいブルックナーを熟知した骨太の音楽作りと熱さを感じられる演奏はなかなか魅力的です。そして、マリア・シュターダの声。素敵です。

 

「マリア・シュターダー(Maria Stader, 1911年11月5日 - 1999年4月27日は、オーストリア=ハンガリー帝国(現ハンガリー)出身のスイスのソプラノ歌手。

体が小さかったため、歌劇場での活動を控え、主にリサイタルで名声を築き、ドイツ・リートに加えてオトマール・シェックをはじめとするスイスの作曲家の歌曲をレパートリーに加えて活躍した。

1950年にはザルツブルクからリリー・レーマン・メダル、1956年にはモーツァルテウム音楽院から銀のモーツァルト・メダル、1962年にはチューリヒ市からハンス・ゲオルク・ネーゲリ・メダルをそれぞれ贈られている。1964年にはオーストリア政府から芸術功労勲章を受勲した。

1969年に歌手活動から引退し、以後はチューリヒで後進の指導に専念した。」(Wikipedia マリア・シュターダー より)