ここ数か月、これはよかった!というような本にも出会わず、そもそも圧倒的に読む本の数が少ないわけですが、このことについては書かずにはいられない…ということで、今さらなんでー?という感じでしょうが、「1Q84」です。
日本人で村上春樹を知らない人はいないでしょう。
最近はノーベル賞を逃したってことでニュースにもなっていましたしね。

「1Q84」は批判も多くて、読んでみたいようなどうでもいいような…だったのですが、今は図書館でもすぐ借りられるので借りて読んでみました。

1Q84 BOOK 1/新潮社
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まず言っておきますが、私は村上春樹ファンではないものの、ほとんどのフィクションを読んでいるし、エッセイの類もそこそこ読んでいます。

「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」や「ねじまき鳥クロニクル」などは悪くなかった、というか結構よかったと思っています。

シドニーオリンピックの際に書かれたエッセイ「シドニー!」はおもしろいエッセイでした。


ただ、フィクションに関しては、いつも同じような人物造型だったり陳腐な設定だったリするのが気になっていて、読んでいてイライラするものも多かった。

またそのパターンかよ…とつっこみたくなるような。


でも、「1Q84」、これは次元の違う「イライラ」を引き起こすすごいフィクションです。

批判されても、もうどうしようもない小説だと思います。


宗教をめぐって起こる事件、親による性的虐待、これでもかこれでもかととにかく私が読んでいるのは天童荒太か!!という気がしています。

エホバの証人をモデルにした宗教団体に入っている両親に布教に連れまわされる女主人公青豆。

NHKの集金に連れまわされる男主人公天吾。

問題となる宗教団体では性的虐待が行われ、青豆が出会う婦人警官も子供のころ性的虐待を受けていた。

類は友を呼ぶとはこういうことを言うのでしょうか?


セックス描写が入っているのはいいけど、なんだか中途半端なリアルさでなんだかなあ~という感じ。

相変わらず人物造型は似たような感じ。


男性主人公は音楽が好きで知的でささっと料理もできて、孤独で男前ではないにしてもなぜか魅力的な女性に会っていいことができてしまう。

女性はものすごい美人ではないけど性的魅力があり、村上春樹にとって都合のいいタイプばかり。


細かいところにも突っ込みどころ満載。

女性主人公の青豆が自分のことを「華麗なる賭け」のフェイダナウェイみたいだと思い、乗り合わせたタクシー運転手も「お客さんフェイ・ダナウェイみたいだね」とか言う。

80年代に、フェイダナウェイを知っている20代女性、そしてタクシー運転手はそんなに多かったんだろうか?

こういうところがうっとうしすぎる。


青豆と一緒に男を漁る婦人警官は、マクルーハンを読んでいる。

老婦人の用心棒がヴィトゲンシュタインを引用する。

体育大出の青豆はもちろんマクルーハンってなに?ヴィトゲンシュタインって?とはならないんだから、相当読書家で知的である。


寒っ!

こういう細かいところが本当に寒い。

風邪ひくかと思いましたよ。


村上春樹って60超えているでしょう。

それでこんなに寒いセンスがあるっていうのもなんだかすごいなと思いました。


青豆と天吾は、小学校のとき1度手を握り合っただけなのに30近くなるまでお互いのことを思い続け、しまいには天吾と別の女性とのセックスを通じて、なぜか青豆が妊娠してしまう!

一種の処女懐胎みたいなものですね。

青豆さんはもちろん処女じゃないのだけど。

(彼女は決まった彼氏なんかはいないけど、セックスは大好きでゆきずりのセックスを楽しむような人です)


「もうなんだこれーー!!!」

と思いながらも第3巻まで読みましたよ。

いやはや。


柴田元幸はどう思っているのでしょうね。


村上春樹は皆さんご存知のように海外でも高く評価されてきました。

一流出版社のカリスマ編集者もついていますしね。


この作品、海外ではどう見られているんでしょう?

海外の批評もあとで読んでみなければ。



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