Sさんは４３歳。
治療を長くがんばられてる。
カウンセリングのときに、こんなことを話された。
前は採卵ができなかったり、受精までいかなかったりしてたけど、
ちゃんと卵胞も育ってるし、採卵移植もできます。
普段の生理も来なかったりしたのが、周期が安定してきました。
体が変わってきたのはわかるけど、
あとは一体、なにをしたらいいんだろうって・・・
なにがいけないんだろうって思うんです・・・
先日も体外受精にチャレンジしました。
でも、うまくいきません。
血液検査で少しhcgの反応はあるんですけど、妊娠までつながらなくて・・・
長く治療をしてると、
わからなくなっちゃうよね。
不妊治療って、どこまでしたらいいのかわからないから、
それこそ、
まだ足りないのか、
問題があるのか、
って、自分を責めてしまいがち。
Sさん、
自分でできることはちゃんとやってるよ。
病院での治療もして、
漢方で体も整えて、卵子採れるようになったり、生理も良くなったり。
やれることは、やってる。
それにね。
移植後の血液検査でhcgの反応が出るってことは、受精卵は子宮に着床したってこと。
hcgは赤ちゃんがお母さんに着床したよ！って出してるサイン。
着床した受精卵からしか出ないホルモン。
だから、Sさんは赤ちゃんを受け入れられてるし、
赤ちゃんもSさんのところに来たがってる。
もっと、もっとってがんばらなくてもいい。
着床した後、赤ちゃんが育っていくかは、
もう人間のなんとかできる領域ではなくなってる。
受精して、
着床して、
胎嚢がみえて、
胎芽ができて、
心拍が確認できる。
胎嚢が見えなくてもhcgの反応があった場合は、化学流産っていうんだけど、ここまでの過程って、すごく初期の流産が多い。
前にも書いたけど、これは赤ちゃんとお母さんを守るための自然淘汰の結果であることがほとんどなんだよ。
精子と卵子になんの異常がなくっても、
ふたつの遺伝子がひとつになるためには、
ものすごい衝撃とエネルギーがかかる。
だから、どうしても遺伝子に問題がでちゃう。
子宮にたどりついてからも、
大きくなる過程で、この遺伝子の異常がわかったら、
自分から赤ちゃんは流れていく。
これが初期の流産。
人間にはどうにもできない、
人智を超えた世界の話、言ってみれば神様の領域。
Sさんね。
できることはしてるじゃない？
治療も、体を整えることも。
こういうときは、待つことなんだよね。
楽しいことをしたり、
嫌なことをやめたり、
自分を大切にするのがいい。
いままで、
治療とか、検査とか、薬とか、
そういう人間世界のがんばりは、十分にやってきたと思うんだ。
散々やってきたのなら、
同じことでがんばっても、結果って同じだったりする。
だからこそ、
そうじゃない方向でがんばってみたらいいと思うんだよ。
ほら、神様の領域のことを待ってるから。
いままでと違うこと、
自分を大切にすることで、待ってみる。
単純に、
楽しいことをしたり、
自分がしあわせなときは、
自分自身のホルモンバランスもよりよくなるから。
結果がでずに待ってるのって、
しんどいから、
原因を探したり、
もっとがんばろうとするひとが多いけど、
「あとはなにをしたらいいかわからない。」
って言うくらい、やってきたんなら、もう十分なんだよ。
違う形で取り組んでみよう。
待つ形を変えてみよう。
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