監査法人の「社風」などについて | 会計や監査の話などなど。

監査法人の「社風」などについて

 「ビジネス法務の部屋」4月13日エントリーの「会計監査人の内部統制(5-総会対策編) 」の「3 4月12日の新聞報道(みすず解体の衝撃)から」にコメントしようと思いましたが、長くなりましたので、自分のブログに書くことにしました(先に「ビジネス法務の部屋」をご参照ください)。




 取り上げられています今回の日経新聞の記事については、私も興味深く読んでいます。



 その中で出てくる「社風がちがう」という話も、みすず監査法人の会計士から先月直接聞いた話でしたので、新聞にも載ったのか、という印象を受けました。



まず、


「社風がちがう」というのは、監査法人でお仕事をされる公認会計士さんにとってはどんな意味があるのでしょうかね?社風が違いますと、個別企業への監査業務にも違いがあるんでしょうか?



についてですが、

 監査法人における社風の違いは、個々の監査法人の歴史に影響を受けていると思います。例えば、合併を繰り返した法人とそうでない法人とでは違ってくると思います。 移籍する会計士にとっては、合併を経験している監査法人の方がうまく適合できるのではないかという安心感を持つ可能性もあると思います。


 また、監査法人のスタンスとして被監査会社に対してドライな対応をとるかそうでないか(あくまでも相対的な話ですが)ということも社風といえると思います。また、そのような方針は、法人内での個々の会計士に対する評価・昇進にも影響し、監査業務にも多少の影響はあるかもしれません。



 しかし、社風が違うからといって、監査業務自体が変わることは基本的にはないと思われます。ただし、監査を受けている経理担当者が受ける会計士の印象(偉そうだったり、謙虚だったり)や、チーム編成、担当のローテーションのやり方等には影響してくると思います。そういう意味では、監査法人が変わると、かなりやり方が違うという印象を受けるかもしれません。



逆に「社風」というものが本当にあるんだったら、すでに「縦割りの弊害」はなくなっているんじゃないでしょうかね?



 社風とは、縦割りの弊害も含めたものといえるでしょう。縦割りの弊害が大きい法人と、そうでもない法人といろいろあると思われ、そのあたりは会計士が監査法人に抱く社風の要因の一つと思われます。



 ちなみに、監査法人における「縦割りの弊害」について、以前は、「法人内で他の部門に移るより他の法人に移るほうが簡単である」と言われるぐらい根深い問題で、みすず監査法人(中央青山監査法人)に限った話ではないと思われます(最近は大分変わってきたとは思いますが)。ある意味、監査法人の社風というより、監査法人内のそれぞれの部門の社風(部門風?)といったほうが正確かもしれません。



組織的監査を進めていけば、上級審査会や、審査担当部署が監査業務に占めるウエイトが大きくなるわけですよね。そういった管理部門の意見が監査業務に大きな影響を及ぼすのであれば、それこそ2年くらいのローテーションで担当監査責任者が交代してもいいのではないでしょうか?

現場の責任者がコロコロ変わったり、担当監査法人がすぐに交代することは、企業の監査報酬に跳ね返るから妥当ではない、と言われるところでありますが、そういった論理と組織的監査の推進の論理とは矛盾しないのでしょうか?



 組織的監査とは、「監査事務所としての全体的な品質管理システムに基づき,複数の監査人により監査組織(監査チーム)を編成し,チーム構成員の明確な職務権限の分担を前提として,監査チームを統括する監査責任者の指示の下に,効率的で高い品質水準の監査業務を実施することをいう。」と説明されています(監査マニュアル作成ガイド「監査アプローチ編」(中間報告)(監査委員会研究報告第10号 平成12年9月4日 日本公認会計士協会監査委員会)



 組織的監査について、それを推し進めたからといって、審査部門が監査に監査業務に占める割合がそんなに増えるとは考えられません。現場の会計士が問題としなかった項目について、審査で問題になることは少ないと思われ、やはり、現場の会計士が問題点を発見・認識し、必要に応じて審査に上げるという流れが通常と思われます。したがって、組織的監査を進めるといっても、現場での監査は重要であり、監査責任者のローテーションがあまり頻繁になされることは問題であると思われます。



 なお、実際の監査現場はインチャージ(主査又は主任=監査補助者)が指揮しており、監査責任者(社員・パートナー)はあまりおもてに出てこない場合もありますので、そういう意味では、インチャージが頻繁に変わらなければ、責任者は短い期間でローテーションしても問題ないかもしれません。



 どこまで疑問にお答えできたかわかりませんが、一会計士のコメントとして参考にしていただければと思います。