個人的に、ヒラリーを応援していたが、

オバマが大統領になってしまった。



あの頃、米国民は熱狂していた。

「Yes, we can.」と叫んでいた。



政治においては、常に国民は、期待値より、

結果が下回るので、政権発足後以降、

どんどん期待は、萎んでいく。



大統領になる以前、彼は04年の民主党党大会で

以下のような演説を行っている。



「全ての人は生まれながらにして平等であり、自由、

そして幸福を追求する権利を持つ」



という独立宣言を行った国だからこそ、

自分のような人生がありえたのだ、と述べた。



そして、「リベラルのアメリカも保守のアメリカもなく、

ただ、アメリカ合衆国、があるだけだ。



ブラックのアメリカもホワイトのアメリカも

ラティーノのアメリカもエイジアンのアメリカもなく、

ただ、アメリカ合衆国、があるだけだ。」



イラク戦争を支持した愛国者も、反対した愛国者も、

みな同じアメリカに忠誠を誓う、アメリカ人なのだ。



このような演説を行い、様々な対立が先鋭化する

アメリカ人に非常に高い評価を受けた。



彼が出馬を決意し、彼の考えている課題の

必要なものを、医療保険制度、年金制度、

大学授業料、石油依存として出した。



建国当初のフロンティア精神への回帰を呼びかけ、

グローバル資本主義には反対し、ブルーカラーの

大量失業をまねいたといった。



新自由主義経済政策の象徴である、NAFTAに反対し、

国内労働者の保護を訴えるなど、

ヒラリーよりも、リベラルな主張を行った。



もっとはっきり言えば、企業団体献金の廃止や、

ロビイストなんて、追っ払うなんて威勢のいいことを

言っていたのである。



ところが、就任してみると、実力優先といいながら、

いきなり情実人事を行い、なんとその割合が6割になった。



批判されまくったケネディでさえ、3割、ブッシュ・ジュニアも

3割なので、あまりに突出しているといえる。



ちなみに、情実人事とは、縁故や論功に基づくもので、

アメリカ人たちが、アジア人に対し、クローニーと呼ぶものだ。



クローニーキャピタリズムとアジアの資本主義を揶揄するが、

彼らは、人様のことはまったくもっていえない。



ただ、一つ擁護できるとするなら、大統領制や首相公選制などの

政治システムをとった場合、必ず、起こりうる現象なのである。



だから、首相公選制をほざくバカは、信用してはいけない。

アメリカのような国になってしまう。



威勢のいいことを言い放っていたオバマだが、

蓋を開けてみると、ロビイストは跳梁跋扈し、

ガンガン大企業から献金を受けている。



選挙資金もインターネットを通じた少額献金から、

莫大な資金を得たと信じられていた。



今でも、日本では信じている人が少なからずいるだろうが、

大嘘なのである。



平均金額は100ドル以下であると周囲のものは話したが、

ワシントン・ポストの調査により、200ドル以下は、

全体の四分の一にすぎなかった。



これは、ブッシュ・ジュニアが再選を果たしたときの

比率よりも低い数字なのである。



まだまだある。

かつてイラクのサダム・フセイン政権に武器を輸出していた、

軍需関連企業のトップと大の仲良しだ。



NAFTAのチェンジを求めていると聞いたカナダ政府は、

心配になり、オバマ・チームにたずねたところ、

「ご安心ください。あれは、アメリカの労働者向けの

ジェスチャーですから」と返事をしたという。



当たり前だが、オバマ・チームに何ができるか、

できるわけがなく、大企業中心の経済政策で、

金がふんだんに提供される始末なのである。



QE1、QE2、ともに大企業を救ったが、

新規就業者数は、ひどいものだ。



いつだったか、6万人の新規就業者数のうち、

半分がマクドナルドの採用だったこともある。



圧倒的多数に上るワーキングプアと、

何百億ももらう大企業のトップ、

それに平然としていられるのは、ある意味、見事である。



どこが、新自由主義との決別なのか、

やはり、アメリカには自浄作用はない。



それにしても、口舌の徒に優れた人物はいない、

という経験則は、見事にオバマに当てはまる。



まさしく、巧言令色少なし仁、と断言できる。