コレクション自慢に「ややっ」 | カフェバー|credo|下高井戸駅1分

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バータイム店主による日々雑感


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 カフェやバーを取り上げた雑誌をぱらぱらと読むことがある。一応、同業者であるからね。読むと、「おっ、やるな」とか「かっこつけちゃって」とか、まあいろいろと思うのだけど、どうも好きになれない話がいくつかある。ひとつがコレクションの話だ。

 

 よくあるでしょう、蔵書やレコードコレクションが豊富な店と店主の記事。それらがずらりと書架を埋める店内で、談笑する店主の写真。こうした写真を見るたびに、「ややっ、また出たな」と警戒するのである。ロクな本もレコードも持っていないし、洒落た雑誌の特集企画なんてものには見向きもされないので、これには個人的なひがみが大きく作用しているのだけれど、そればかりではないよ。

 

 あくせくやらなくても、多くの固定客をつかんでいそうな余裕と自信。商売っけを出さないくせに、きちんと趣味と経営を両立させている手腕。雑誌の写真をしげしげ眺めるたびに、へそ曲がりのジリ貧店主たるワタクシなどは、イラ立ちと敗北感がない交ぜになった気持ちを覚えるのである。

 

 そんなものをたくさん持っていたってえらくもなんともないじゃないか、と思う。うちの店のパソコンにも2万を超える音源が入っているけど、実際にBGMとして使っているのはせいぜい2000曲ぐらいだ。2万曲はきっと無駄なのだろう。だから、オープンからこの7年間に一度もかけていない曲などをちょこちょこ消してスリム化しているところだ。

 

 特定のモノを極端な数まで収集しているコレクターがたまにテレビなんかに出てくるけど、その表情にはどこかオタク的な恥じらいが見え隠れしている。例えば模型のコレクションとする。数千体の模型の前でカメラを見る主の目には「いい大人がこんなことにうつつを抜かしていて、なんだかすいません」というものを感じるのである。

 

 これが蔵書やジャズなどのレコードになるとどうだ。雑誌で見るそれには、恥じらいの色はなく、むしろ文化人的なこだわりと含蓄が顔ににじんでいるではないか。店主の口ひげや着ているシャツも味わいがあってかっこよく見えてきたぞ。読めば、喫茶店やバーとして商売の歴史は長く、街にすっかり定着。客は常連ばかりでなく、その店主の知識とセンスにつられて新しい客が扉を開けてくるという……すてきな話ですねぇ。じゃなかった、こういう話、鼻持ちならないんだよねぇ。

 

 いけないのは雑誌である。こうした特集ばかり組んでいる雑誌にひとこと言いたい(取り上げられないヒガミじゃないよ)。こうした大きな本棚のあるカフェや、アナログレコードぎっしりのバーなどを少し持ち上げ過ぎじゃないだろうか。自分の趣味など出さず、地味だけど真面目にやっている店にも目を向けるべきではないか。

 

 実際よりもよく見せるのが誌面の妙味と聞くから、こうした店の本当の顔はわれわれとたいして違わず、そんなかっこいいものではないと思いたい。実は経営はかつかつ、家族からは「そんなもの早く売るか捨てるかしてちょうだい」と毎日のように言われていたら、そっちのほうがいい話だなあ。

 


2018年2月27日
バータイム店主

 

 

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