カフェバー|credo|下高井戸駅1分

カフェバー|credo|下高井戸駅1分

バータイム店主による日々雑感

◆8月20日 

 ここで前回、この店を閉めようかと考えているという話を書いたら、お客の数人にその件について声をかけられた。「辞めちゃうのか」と。店の経営は好転していないし、台所事情も変わっていないので、悩みは続いているよ、と正直に答えた。


◆8月23日 

 食品衛生責任者の講習を受けに朝から町田駅へ。長い講習を受けた後、夕方になってようやく資格証の交付を受ける。

 

 と、さらりと書いちゃったが、実は資格を持ってなかったのである。妻が資格者なので営業許可に問題はないのだけれど、無資格の分際で、約9年間も店に立っていたと考えると、われながらまあ図々しいやつだなと思う。

 

 じゃあなぜ、資格を取ったかというと、資格者である妻が新店舗「松原GESSO」に責任の対象を移したからだ。1人の責任者が2店舗にまたがることはできないため、こちら「下高井戸credo」にも責任者の配置が急務となっていた。重い腰を上げてようやく取得したわけである。


◆8月26日

 義父が他界。


◆9月10日

 業務委託スタッフとして席を置いている古巣の会社に2週ぶりに出社。9月の辞令で、昔の同僚と後輩が出世したと聞いた。小さな会社だが、きちんと株主総会が行われ、そこで承認を受けて役員に就いたという。

 

 やつらとは20年も前から、酒場でくだを巻いたりしていた仕事仲間であるから、たとえ役員になったといっても、その付き合い方は変わらない。週に1度だけ会社にやってくる変な中年男(ぼくのことね)が新任役員になれなれしくしていると、若手社員が「なんだなんだ」となっているのが分かる。おもしろいからもう少し続けていこうと思う。


◆9月24日

 消費税率がアップするという。近所の店がどうするか、様子見してから決めようと思っていたけど、増税まであと1週間になってしまったではないか。

 

 うちみたいな小さな店はもちろん消費税の納税対象者ではないけれど、酒が売り物だと、仕入れ額の高騰が今後響いてくることになる。これをそのまま販売価格に転嫁するか、別な経費を圧縮して価格を据え置くか、このへんが悩みどころである。

 

 さてどうしたものか。いっぱしに電卓をはじいたりして、腕組みなんかしてみたけれど、もとより低空飛行のわが店である。今さら数十円値上げしたところで、焼け石に水なのであった。よおしきやがれ消費増税。
 
 ということで、10月からも店内メニューは従来価格で提供していきます。

 

 


2019年10月2日
下高井戸credo
バータイム店主

 

 転勤、結婚、出産、体調不良、あいつとは二度と会いたくない、などさまざまな理由で店にすっかり来なくなった常連客が数多くいる。ここ最近も長く付き合ってきた客たちが下高井戸を離れて行った。

 

 9年近くも店をやっていれば客の新陳代謝は世の常と人は思うかもしれないが、地元密着、一店勝負のわが店などはどうしたって近所に住むなじみの客に頼らなくてはならない。去っていった客の落ち込み分を補ってくれる新規客があればいいが、そうは思うようにいってくれず、たいへん苦しい数カ月が続いていることを隠さずに記しておきたい。

 

 わが店の分店で、現在、妻が切り盛りしている新店舗「GESSO」の開店に伴い、7月の状況によっては10月末の契約更新時期をもって店をたたむつもりでいた。

 

 その後は、ずっと続けているもう一方の昼間の仕事を増やし、ドレッシングの通販事業も強化し、あとは「GESSO」の裏方サポートに回ろうという考えだった。売り上げは減るだろうが、店関連の支出も減るから、まあ食ってはいけるだろう。そして、生活も再び昼型に戻って健康的な毎日を送れることだろう――という算段だ。

 

 そんな考えに気持ちが傾いていたころ、とんと姿を見せなくなったなつかしい客や意外な客が示し合わせたように店にやってきた。

 

 数年前からアメリカに赴任していたI夫妻が一時的に帰国し、その間、友人を連れて毎夜やってきた。同じ週にはドイツに赴任していた商社マンのY氏も近所の仲間を連れだってやってきた。それらの会合に集まった人の中では久しぶりの再会となったベテラン俳優のMさんやBさんの顔もあった。

 

 翌週は、高校の同級生だったS君が突然やってきて約30年ぶりに再会。「このブログは匿名だけど、以前に書いてあった母校が甲子園に出場したという話を読んで、これは同級生に違いないとピンときたんだ。で、来てみたらやっぱり君だったか」と言って笑っていた。

 

 マルサのIさんも約2年ぶりに来店。「実は少し前に結婚したんだよ」と言って、一緒に来た奥さんを紹介してくれた。また、前職時代から世話になり、店にも飲みにきていたKさんは、本人ではなく20歳になった息子が1人でやってきた。「父からこの店の話はよく聞いてました」などときちんと言った。彼は小学校の入学祝いに僕がプレゼントした品を覚えてくれていた。

 

 再会した人たちは、住んでいる場所や生活環境に変化はあれど、みんなあの頃と同じ仕事に打ち込んでいた。いずれも20年以上の勤務。ある人は「ただ長くいるだけだ」と自嘲気味に言ったが、しかしひとつの仕事を一途にやり続けている人との会話は、しみじみ胸を打つところがあり、会社勤めを途中で逃げ出したクチの自分にはまぶしく見えた。

 

 海外へ帰っていく客たちとは、「また次に戻ったら店で会いましょう」と約束してしまったけれど、さてどうしたものか。久しぶりに会った彼らとの気持ちのいいやり取りのおかげで、やっぱり店はいいもんだよなあ、などと思い直している。

 

 


2019年7月30日
下高井戸credoバータイム店主

 

 

◆6月25日

 

 しばらく準備をしてきた新店舗が6月26日(水)に新規開店できる運びとなった。店の名前は松原「GESSO(ジェッソ)」。当店の分店となります。

 

 世田谷線・松原駅から歩いてすぐの場所で、総菜、ドレッシング、甘い物、ドリンクなどを提供していきます。真っ赤な扉が目印のテイクアウト専門スタンドです。

 

 松原駅の皆さん、これをご縁にお見知りおきを。下高井戸のおなじみさんたち、これからもどうぞよろしく。

 

 

 

 


◆6月25日

 

 一方、いっぱしに本店を名乗ることになった下高井戸「credo」といえば、新しい店舗の営業開始に伴い、当面の間、昼の営業は休止中。現在、夜カフェと酒の店として営業している。

 

 折しも飲食店を取り巻く経営環境がますます厳しくなる中、夜の営業だけで店を続けることができるのか。競合ひしめく夜の下高井戸ではたして店は持ちこたえられるのか。3回目となる店舗契約更新料の支払いもじわじわ迫っている――。

 

 雨がしとしと降る夜、客のいない店内で、自分の手のひらをじっと見たりしている。

 

 

 

2019年6月25日
下高井戸credoバータイム店主

 

 

 

◆4月26日

 便に潜血が見つかったから、ただちに精密検査を受けなさい、いいですね、ちゃんと受けなさいよ、と健診結果で医者に念を押されてしまったので、ただちに専門医のところへ行く。

 

 数日後に、大腸内視鏡検査を行ったところ、小さなポリープが1個あることが判明。医者は「検査のついでに取っちゃいました」と軽く言った。どうも、潜血に関してはこの大腸ポリープからのものではなく、その出口付近に火元があるらしかった(何を言ってるか分かりますね)。

 

 検査した病院から帰る途中、そういえばわが胃腸は現在、まったくの空っぽの状態なんだなと思った。汚れのない胃腸なんだな、なんだかうれしいなと思った。こんなことめったにないぞと思った。

 

 すれちがう人たちの腹の中にはきっといろんなものが詰まっているのだろう。あの紳士もあの美女も。だけど、おれは空っぽで無垢な胃腸。よくわからない優越感に浸りながら、軽い足取りで家に帰ったのでした。


◆5月10日

 少し前に取材を受けた「世田谷ライフ」(エイ出版刊)の掲載誌が店に届いていた。近所にある数々のいい飲み屋の末席を汚す形で、当店も載せてもらった。見出しに「女子力高め」とあったのは、夜に甘い物も出しているのが理由のようだ。

 

 ありがたいことに、この記事を読んだのであろう女性客2人が入店。なぜ、雑誌を見たと思ったのかというと、記事で写真とともに紹介された「自家製レーズンサンド」などをすぐさま注文してくれたからである。

 

 しかし、この2人が入店した夜は「女子力」は皆無だった。カウンターにずらりと並んだのは、地元・下高井戸の出身で小学中学からの幼なじみという60代たち。うちにくる前に近場で1~2軒寄ってきたらしく、いずれも酔顔。であるからして、話し声がデカイ、笑いがデカイ、くしゃみがデカイ。おっさん力が全開なのであった。

 

 雑誌記事と実態が全然ちがうじゃないか、という好サンプルをはからずも目撃してしまったくだんの女性客は何を思ったか。これに懲りずにまた来てね。


◆5月20日

 長らくドレッシングの通販サイトを出店してきた「ヤフーショッピング」が5月22日に対象店舗を一斉に閉じるという。対象は小規模事業者や個人事業主が多い「ライト出店者」で、わが店も当然含まれている。

 

 お知らせが来てから、さてどうしたものかと考えてきた。このまま出店を続けたければ、「プロフェッショナル出店」へ移行せよとヤフーは言う。でも、プロ店は法人やネット運営に長けた人向けで、出店審査や運営仕様がややこしくて当方には手に負えない。

 

 パソコンの操作は前職のころから苦手だった。エクセルとかパワーポイント、ネットサイトの更新などはすべて後輩たちにやらせてきた。店を始めてからも、サイト作りは人に頼ってきた。こうしたツケが回ってきてしまい、今は頼れる人が見当たらない。

 

 手をこまねいていたら一斉閉店の日も迫ってきた。こうなりゃしかたない。自分でやってみるか。

 

 店のお客が教えてくれた「BASE」というサイト構築サービスを使ってみた。同社のホームページに行くと、出店費用無料、開店準備の簡便性などが売り物のようだった。

 

 作業開始は午前10時半。アカウント登録、アドレス設定、決済手段の設定、特定商取引法に基づく販売者情報登録、デザイン設定、配送料設定、文章作成、写真挿入――うまくいかないところを端折りながらも、一応は形になってきた。

 

 おれだってやる時はやるんだからな、みんななめんなよ、とパソコンの前でえばっていたら午後5時になっていた。

 

***

 

当店では、従来の通販サイトを下記の新サイトに移行します。5月24日に受注を開始する予定です。

 

クレドのドレッシング店
https://credodress.thebase.in/


2019年5月21日
バータイム店主

 

 

 

 

 

 

 

 

◆2月21日昼


 近所の三省堂書店に行ったら、直木賞受賞の『宝島』(真藤順丈著)、大沢在昌の新作『帰去来』、柚木裕子『盤上の向日葵』が並んでいたので、すべて手にしてしまう。さびしいわが財布事情につき、新刊の単行本3冊をまとめて買うのにややためらいがあったが、気合いを入れてレジに向かってしまった。今年もやっぱり2月は店がヒマである。これくらいの“夜のお供”がおれには必要なのだ。

 

 さて、どれから読もうかと考えた。真藤順丈は初めて手に取ったので気構えがいるなと思った。初期の新宿鮫のころからファンの大沢在昌はうれしい警察モノだけど、食べず嫌いのSFタッチでやや不安。トップバッターは安定したものがいいと思い、柚木裕子に決める。寒い冬の夜に、柚木裕子の佐方貞人シリーズのような男っぽい物語が読みたかったのだ――とかなんとか言って、本当のところはレジに向かう段階ですでに決めていたのだった。迷うフリをしていたのだ。こういうのをおじさんのぶりっこというのだろうな。ああやだやだ。

 

◆同日夜

 

 で、客のいないわが店のカウンターで読み始めて約20分、「あっ」と思った。「いや、そんなはずないぞ」と自分に言い聞かせ、読み進めるが、すぐさま、「うわぁ」と今度は声に出してしまった。間違いなかった。一度読んだ本であった。

 

 思えば、話の導入2ページ目で、「ん?」という最初の既視感はあった。さっき書いた「ああっ」と声を出したなんていう話は真っ赤なウソで、ただ、往生際わるく、「1900円もったいなかったな、あーあ」となどと思いながら、未練たらしく粘って読んでいただけの20分なのであった。なんともセコい話を書いてしまった。ああやだやだ。

 

◆2月26日

 

 ソラナックスがなくなってしまったので、かかりつけの医師のところへ。

 

 病院の帰りに日比谷公園の喫煙所でタバコを吸っていたら、向こうのほうに絵に描いたような古い売店があったのでぼんやりみつめる。近くに行ったら、古いけどよく整頓されているのが分かった。なかなかいい光景だったので写真を撮っておいた。

 

 

 

◆3月5日

 

 堀込泰行の公演を見に渋谷へ出かける。会場に入ると、バーカウンターのところで、わが店クレドのなじみ客であるSさんにバッタリ会う。ビール片手に、やあやあ、どもども、それじゃまたね、などと言い合う。

 

 堀込泰行はおととしから3回も見ているので、途中で飽きるかなと思ったけれど、そんなこともなく楽しかった。

 

 終演後、同じ公演を見ていた伊藤忠商事グループの広報IRマンKさんと桜丘に移動。前職時代にKさんとよく行った居酒屋で酒を飲んだ。Kさんはライブ後半でやった『最低速度を守れ』にいたく喜んでいた。店を出て駅に向かう道すがら、少し酔ったKさんの鼻歌からこの曲のメロディーが聞こえた。

 

 

2019年3月12日
バータイム店主