2024/1/20 13:00 東京芸術劇場シアターイースト

 

休憩無し約2時間のストレートプレイと聞いたときは、日帰りで早起きして行くし、途中で寝てしまうんじゃないかと思いました。

が、杞憂でした。

体感30分くらいのお芝居で、作・演出の鈴木アツトさんの才能に感心しました。

末満健一さんと同じく、物語を創る能力のある人です。

 

グラゴニア共和国という架空の国の架空の言語。

その翻訳者が壮一帆さん演じる鴨橋真由。言葉にのめり込み翻訳という仕事に生きています。

台詞量が半端なく、何故か関西弁の台詞も。

グラゴニア語と日本語の辞書の出版が決まったところで、グラゴニア共和国が隣国を侵攻、出版は中止に。

担当編集者が土居裕子さん演じる重山朝子。定年前の最後の仕事として鴨橋先生と出会い、携わるうちにグラゴニア共和国そのものにも魅せられてしまいます。

翻訳者や編集者を取り巻く人々。どの人もそれぞれの立場で懸命に生きています。

小さい出版社で、受験用図書が屋台骨を支えています。

でも、1冊くらいはつくりたい本を出したい編集者と、経営を優先したい社長や営業社員。

ノーベル文学賞候補のグラゴニア共和国の作家カレーラ・ヨゼヨゼに岡千絵さん。

カレーラの書く物語の中には、砂漠に生きて薔薇を孕む女が出てきます。擬人化された砂の薔薇のダンスも。

最初のほうで、舞台3方に置かれた本棚が同時に傾き、どーっと本が落ちてきたのには驚きました。

他国への侵攻に対する本達の抗議なのでしょうか。

この大竹しのぶさんからの薔薇が、とっても良い香り。