既知の不実か未知の不安か | クリエイジ コラム ◆ 一週一冊良い本を読もう ◆

既知の不実か未知の不安か

 政治空白どこ吹く風のネタばれ自民党総裁選空騒ぎが済んでようやく政権分水嶺の衆議院解散総選挙が幕を開ける。政権担当能力の既知と未知のどちらを選ぶかで国民の死活が占われる。社会に度し難いほど欺瞞や歪みを蔓延らせた長期政権は臆面もなく自己過大評価を繰り返しながら、対抗勢力の主張を“根拠なき”政策と非難するが、対案も含めて根拠を吟味検証するのは政権与党の義務である。
 政権選択に際して政策の対立軸・旗幟を明確にしなければならない。逼迫する財源を最優先政策課題に傾斜配分するには既得権益や利権を支える制度改革を避けて通れない。例えば、民主党がマニュフェストに掲げる高速道路無料化の方法論と波及効果については山崎養世『道路問題を解く』(ダイヤモンド社)という格好の指南書があり、道路公団民営化のまやかし呪縛がもたらす巨大なムダづかいと宝の持ち腐れからの解放策が明示されている。与党にとっては政権の座に狎れ国民を侮り過ぎたあげくの果ての審判を迎える。国民にとっても冷静な批判精神が試される選挙の季節をおろそかにはできない。政権交代の現実性こそ健全な民意の証なのだ。

(推薦書籍)
道路問題を解く-ガソリン税、道路財源、高速道路の答え
政権交代-この国を変える
闘う政治-手綱を握って馬に乗れ
小沢主義-志を持て、日本人
とてつもない日本 新潮新書 217
堂々たる政治 新潮新書 257
女子の本懐-市ヶ谷の55日 文春新書 602
小沢一郎政権奪取論 90年代の証言
改革の虚像-裏切りの道路公団民営化 新潮文庫 さ 41-6