偉大な催眠療法家、ミルトン・エリクソン。
そのミルトン・エリクソンの使う催眠言語。
再現性をもって誰にでも使えるようにしたのがNLPの「ミルトン・モデル」
もっとも知るのと、体得するとでは雲泥の差があり、言うまでもなく簡単ではないですが。。。
こちらの書籍を読んでいたら、ミルトンモデルの記事を読んでもらいたくなりました。
この「催眠ガール」は面白くて、催眠療法の可能性を感じさせる一冊です。
主人公が催眠スクリプトを使い身の回りの人たちに変化を与えていきます。
やっぱりメタファーとかって意識の門番潜り抜けて無意識に届くからパワーあると思う。
NLPの書籍では、こちらがお勧め。
ちょっと、、難しいけど深いところまで書いてあります。
そして、もうこれは必須書籍。
ゆっくりと回数をかけて読まれることをお勧めします。
下記ブログ記事は、2012年9月に書いたものの再掲載です。
もう随分たったなぁ。
ミルトン・モデルについてまとめたもので、導入としては良く仕上がっていると思います。
なにかのきっかけになれば幸いです。
【ミルトン・モデル】
NLPの言語パターン、「ミルトン・モデル」をみていきましょう。
このミルトン・モデルという言語パターンは、
催眠療法家のミルトン・エリクソンが使っている言語パターンをモデリングしたところから生まれています。
そして、このミルトン・エリクソンはラポールの達人でもありました。
ですので、ミルトン・モデルを使う上で、どれだけ相手とのラポールがしっかりと構築されているかが大切になります。
ミルトン・モデルで使う言語は、相手の意識の壁を乗り越えて、無意識に届かせる必要があります。
ラポールが取れていないと、意識の壁にぶつかって、相手の無意識には届きません。
ミルトン・モデルを使う場合は、まずはラポールを構築して下さい。
さて、ミルトン・モデルは、メタモデルの反対側に存在する言語パターンです。
敢えて曖昧さを創って、相手の内的世界で、その曖昧さを埋めさせます。
ミルトン・モデルを説明する際によく出されるビールの広告の文句があります。
「あなたは、なぜそのビールを飲んでいるのだろう。天然水のおいしいビール、とか言われると、うまそうに感じるのは気のせいか・・・」
さて、いかがでしょうか?
上の例文を読んでみて、あなたの無意識には、何が刷り込まれるでしょうか?
次に、こちらはどうでしょうか?
「このビールを飲んでみてください。天然水のビールなのでおいしいです。」
もう少し直接的に例文を変形してみました。
どちらの文が、受け入れやすいでしょうか?
後の例文の方は、命令や決めつけられているようで、ちょっと抵抗してしまいそうですね。
ビールの広告なので、そのビールを買って飲んでほしいわけです。
しかし、直接的に、「このビールを買え」、「このビールを飲め」、「天然水を使っているから旨いぞ」とか言われると、意識としては嫌がります。
そこで、最初の例文なわけです。
「あなたは、なぜそのビールを飲んでいるのだろう?天然水のおいしいビール、とか言われると、うまそうに感じるのは気のせいか・・・?」
クエスチョンマークをつけてみました。
この文、文句は、あなたに問いかけています。その時、あなたの頭の中、内的世界では、何がおきているんでしょうか?
まずは、「あなたは、なぜそのビールを飲んでいるのだろう?」です。
これは疑問文で、あなたたに問いかけています。
あなたは、きっとこの文の『なぜ』に焦点が当たっていたと思います。
そして、ビールを飲んでいる様子を無意識に頭の中でイメージしてしまいます。
つまり、この疑問文に答えるためには、「ビールを飲む」を前提としなければならないのです。
「ビールを飲む、飲まない」ではなく、「なぜ、ビールを飲んでいるのか?」を考えるということですね。
もし上記の例文を見て、読んで、「なぜだろう?」と思った方は、まんまとこの文の策略にはまってしまっていたと言うことです。
もう一つのポイントは、「うまそうに感じるのは気のせいか?」です。
この文にもある前提がありますね。
お気づきのように、「うまい」ですね。
この文で焦点が当たるのは、「気のせいか」、「気のせいじゃないか」です。
「うまい」、「うまくない」の選択はなく、「うまい」だけですね。
「うまいと感じる」のは、前提として意識を通過して、無意識に届きます。
さらに、もうこの時点では、「天然水のおいしいビール」は前提の前提として、意識は何の抵抗もなく受け入れてしまっています。
こうして、意識の門番をなんなくすり抜けた言葉達は、あなたの無意識のプログラムを動かしていきます。
この言葉と共にながれるビールの銘柄の映像を見たあなたは、スーパーやコンビになどでそれを見ると、買ってしまうわけです。
世の中には、気づかないだけで、このような暗示文があふれています。
NLPのミルトン・モデルは、クライアントの無意識レベルの変化をおこすのに使うことが可能です。
人は、体験を言語化する際に、情報の『省略(削除)、歪曲、一般化』を引き起こします。
そんな『省略(削除)、歪曲、一般化』された「欠けた情報」を「本来の情報」に取り戻す言語パターンがメタモデルです。
そんなメタモデルの反対に位置するのが、逆メタモデルであるミルトン・モデルです。
つまり、『省略(削除)、歪曲、一般化』を敢えて作ることにより、曖昧さをだす言語パターンです。
では、曖昧な言語パターンを使った場合、聞き手やクライアントには、どんなことが起きているのでしょう。
それは、聞き手には「空白」が創られています。
曖昧な部分は、聞き手の「空白」となって、自身の体験や経験からその「空白」を埋める為の情報を補うことが要求されているのです。
人の無意識は、「わからいないもの」を嫌います。「空白」が与えられると無意識は、埋めずにはいられられなくなるのです。
例えば、次の文章はどうでしょう。あなたが、なんらかの問題に突き当たっているとします。
「あなたは、あなたなりの方法で、いつも危機を乗り越えてきました。
そして、今回の問題も、そのあなたなりの方法が有効かも知れませんよ。
気づいていないかもしれないだけで、既に良い結果に向かっていているようにも感じます。」
メタモデルでいうところの「名詞化」を入れてあります。
「方法」、「危機」、「有効」、「結果」など、ミルトン・モデルでは、敢えて曖昧な言葉を使うことによって、聞き手に空白を創ります。
そして聞き手は、それを自分の無意識領域に格納されている情報を使って、解釈をして「空白」を埋めていきます。
ここでのポイントは、言葉に意味づけを与えるのは「聞き手自身」と言うところです。
聞き手の内的世界から出てきた答えなので、その言葉への抵抗感はありませんね。
直接的な言葉の場合、聞き手へアドバイスしたつもりでも、聞き手の内的世界と反するような場合だと、強い抵抗にあってしまいます。
そこで、今回のように名詞化などを使って、敢えて情報を省略することにより、抵抗なく役立つ指示を与えることができるのかも知れません。
では、具体的にミルトン・モデルの例をみていきましょう。
まずはミルトン・モデルを使って、「原因と結果」をつなげてみましょう。
物理や化学では、ある特定の原因により、特定の結果を生み出します。
しかし、ミルトン・モデルを使った言語パターンの場合は、物理的、化学的な反応とは違いますね。
実際に「起こっていること」と「起こって欲しいこと」を繋げることにより因果関係を創っていきます。
ただ単に繋げるのではなく、それにはコツがありますので、それをお伝えしていきましょう。
繋げ方により、大きく分けて三つの結合があります。
まず一つ目、「そして」等があります。
これは、無関係な現象を繋ぐ為に用いるものです。
例)
「あなたは、このブログを読んでいる。そして、あなはリラックスしていきます。」
二番目に、「~している時」「~している間」、「~していると」等があります。
これは、時間の流れを作ることによって、現象を繋げていきます。
例)
「あなたが笑顔でブログを読んでいると、あなたはリラックスしていきます。」
三番目は、実際に因果関係を使って繋げていきます。
ここでは、文の終わりの言葉に「させる」、「引き起こす」等を使ってみましょう。
例)
「ブログを読み終えた後、目を思いっきりつむって下さい。するとあなたをリラックスさせていきます。」
今回の言語パターンは、客観的な事実を積み重ねて、「起こって欲しいこと」に繋げていくのがポイントです。
客観的事実とは、「何を見ているのか」、「何を聴いているのか」、「何を感じているのか」です。
Yesセットに似ていますね。相手の心の中で、「はい」「はい」「はい」と言わせていく感じです。
ここを外してしまうと、「起こって欲しいこと」に繋げることができません。
気づいていること、気づいていないことに関わらず、相手が強く臨場感を感じている事実に沿って繰り返します。
そして、トランス状態に入れて最後に「起こって欲しいこと」に繋げていくのがいいのかも知れませんね。
次は、ミルトン・モデルで前提をビシバシ入れてみましょう。
「太郎君は、学校に行った」
この文の前提はなんでしょう?
では、この文を否定してみましょうか。
「太郎君は、学校に行かなかった」
肯定しても、否定しても変わらないものは「太郎君」と「学校」という存在です。
この文の前提としては、「太郎君」と「学校」です。
このように前提の一番シンプルなものは「存在」です。
疑いようのない前提は、もっとも強力に働く言語パターンになります。
「言語の背景化」です。
では、前提の言語パターンは、数多くありますので順番にみていきましょう。
まずは、「時間の従属節」と「序数」です。
「~の前に」、「~の後に」、「~している間」、「~しながら」、「~以来」、「~の時」などの言語パターンは「時間の従属節」に含まれます。
そして、「最初に」、「先に」、「はじめに」、「一番」、「二番目に」などの言語パターンは「序数」に含まれます。
時間が絡んでいれば「時間の従属節」、順番が絡んでいれば「序数」です。
「ブログを読む前に、深呼吸をしてみてはいかがですか?」
「ブログを読んでいる間は、座っていたいですか?」
共に、「時間の従属節」が入っています。
そして、「深呼吸をするかどうか」という質問に答えるには、「ブログを読む」が前提になります。
同じく、「座っているか、座っていないか」という質問に答えるにも、「ブログを読む」が前提になります。
「まず最初にブログの、どの記事から読みましょうか?」
「このブログで、一番好きな記事って何?」
こちらは共に「序数」が入っていますね。
「他の記事も読む」という前提、「好きな記事」があるという前提です。
お気づきの方もいるかも知れませんが、このような言語パターンをみていると、NLPのプリフレームにも通じるものがありますね。
プリフレームとは、「前もって枠をかける」ことです。
質問や文を受け入れるには、前もってかけられた枠の中に入らなければならない。
しかし、当事者は枠の存在を知らない。
考え方によっては恐ろしいですね。
「相手の望ましい変化」
それが、ミルトン・モデルを使う上での前提なのかも知れません。
続きまして、ミルトン・モデルの前提より「気づきの叙述」、「副詞と形容詞」をみていきましょう。
まずは、「気づきの叙述」です。
「知る」、「気づく」、「意識する」、「わかる」などを使います。
「あなたは、ブログによって、変化がおき始めていることに気づいていますか?」
「意識していないかも知れないけど、随分、変化していますよ」
共に、「変化している」ことが前提です。
素敵な人に、更に素敵になってもらう声かけにも使えます。
「既に充分、女らしいって、知ってた?」
「かなり透明感が際立つ肌だって、意識したことある?」
「気づいているかわからないけど、ますますキレイになってきたね」
直接的にいうと、相手も謙遜したり、何か裏でもあるか、と勘ぐってしまいますが、こんなふうに言われると、何となく潜在意識は、気持ちよくなってくるわけです。
ただし、使うときは、あくまでも自然に、です。
リラックスして、さりげなく言うのがポイントですね。
次に「副詞と形容詞」をみていきましょう。
「あなたは、彼女をどれだけ深く愛していたのですか?」
「あなたは、簡単に変化できましたか?」
最初の文は、「深く」に焦点をもっていき、「愛していた」を前提としています。
次の文は、「簡単に」に焦点をもっていき、「変化できた」を前提としています。
副詞や形容詞の部分に質問の焦点をもっていきます。
そして、それに答える為には、上記のように、ある状態を前提として受け入れなければならいのです。
この「副詞と形容詞」も、使いこなせるとかなり強力なことにお気づきでしょう。
更に、「幸運にも」、「無邪気に」、「運良く」、「必然的に」などを文頭につけることによって、後の文が前提とすることもできます。
「幸運にも、あなたは、このブログに出会うことができ、変化の兆しを体験しましたね。」
「幸運にも」の後は、全て前提となりますね。
こんなふうに様々な言語パターンを学んでいくのも面白いと思いませんか?
さて次のミルトン・モデルは、「埋め込まれた命令」と「埋め込まれた質問」をみていきましょう。
人はコントロールされることを嫌いますね。
だから、直接的に指示を出されると、意識としては抵抗してしまいます。
そこで、ミルトン・モデルを使って、そんな意識の抵抗を回避していきます。
まずは、「埋め込まれた命令」です。
「もう少し後ろに下がることできますか?」
これは「後ろに下がってください」という命令が挿入されています。
直接的に命令されるよりも、命令が与えられたということを意識しなくてすむでしょう。
「もう少し多めに、お酒いただくことってできますか?」
これは「お酒を下さい」という命令が挿入されています。
例文の方が、何となくソフトに伝わることを感じていただけたでしょう。
次は「埋め込まれた質問」です。
「あなたが、食べ物で何が一番好きか、知りたいと思うんだぁ。」
これは「あなたは、食べ物で何が一番好きですか?」という質問が挿入されています。
例文のように、話者の好奇心による言葉に埋め込まれていることにより、質問に答えやすくなっています。
埋め込まれた命令も質問も、気づかないだけで使っていることもあると思います。
例えば、直接的に「メルアドを教えて下さい」なんて言うよりも、
命令挿入で「メルアドって、教えてもらうことできますか?」とか、質問挿入で「メルアドを知りたいと思っているんだぁ」と言う事ってありませんか?
相手に寄り添う気持ちがあると、意外にも自然と口にする言語パターンなのかも知れませんね。
引き続きミルトン・モデルの間接的パターンをみてきましょう。
「ピンクの象のことを考えないで下さい。」
もう一度言います。
「ピンクの象のことを絶対に考えないで下さい。」
しっかり「ピンクの象」を思い浮かべましたね。
これは脳の特徴のひとつ。一度、ピンクの象のことを考えてからでないと、文を理解できないのです。
それを活用したのが、ミルトン・モデルの「否定的命令」です。
言語パターンはとてもシンプルです。
起こって欲しいと思うことに、「~しないで下さい」と言葉を加えるだけです。
「私は、あなたがそんなにリラックスして欲しいとは思っていません。」
相手は、リラックスしていることを想像しますね。
「リラックスして下さい」と言う命令を逆にとって、相手にリラックスしてもらいます。
面白い言語パターンですね。
次は「会話的仮定」という言語パターンです。
「今、何時かわかりますか?」
これに対する答えは、「はい」、「いいえ」です。いわゆる「イエス/ノー」クエスチョンです。
しかし、実際にはこの質問に対する答えは、時間がわかれば具体的に「何時何分」と教えてくれるわけです。
もう一ついきましょうか。
あなたはコンビニを探しています。通りすがりの人に、コンビニの場所を尋ねます。
「このあたりにコンビニってありますか?」
これに対する答えも、「はい」、「いいえ」なのですが、場所を知っていれば、具体的に「何処何処にあるよ」って教えくれると思います。
「はい、あります」といって、通り過ぎていく人はあまりいませんね。
これが「会話的仮定」です。
例えば、「窓を閉めて下さい」と言うかわりに、「窓を閉めることができますか?」と聞くこともできます。
お気づきのように、これは「埋め込まれた命令」でもあります。
NLPが開発されたのはアメリカですので、英語による文法、単語が基本になります。
日本語はもう少し複雑ですので、コンテキストによっては様々な言語パターンが絡んできますね。
最後の例になります。ミルトン・モデルにも一部属すメタファーです。
広義的には比喩の一種です。
例えば、
「彼の肉体は、ハガネのようだ」
これが「直喩」と呼ばれるものです。
比喩というとこんな言語パターンを思い浮かべる方もみえるでしょう。
「~のようだ」ですね。
一方、
「彼女は、ハガネの女だ」
こちらは、「暗喩」と呼ばれ、これがメタファーという言語パターンになります。
さて、この例文を読み比べて、何が違うと思われますか?
あなたの中に生まれた空白は、どちらの例文の方が大きいですか?
多くの方が、後の方が「空白」が大きいのではないでしょうか。
「彼の肉体は、ハガネのようだ」は、なんとなくすぐに想像できますね。何を言おうとしているかは。。。
一方、「彼女は、ハガネの女だ」は、「ハガネの女?」とッ、「どんな女だ?」と空白は大きいでしょう。
そして、その空白をあなた自身が埋めるというのがポイントです。
一般的に私たちの潜在意識は「わからない」ことを嫌います。
「わからない」とは、心の中の「空白」のコトです。
「あなたの名前は何ですか?」
これはすぐに答えられますね。
「バナナとリンゴ、どちらが好きですか?」
ちょっと考えたかも知れませんが、これもすぐに答えられましたね。
「あなたが3番目に尊敬する人は誰ですか?」
これは、大分考えたかもしれませんね。
このように質問されることによって、私たちは「空白」を埋めようと答えを探します。
意識の領域からはもちろんですが、「空白」が大きいほど無意識領域から答えを探し始めます。
メタファーは、人の無意識領域に眠るリソース(資源)を発見するのに役立つ言語パターンです。
例えば、
「あなたは、どんな人ですか?」と直接的に質問するよりも、「あなたを花にたとえるなら、どんな花ですか?」とメタファーを交えて質問してみます。
直接的な質問に対しては、意識で答えようとします。
しかし、メタファーを使う質問では、意識の門番を掻い潜って、無意識から答えをみつけようとします。
そして、その答えは、もちろん私が導き出そうとしたものではなく、あなた自身も想像できなかった答えが導き出されることもあります。
そう、あなたを超えたあなたが、その答えを導いていることに気づき始めるかも知れませんね。