『プライベート・ライアン』('98)170分 米
「戦争はスポーツじゃない。爽快でも興味深いものでもない。泥々の殺し合いだ。」(スピルバーグ)
ノルマンディー上陸作戦を描いた冒頭30分の死闘は、一言も「戦争反対」という言葉が出て来なくても、本能で“こんな愚かなことやっちゃいけない”と理解させる、キョーレツなものだった。生死を分けるのは“勇気”でも“自制”でもなく、「運」だけだ。誰もがはらわたを出して息絶える可能性がある。
両手をあげて降伏したドイツ兵を問答無用で撃ち殺している米兵を観たのは、この作品が初めて。それまでの戦争映画に登場する米兵は、ヒーローだから捕虜の虐殺はしなかった。その意味でもスピルバーグはリアルに戦争を描いている。
※アカデミー賞(1999)監督賞、撮影賞、音響効果賞、音響賞、編集賞/NY批評家協会賞(1998)作品賞
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