サムシングプラス

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   あるショップでとても気にいったシャツを見つけてレジに向かったのでした。
    広い店内の片隅のレジにはスタッフの女の人がひとり居て、速やかにお会計をしてくれた後、僕の買ったその綺麗なグリーンの麻のシャツを丁寧に両手で畳み始めるのをふと何気なく見た時に、初めて気づいたのです。
今風のファッションに身を包んだ、まだ若い、明るい笑顔のその女性は右手にハンディがあって右の指はほとんど動かないのでした。
彼女は指の開かない右手と、普通に動くほうの左手を駆使して、シャツを畳んでくれ、そのシャツをカウンターテーブルの上でビニールのショップ袋に、やはり不自由な手を一生懸命使って入れてくれて手渡してくれました。
あ、自分は今とても綺麗で良いものを見ているなあ、と感じて、さり気なく、でも彼女がそうしてシャツを畳んで袋に入れてくれる様子の一部始終をいつのまにか僕は静かにじっと見つめてしまっていたのでした。

   彼女が洋服の販売の仕事を選んでそこに居ること、例え他の人と違っても自分のからだを最大限に使って、店内の明るい照明の下で彼女らしく仕事をしている姿は、ふいに誰かが見せてくれた宝物みたいでした。

   僕が気にいって買ったそのシャツは彼女が畳んでくれたおかげで、何かとても良いものをプラスしてもらえたような気がします。

   やっぱり、商品に付加価値を与えられるのは他でもない店員なんだっていうことを、改めて確認できたひと時だったのです。