こんなブログにもすでに10人くらいのアクセスがあったのがびっくりです。そのうち9人は自分かも知れません。



さて、今回は「トランペットとはどんな楽器か」ということを書いてみようかと思います。といっても自分はクラシック専門なので、オーケストラの話がほとんどとなるでしょうけどね。トランペットという楽器はクラシックだけでなくジャズやフュージョン、はたまたロックやポップスなどでも良く使われる楽器ですが、同じ楽器でもジャンルによって役割(音質や音域など)がまったく違うので、クラシックでトランペットやってる人がジャズも出来るかというと、その逆も含めてけっしてそういうわけではないのです。もちろん両方のジャンルを高いレベルでこなしてしまう一流の演奏家もいますけどね。



 で、そのクラシック(オーケストラ)におけるトランペットがどんな楽器かと言いますと、ぶっちゃけた話「一番コストパフォーマンスの高い楽器」と言えると思います。ご存じの通り楽器というのは全般的に高いものでして、弦楽器(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスなど)はアマチュアクラスでも200万円を超える楽器を持っている人もザラにいますし、木管楽器(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットなど)も100万円超が当たり前です。しかも弦楽器は楽器本体のほかに弓(これも十数万~数十万が普通)が必要で、定期的に毛を張り替える必要があります。木管楽器もフルート以外は「リード」と呼ばれる音を出すための部品(多くは葦が原材料)が必要で、クラリネットの場合だと箱単位で売られており、10枚入りのものでだいたい2,500円~3,500円くらいなのですが、その10枚のうち「1枚が使い物になれば(自分に合えば)いいほう」なんだそうです。オーボエやファゴットの場合は箱ではなく「1本」で3,000円~4,000円です。なのでオーボエやファゴット奏者は自分でリードを作る人がほとんどです。そうやって自分に合うリードが見つかっても、使っているうちに割れたりヘタって来て、使い物にならなくなってしまうそうです。そして木製だけあって環境の変化に弱くすぐに割れたりしますので、練習終了後は丁寧に水分を取ったり普段からちゃんとメンテナンスしてあげなければいけません。今では木管楽器と名がついていても多くのフルートが金属製であるフルートだけは割れる心配はほぼないものの、金属製のぶんだけ全体的に価格が高いものが多いです。アマチュアでも50万~100万くらいのものを使ってる人が多いです。そしてフルートも含めた木管楽器はキーの機構が複雑なので、こちらも定期的にメンテナンスに出して調整しないと、ちゃんと音が出なくなってしまったりします。

 その点、金管楽器はその手の苦労はほとんどありません。割れませんし、音を出すのもリードではなく「マウスピース」と呼ばれる歌口を使いまして、これも金属製なんですが、だいたい自分に合ったものが1本あれば事足りますし、その1本も何年にもわたって使えます。ま、割れなくてもぶつけたらへこむんですけどね。へこむと修理に出さない限り直らなくて、場所によってはけっこう修理代が高いので、気持ちもへこみますが。そんな金管楽器の中でも、最も価格が安く、小さく軽く持ち運びも便利、そしてこれが一番重要なんですが、「とても目立つ」のがトランペットという楽器なのです。

 同じ金管族でも、ホルンあたりは50万~150万円が相場です。トロンボーンは30万~60万と言ったところでしょうか。チューバも50万円前後あたりだと思いますが、でかくて持ち運びが大変ですし、チューバを使う曲はあまり多くないので稼働率が悪いです。その点、トランペットはほとんどのアマチュアが高くても20万円~30万くらいの楽器を使ってると思います。プロでも使ってる楽器はあんまり変わらないはず。マウスピースも小さいぶんだけ安く、5,000円くらいからあります。高いものでも1万円くらい。そしてメンテナンスもほぼ必要ありません。まぁ内部洗浄はしないといけないですけど、風呂の残り湯に沈めて台所用洗剤使ってブラシを通すというアバウトな方法で充分だったりします。そしてひとたびトランペットが咆哮すると、数百万のヴァイオリン軍団に負けない音量を出せるのです。



 そんなお手軽で目立てるのがトランペットなので、やってる人間もけっこうアバウトで目立ちたがり屋が多いのですが、ことクラシックの場合はメリットばかりでもないのが実情。次回はそんな話をしようと思います。