前回の

「ACの12ステップ」についての初回では、

アルコール依存症などのアディクションを

抱える親に育てられたアダルトチルドレンの

治療法として、

1980年代からのアメリカにおいては、

国立のアルコール依存症の治療施設でも、

この12ステップが導入されたというお話しをいたしました。

 

また、この12ステップは、

日本とは文化が全く違い、

 

1980年代の当時のアメリカには、

毎週のようにして

キリスト教会に集う人達が

アメリカの全人口の

約4割を占めていました。

 

したがって、

当時のアメリカ国民にとっては

 

教会の中で癒しを経験する時の、

その癒されて行く際のステップが、

 

アディクションや依存症の癒しにも

応用されていたので、

当時のアメリカ人にとっては

理解しやすい内容となっていました。

 

このキリスト教信仰においての、

癒しに向かう時の段階的なやり方が、

12ステップのベースになっているお話も、

前回の初解説でご紹介しました。

 

今回は、前回の初回において、

ステップ1からステップ4まで

解説させていただいた、その続きで、

ステップ5について解説いたします。

 

ステップ5:

 「神に対し、自分自身に対し、もうひとりの人間に対し、

自分の誤りの正確な本質を認めた。」

 

解説:

ステップ5の言葉に登場する、

最初の「神」という言葉は、

キリスト教においては、

旧約聖書の時代から新約聖書の時代を経て

現在に至るまでの、

イスラエル地方の地中海沿岸地方に始まり、

世界中の人々を導いて来た、

全世界を包括している神のことを

指しています。

 

次いで登場する言葉の、「自分自身」とは、

文字通りに、私達個人個人のことを指しています。

 

3番目に登場してくる、

「もうひとりの人間」という言葉は、

日本語の言語体系での理解が難しいのですが、

「人間の姿でこの世に現れたキリスト」のことを指します。

 

日本では、

キリスト教徒のクリスチャン人口が、

カトリックとプロテスタントの両方を合わせても、

長い年月に渡って、

人口の1%未満と極めてわずかです。

また、

宗教的であることが好ましくないと考える

社会的風潮も強いので、

三位一体の神の意味も正確に理解される機会がないために、

このような誤訳になってしまっている場合が多いようです。

 

アメリカで12ステップが

活用される時にベースとなっている

キリスト教信仰においては、

私達が救われて、癒されて行く時には、

キリストが、全能の神と私達とを

しっかりと結び付けてくれる、

仲介者としての架け橋になってくれるものだ、

という解釈をするのが、

キリスト教の

正統的なプロテスタント諸派における

クリスチャンにとっての信仰的な教理です。

 

自分の本質を理解する時にも、

仲介者のキリストを通して

神を意識することによって視野が開けて来ます。

 

次の

4番目に登場して来る言葉の、

「自分の誤りの正確な本質」というのは、

 

キリスト教においては、

「原罪」と呼ばれる罪的な性質のことで、

どんな人であっても、生まれつき持っている、

罪的な性質のことです。

 

つまり、これらの言葉が、

癒しに向かう12ステップで

用いられる時の重要なポイントとして、

私達は、

今自分が抱え込んでしまっている

悩みや問題について、

親のせいだ、とか、

誰かのせいでこうなってしまったと、

つい思いがちなものです。

 

しかし、実は、

「原罪」という、

どんな人であっても生まれつき持っている、

罪的な性質の作用によって、

今現在の悩みや問題を抱える事態になってしまっているのだ、

という認識が、

「自分の誤りの正確な本質の理解」

という表現の意味です。

このことに気づいて認めることが、

このステップ5の内容です。

 

 

どんな人でも、

同じ人間である限り、

同じような

心の弱さや性質を

誰もが、

生まれながらにして

持っているものである、

 

という、

人として生きて行く上での、

とても大切な認識を、

きっちり持ちましょう、

 

ということですね。

 

 

日本では未だに

宗教と科学や学問とは

お互いに相入れないもの

という認識が強いですが、

 

欧米人にとっての

神概念からすると、

かつて、

惑星の楕円軌道を発見したケプラーや

万有引力を発見したニュートンなども

熱心なキリスト教徒であったように、

キリスト教信仰の世界と科学とは、

必ずしも

相入れないものではないのです。

 

世界全体には、

20億人以上のクリスチャンが、

世界各地にいますので、

科学者も沢山います。

 

世界中の全ての人や空間を包括する、

欧米人の限りなく広大な

信仰的な神概念を前提にして、

この12ステップのお話は進んで行きます。