現在、食道がんで手術を行う場合、DCF3剤での抗がん剤治療を行った後に手術を行うのが標準治療となっている。手術の後で切除した食道を調べてみると、大体2割前後の人は完全奏効(pCR)となっている。つまり、手術して調べてみたらがんが無かった、抗がん剤治療が良く効いて既にがんが消えていたということである。

 

手術後に、例えばpT2N0M0でした等と病理検査の結果を詳しく教えてくれる場合もあるが、完全奏効(pCR)だった場合には医師は恐らく何も言わないので患者がそのことを知ることはない。もし、手術して調べてみたらがんが無かったと患者が知ったら、当然、何故手術を行ったのかという話になる。

 

これはあくまで結果論。手術して調べてみたからこそ分かる話であって、手術前にがんが消えているのか残っているのかを正確に判定するのは難しい、という事情があるらしい。「ああ、それなら仕方が無い」と納得する患者は少ないだろうから、医師は何も言わない。

 

 

私が放射線治療を受けてがんが残っている/いない、手術する/しないで悩んだ時(↑)と状況が似ているが少し違う。放射線治療後の救済手術は予め計画されてはいなかったので、放射線治療が著効、凄く効いていると聞いた時にその後の治療を考える機会があったが、手術前の抗がん剤治療が凄く効いていると聞いてもその後の手術が本当に必要かどうか等と考える人は恐らくいない。

 

術前化学療法でがんが完全に消失したかどうかを正確に判定することは難しくても、著効したかどうかなら判定できそうだ。そこで手術から放射線治療にコンバートすれば前にブログでも書いたようにケモセレクションと同じことになるが、その他の方法、例えば抗がん剤治療を更に続けるとか、思い切って無治療経過観察にするとかはあり得ない選択なのだろうか? 

 

そもそも侵襲が大きく後遺症が残る食道がん手術をそんなに急ぐ必要はあるのだろうか? 遠隔転移を心配するなら、もう既に見えない大きさのがん細胞がどこかに飛んでいて手術や放射線治療では対応出来ない可能性もある。局所再発(増悪)したなら、その時に手術を行う、ということではもう遅いのだろうか?

 

欧米先進国で標準となっている術前化学放射線療法だとpCR率が40%位にもなるが、それでも手術を行なっていることなども考えると、がんが消えている可能性もあるので少し様子を見ようなどというのは危険な考えで、少しでもがんが残っている可能性があるなら迷わず手術に踏み切るべきという考えの方が王道なのだろう。

 

過小診断で手遅れになるのも嫌だし、過剰手術で痛い思いや後遺症で苦しむの嫌だ。

 

 

Bardが描いた豊洲千客万来、何だ昔からあったんだ

“Hey Bard, could you generate the image of

Toyosu Senkyakubanrai in Japanese anime style.“