食道がんステージⅣaで抗がん剤と放射線の治療を受けた。

食道がんで放射線治療を受けるのは20%程度らしく、少数派だ。

治療終了後21ヶ月経過した時点での私の放射線治療の副作用(障害)についてまとめてみた。

これから放射線治療を受ける人、現在治療中の人の参考になれば幸いである。

 

□疲労感、倦怠感、食欲不振、体重減少、体力低下

これらの症状は癌の治療を受けた人は、どのような治療であってもほぼ全員経験する事のようだ。化学放射線療法では、抗がん剤の副作用と放射線治療の副作用(急性期障害)が重なるので、一層キツくなると言う。

私の場合、治療開始1~2週の頃が1番辛かった。30日間の放射線治療が終了する第7週目あたりからはどんどん回復して行った。

 

□骨髄抑制

抗がん剤2クール目、放射線治療開始から5週目に白血球の値がグレード3の副作用に該当する2000を切った。放射線治療は途中で一旦休止すると治療効果が大幅に減るので心配したが、幸い1500以下になる事はなく、抗がん剤も放射線も治療続行することができた。

白血球減少による自覚症状は特に無かったが、感染症が怖いので刺身や生野菜は控えるようにした。

 

□食道炎

食道がん放射線治療ではほぼ100%発生すると言う。私の場合、治療開始10日後位から喉仏の少し下、頸部食道の所に嚥下痛が起き初めた。注意して食べるのだが、少し多めの一口を一気に飲み込もうとすると飛び上がる程痛く、涙目になる。火傷した皮膚を乾いたタオルで擦られるような痛さだ。肉とか食パンの耳の部分は特に要注意だった。救われたのは食べ物が喉元を過ぎると痛みが急速に消えること、痛みが長引かないこと。

1番酷かったのは治療開始3~5週頃。その後痛みは段々収まり、治療終了後1ヶ月か1ヶ月半で食道炎は治るのだが、今度はその部分に食道狭窄が起きた(後述)。

不思議に思うのは頸部食道にだけ食道炎の痛みが発生したこと。胸部食道や腹部食道では食道炎が発生しても痛みを感じ難いのだろうか?

 

□皮膚炎

食道炎と同様、放射線治療ではほぼ100%起きるとどこかのサイトにあったので、一応記しておく。風呂で体を洗う時、そう言えば胸の所が少し赤くなっていたという程度で、痛みも痒みも全く無かった。風呂で気を使ったのはマジックインキで書かれたマーカーの方。放射線照射の位置決めのためのものだが、強く擦って落とさないよう優しく洗ってあげた。

 

□食道狭窄

放射線治療終了後1ヶ月経過した頃から食道炎の痛みは徐々無くなって行くが、同じ場所で食べ物がつかえる感じが残った。他に適当な言葉が見当たら無からないので“食道狭窄”としているが、内視鏡で見ても食道の内径は狭くなってはいない。食道炎の後、炎症により毛細血管やリンパ管が潰れて繊維化を起こし、弾力を失って広がり難くなってしまった(硬化した?)のだと思う。一度、バルーン拡張の提案は受けたが、痛みは無いし、食べ物が詰まる程でも無いので放置。その症状が暫く続いていたが、放射線治療終了後1年半を経過した頃から詰まり感が徐々に弱くなって来て、最近はあまり感じ無くなって来ている。

 

□肺臓炎

放射線治療終了後から約2ヶ月半後、がん専門病院に転院して撮ったCT画像、肺の一部が真っ白になっているのに気付いた。肺の普通の黒っぽい部分と真っ白な部分の境界がまるで定規で線を引いたように直線になっていた。医師に聞くと放射線治療の副作用(急性期障害)で良くあること、特に症状が無ければ気にすることは無いとのこと。その半年後のCT画像ではいつの間にか消えていた。

 

□心嚢水貯留

3クールの抗がん剤(CF/FP)治療終了後半年以上経ってから、恐らく抗がん剤の副作用で腸管穿孔を起こし、2週間程入院した。その時の胸部エコー検査で放射線治療の副作用(晩期障害)と思われる心嚢水貯留が見つかった。心エコーや心電図検査を行ったが、他に異常は無く、定期的な経過観察を勧められた。

長期化しそうな予感がしたので、紹介状を書いてもらい、化学放射線治療を受けた自宅近くの病院で診察を受けたが「(この程度の症状なら)もう来なくて良い」と言われた。後でネットで調べてみると、何かと話題に事欠かない超個性的な医師だったらしい。

それは兎も角、最近のCT画像でも心嚢水貯留がハッキリと読み取れる。以前は確か右心房側の心嚢だけに厚みがあったと思うのだが、今は心臓全体を取り囲むように心嚢水貯留がみられる。食道外科の主治医はこの程度なら大丈夫だというが、いつか突然心タンポナーゼを起こすのでは無いかと不安ではある。

ちなみに、食道がんの放射線治療について検索すると殆どのサイトで心嚢水貯留について説明されている。ところが心嚢水貯留で検索すると放射線治療に触れているサイトが少ない。何故なのか不思議である。

 

 

放射線の副作用(晩期障害)は治療後、10年以上経ってから発現することもあると言うので、この先まだまだどうなるものか分からない。でも10年後に副作用が見つかると言うことは、5年生存率20%程度と言われるステージⅣaの癌患者が10年生き延びたということ。それは放射線治療に充分な治療効果があったことの証明だと私は思う。