2021年8月

 

食道がんに詳しいという外科医に話を伺う。

 

“必ず家族同伴で“と言われていたが、ひとりで行く。

今日はどうしても都合がつかなかったので、とお詫びする。

先日のやや若手の医師との話の時は、いきなり私の方から疑問、質問をぶつけたので、

手術そのものについて聞く時間があまりなかった。今日は手術について、じっくり話を伺うつもりである。

 

食道がんに詳しいという今度の医師は、自分で作った食道がんの資料を渡してくれた。そこに手術についても説明があって、その図を指しながら手術の内容について話をしてくれた。事前に予習してきた通り、手術は胸腔鏡・腹腔鏡を使用しての食道亜全摘、リンパ節3領域郭清、胃管再生手術だ。

 

念のため胃管の再建位置を確認すると胸壁前だという。胸の皮膚の下に胃で作った代用食道を通すというのだ。胸の中心がポッコリ盛り上がって、元の胃だった管がその下を通っている。食べ物がその管の中を通って行く時、管の中を落ちて行くのが、外から見ても分かるという。ひと目を気にしてTシャツ等も着れなくなる等と、胸壁前再建手術後の自分の姿を想像してみる。

 

胸骨後の再建は無理ですかと聞くと、この病院では出来ないとのこと。

 

今の病院での食道の手術の実績は先に調べて置いた。前年は5件だ。5件の中には内視鏡手術も含まれているのかも知れない。

 

失礼かと思いつつも先生の食道がん手術の経験をお尋ねした。

「この病院では無いが、他の病院では経験がある。食道がん認定医の資格も持っている」とのこと。

 

例の疑問をぶつけてみる。「やはり今手術した方が良いと思いますか?」

恐らく先日の外科医との遣り取りが伝えられていたのだろう。私の質問には直接答えず、医師の方から「セカンドオピニオンを受けてみますか」と提案を受ける。

「少し考えてみます」と言って診察室を出る。ドアを閉めた瞬間、気が変わった。

再び診察室のドアを開け「セカンドオピニオンを受けたいのでよろしくお願いします」と頭を下げた。

 

救済手術を受けるとしてもこの病院では無理だ。せめて胸骨後に胃管再建手術を行ってくれて、食道がん救済手術の実績が豊富な病院を探そう。