古着をカリンガ州の村に持っていきました。(山本佳波) | Cordillera Green Network インターン体験記

Cordillera Green Network インターン体験記

フィリピン・ルソン島北部のバギオを本拠地に、山岳地方(コーディリエラ地方)で活動する現地法人の環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(Cordillera Green Network:CGN)」の日本人インターンによるブログです。お問い合わせはcordigreen(a)gmail.com
まで。

こんにちは、CGNインターンの山本です。

2016年11月~12月でTALAとCGN共同で行った
「クリスマス、台風被災地に古着を届けようキャンペーン」
の報告をいたします。



これはみなさんの不要になった洋服を集めて
2016年11月にフィリピンルソン島北部を襲った大型台風ラウィンの
被災地域に持っていこうというプロジェクトです。

バギオにある英語学校のみなさま、マニラにお住まいのかた、
TALAにご宿泊の際にわざわざ持ってきてくださった方、
フィリピンのほかの地域で働いている方、
そして日本から送ってくださった方々など
多くの方々が協力してくださいました。



当初はクリスマスの前に持っていくはずだったのですが、
たくさんの日本にお住いの方々も協力してくださったため、
いくつかの荷物の到着を待って、1月に持っていくことになりました。

お正月が空けて間もなく、
CGNスタッフと共にみなさんが送ってくださった古着の仕分けをしました。



男性用、女性用、子供用のジャンル分けをしてどんどん大きな
お米の袋に詰めていきます。

最終的に大きなお米の袋、22袋分になりました。


これらをCGNのジープニーに詰め込み、
1月8日~10日、バギオからさらに8時間ほど北上した地、
カリンガ州のティングラヤンに行ってきました。

この場所はCGNが以前に泥から色をとって絵具を作って絵本を作る、という環境アート教育の事業を行っていた場所です。

ここコーディリエラ地方は山深く、美しい山々に豊かな水源、文化と自然と人々が共生している、そんな地域です。そのため野菜などの作物は多くとれるため自給自足をして生きていくことは可能ですが、現金収入を得ることがなかなか難しいというのが現実です。


フィリピンというと常夏のイメージがありますが
ここは山岳地方のため夜は13度くらいに気温が下がります。

台風被害はおいておいたとしても
洋服、特にジャケットなどの暖かいものはこの地域において
不足していて貴重なものです。

さらさらと渓谷を流れる川をわき目に、バギオから細くてくねくねした山道をいくこと8時間。カリンガ州ティングラヤンに到着です。



台風ラウィンが北ルソンを襲ってから早2か月。
道路や電気など、ほとんどのインフラはもう元に戻っていますが、
道にはいまだ大きな木が倒れていたり、川のそばの家が真横に倒れていたりと
台風の爪痕が垣間見えました。



私たちはティングラヤンの中の一つの集落、チコ川沿いに広がる緑が豊かで美しいルプルパという小さな集落の小学校に行きました。


生徒は1年生から6年生まで約120人。
校長先生に暖かく迎えていただきました。



空き教室にもってきた洋服を広げて、
生徒自身に自分がほしい洋服を数枚選んでもらいます。


1年生から順に中に入ります。
みんな嬉しそうに選んでいました。



その場ですぐに着る子も。



その後残った洋服はその集落の役場に持って行って
役場のメンバーが地域の中の必要な人に配ってくれることになりました。

このプロジェクトは私がもともといいだしっぺで
それをCGN代表の眞理子さんがたくさん助けてくださり実現させることができました。

そもそもなぜこのプロジェクトをやろうと思ったかというと、
また私がCGNでのインターンをはじまる前にバギオ市内の英語学校に通っていた時。
こんな光景を目にしました。

数人の韓国人の女の子が袋にいっぱい入った洋服を、廊下においてあるおおきなポリバケツにどさーっと捨てていました。

しかも見たのはその1回限りではありません。
何回も、いろんな学生が同じようにしていました。

なぜなら、みんな英語学校での勉強が終わってそれぞれの国に帰るとき、テキストやお土産をできるだけ多く持ち帰りたいため、なるべくいらないものを減らしていこうとするからです。

その光景を見てなにかが心の中でしっくりこず、
もったいない、ほかに必要としている人がきっといるのだから
そこに持っていったらいいんじゃないかっていう安直な考えで
眞理子さんに話をしたところ、ちょうどその時期、大型台風ラウィンが去ったあとということで山岳地域に持っていくということを提案してくださいました。

最初はそのようないわば浅はかな考えでスタートしたものでしたが、
古着を回収して配るということは予想以上に考えなければならないことがたくさんありました。
近くに服がいらない、という人がいてそれを集めて持っていこうとしたとしても
それにはまず交通費がかかります。
今回の場合はかなり遠くの山の中。そのためジプニーを1台使っていく必要がありました。
そうなると、当然それなりの交通費はかかります。
なので、せっかくいくならばそのときに運べる最大量を持っていけるように努めなければなりません。

それだけの量の洋服を集めるためにはそれだけの協力してくださる方々を見つけなければなりません。
その方たちへのお願いの文章も作る必要があります。

そしていざみなさんが送ってくださった古着が届いたあとは、
集めた後の管理、例えばどこに保管するのか。そして持っていく方法やどのように地域の人々に分配するかも検討しなければなりません。
洗われていないものが混ざっていた時は自分で洗わなければなりません。
モノ自体はタダで集まってもそれを送るのに運賃を払ってもらったり、
集まったあとにもたくさんの時間とお金がかかります。

そしていざ配るとなったときにもどうしたら公平にいきわたるのだろうかという問題が浮上してきます。
その町で古着屋としてビジネスをしている人もいます。私たちがタダで洋服を配ったらその人の売り上げはどうなるでしょうか。
また、コミュニティの人の人数は何人で一人あたりどれくらいもらうことができるのか。
また、みなさんの不要なものを送っていただいているのでもちろんバラバラなものが集まりますが、どの古着を受け取るかによっても不平等がでます。
そうしたらよかれと思ってやったことが原因で最悪のケース、村人の中に亀裂を生むかもしれません。

また、こんなこともありました。
洋服を村に持っていくために仕分けをしているとき。
手伝ってくれていたフィリピン人スタッフが、
「私だってこんないい洋服もってないのにー。いいなあ。」
といいました。

何と言ったらいいのかわからなくなりました。

公平って難しいことだと思いました。

こう考えてみると、いくらもったいなくても
捨てたほうがいいんじゃないか、って途中で思ってしまったときもありました。

ここまで書いて、こんなことを思い出しました。
昔、まだ小学生か中学生のころ、私だけに限らずほかの多くの人々も同じだと思いますが、先生から「世界中には今日食べるものですらない人がたくさんいるんだよ」って話を頭にすりこまれるように教えられました。食べるものに困ることはまずない日本に住んでいる自分たちにとって、明確にイメージまではできませんでしたが、ひとまず「そうなんだな、世界では自分たちと違う暮らしをしている人がいるんだな」くらいの気持ちは芽生えました。ある日給食当番をやりながら、たくさんの同級生たちが給食を残しているのを見て、「これをそのまま困っている人のところに持っていけば万事解決じゃん!」と考えました。

しかし実際には輸送コストや、マネジメント費などがかかってしまいます。ましてや食べ物ならばその金額はさらに高くなるでしょう。そのことを今回のことを通じて改めて再認識しました。

だからどうしても、ただ捨てるだけの方がすべてにたいするコストがかからない、
皮肉な話だけどそれが事実でした。

しかしそのままだと困っている人はずっと困ったままだし
地球上にある限りある資源はどんどんと失われていく。

しかしそれを公平にやろうとすると莫大なお金と時間がかかる。
国際協力って本当に難しい、もっと考えたいと思いました。

途中で自分のやっていることが正しいのかわからなくなることも多くありましたが
学校に持って行って子供たちがうれしそうな顔をして「ありがとう」といってくれたときに
少なくともこのことがこの子たちがほんの少しでも幸せだと思う一助になっていたと思うと、最後までやることができて本当によかったと思いました。それもこれも協力をしてくださった方々のおかげです。

英語学校で生徒さんに呼び掛けてくださったマネージャーの方々、
そして洋服をきれいに洗って寄付してくださった生徒の方々、
情報を広く発信してくださった方、
遠方からわざわざ洋服を送ってくれた方、
TALAまでわざわざ届けに来てくださった方、
このキャンペーンに協力してくださったすべてのみなさんに
心から感謝を申し上げます。
ありがとうございました。

山本佳波